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中国と韓国の脱原発市民運動について

2012年8月5日
国際交流でいつもお世話になっている東アジア環境情報発伝所の主催事業「東アジア エネルギー国際青年ワクショップ 2012-脱原発の東アジアをめざして-」に参加してきました。
日程の関係上、ディスカッションを行う5日だけの参加となったのですが、韓国と中国の環境NGOがどの様な脱原発活動をしているかを聞いてきました。
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まずは韓国のエネルギー正義行動の李憲錫さんから
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韓国の原発は軍事政権時に建設されたとのこと。
その後、他の地域で建設しようとしたところ、反対運動がおこり、結局軍事政権時に建設した原発建設地でどんどん増設されたそうです。
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韓国政府は、福島原発事故後においても原発推進の姿勢は崩さず、日本企業にとって代わって、原発輸出をしようと画策しているそうです。
エネルギーの変化を見ても、2006年度に石炭24%、石油43%、原子力15.9%だったものが、2010年には石炭20%、石油15.7%、原子力が27%と原子力が増えています。エネルギーの総量が増えているところも注目です。
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2024年には原子力を48%にしようとしています。電力総量としては2倍ですね。
原子力発電所の密度が日本よりも韓国の方が高い事も注目です。
また、韓国では現在は核燃料リサイクルや核濃縮も行っていないが、今後は核燃料リサイクルをやりたいと言う意見も出てきているそうです。また、核武装をしたいという国会議員もいるとか。
UAEへの原発輸出が決まったことが、KBSでテレビ番組を中断してニュースが流されたり、契約が締結した12月21日を原子力の日と国家が制定したそうです。
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韓国では原発反対については、福島事故前は新規建設を反対するなど限られた運動であったのが、
事故後は一般市民の意識が高まった事で、反対運動がおこるようになったとのこと。
ただ、韓国は非常に日本に似ていて、原子力関係の学者は「原子力マフィア」といわれていたり、書類の偽造を行ったり、不正がいろいろとあるそうです。
また電力会社も送電と配電は韓国電力の一社独占状態だそうで、発電に関しても95%が韓国電力だそうです。

日本からは、東アジア環境情報発伝所の山崎求博さんから福島第一原発事故が与えた影響について報告がありました。
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毎週金曜日の首相官邸前行動や、7月16日のさよなら原発10万人集会、世田谷区で市民の努力で太陽光を安く集団でまとめ買いをしている事例など、中国・韓国の方々にははじめて聞いた情報も多かったようでした。

中国からはGreen Camel Bellの趙中さんから報告がありました。
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中国の蘭州に核科学の研究機関が集まっているが、周辺住民はこの近くで起きている事は多分知らないのではないかということ、
世界最大級の核廃棄物の貯蔵施設もあるが、国際的な施設ができる事を住民は喜んでいるが影響については住民は知らない。
中国では福九嶋の事故の前は原発がどこで作られるのかまったく知らなかったが、中国核電駅分布図が作られたり、
大連の環境NGOであるBlue Dalianによって放射能についての教育冊子「核安全大連市民手冊」が作られています。
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市民団体としては、今は市民参加を呼び掛けている段階であり、将来的には政府との対話ができるようにしていきたいとの話がありました。

そのあと、グループディスカッションをして知識の共有を行いました。
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<日本人グループ>
福島の事故はレベルの差はあっても各国に影響を与えた事。政治的イシューになるかどうかで差がある。自分の裏には迷惑施設が来てほしくないという考え方が必要。他人の裏庭が自分の裏庭と重なるように間隔を延ばしていくことが必要なのでは。
<中国人グループ>
韓国は市民が脱原発に動いているけれども、政府とのギャップがある事。韓国からの報告がデータが細かくて参考になった。日本と韓国は市民が積極的に声を出している。
知りたいおは、核の安全問題、民謡と軍事利用について。日本の電力会社員は原発についてどの様に考えているのか。日中韓の協働で何ができるのか、具体的な事例が知りたい。再生エネルギーのコストを下げる取り組みとか。
<中国人グループ>
中国と同じく、韓国も内陸部に原発があるが、中国とどの様に違うのか。
<韓国人グループ>
中国の動き、中国の規模、活動の規模に驚いた。
日本と韓国の類似点に驚いた。否定的な部分が似ている。社会的弱者とエネルギー弱者について改めて認識ができた。
<日本人グループ>
各国の反原発運動の色合いの違いが分かった。
日本にいても原発問題が見えていない。被害の状況が見えにくい。把握しているとは言い難い。海外からも情報を得にくいのではないか。
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最後に発表者からコメントがありました。
李さん
NGOの役割は地域で原発の反対集会があるとソウルから出向く。地方ではチラシづくりから集会のやり方まで基本的な事を知らないので、そういうところから教えていた。現在はそういう事もなくなってきた。今は、全体的な運動の進め方の指示、メディア、政府への働きかけということに変わってきた。都市の人が反原発の声をあげる事ができるように、今は都市の人に伝えることに役割が変わってきている。

山崎さん
電力会社社員と原発労働者との被ばく量の違い、または、政権の支持団体としての労働組合のむつかしさについて

趙さん
中国は韓国と似ている。国としては原発を推進している。
政府はコペンハーゲンで二酸化炭素の削減の為に石炭火力を減らす意向を述べた。中国ではダム反対運動の歴史が長い事もあり、個人的予測では原発がこれからも増えていくと思う。福島原発の事故の影響はインターネットなどを通じて市民は知っており、みんな恐怖を感じている。塩の買いだめが起きたのもその影響である。市民はこれまで原発に関心がなかったが、自ら情報を得ようとしている。地元住民が原発の建設に対して反対の意見書を全人代に提出する等、民間でも反対運動が出てきた。福島原発の事故が中国の原発反対運動を進めてくれた。政府は事故後、原発の建設許可を一時的にストップして、原発監視の為の法律を作った。マスコミも事故後一年たっても原発の発展について記事にしている。反原発の活動を行っている中国の環境NGOはBlue Dalianだけであり、他は個人的参加にとどまっているが、市民の原発に対する動きに対してNGOがどの様に答えるかをこれから考えていかないといけない。原発企業もこれからは情報公開をしないといけなくなるだろう。
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非常に内容が濃いワークショップで、中国と韓国の市民側からの現状が分かった事は大きな成果でした。
どちらにしても政府は原発推進を向いており、市民が声をあげなければ脱原発に向かわない現状を認識できたことが大きかったです。
(林)

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