- 講師:谷口たかひさ さん
- 日時:8月22日(土) 10時~12時
- 場所:西淀川区民会館(エルモ西淀川ホール)
- 主催:にしよど親子防災部、あおぞら財団
- 協力:NPO法人にしよどにこネット、NPO法人西淀川こどもセンター、にしよどおやこ劇場、ママハタ阪神東校大阪御幣島学級、西淀川おもちゃ図書館おもちゃばこ、NPO法人くるる
ブログカテゴリー » 環境再生・まちづくり
谷口たかひささん講演会の報告(8/22)
太陽の光で一年間発電してくれました!
太陽の光で一年間発電してくれました!
~西淀川あおぞら発電プロジェクト~
あおぞら財団では、「環境再生のまち」を目指して、大阪市西淀川区の未利用空間を活用して太陽光発電設備を設置する「西淀川あおぞら発電プロジェクト」を実施し、再生可能エネルギーによるエネルギーの地産地消をすすめています。
その一環として、2019年1月に、社会福祉法人あゆみ福祉会の協力の下、看護小規模多機能型居宅介護施設「ソラエ」の屋上をお借りし、設備容量5.5kWの太陽光発電を設置しました。
おかげさまで、1月から12月まで太陽の光を浴びたソーラーパネルは毎日休まず発電してくれたので、総発電量は、6,705kWhとなりました。これらの電気は全て同施設にて使用しました。この総発電量を電力会社が発電した場合は2,239kg-CO2の二酸化炭素が排出されます。※1これは160本の杉の木(50年杉で高さが20~30m)が1年間に吸収・固定する二酸化炭素の量に相当※2します。
本設備設置にあたり、寄付や建設協力金をいただいた皆様、ご協力、誠にありがとうございました。引き続き、同施設を通じて、太陽の恵みを地産地消のエネルギーとして活かし、また、本施設を再生可能エネルギーの学びの場としていきます。
2020年3月
※1 2018年度のCO2 排出係数(関西電力)0.334㎏‐CO2/kWhを参照
※2 出典・林野庁 杉一本で平均14㎏/年のCO2を吸収・固定するとして試算
協力団体
・ECOまちネットワークよどがわ
・自然エネルギー市民の会
「大阪府地域環境活動を広げる府民共同発電事業」
http://www.pref.osaka.lg.jp/eneseisaku/fumin-kyodo/index.html
ピースボート リーダーシップトレーニング(4/21)
4月21日(日)、NPOピースボートによるリーダーシップ・トレーニングの一貫として、西淀川大気汚染公害フィールドワークを行いました。参加者は34名でした。
SDGsをテーマとしたリーダーシップトレーニングで、参加者は香港を中心としたアジアの25歳~40歳のユースです。政府関係者、企業人、非営利組織と所属は様々でしたが、平和や環境、人権の問題に関心を持ち、具体的に社会をよくしていきたいと志す人たちです。
ピースボートの担当の畠山さんからは「具体的にどのように問題が解決されてきたかに重点をあてたいので、ぜひ企業と行政の取り組みについて、当事者の視点からお話を聞ければ」という依頼があり、公害患者側の立場、企業の立場、行政(国土交通省)の立場を盛り込んだプログラムになったそうです。
まず参加者の方に西淀川公害について理解してもらうために、あおぞらビルにて「西淀川大気汚染公害と裁判の概要」を栗本から説明しました。1960年代に工場からの排煙で空が灰色になったこと、続いて自動車排ガスが増えていったこと、そして西淀川で大気汚染の被害を訴える人が集まり、西淀川公害裁判にまで発展したことなどを説明しました。
続いて上田敏幸さん(西淀川公害患者と家族の会事務局長)、山岸公夫さん(元神戸製鋼訴訟担当者、あおぞら財団理事)のお二人に登場していただき、当時のお話を伺いました。
上田さんは、出版社に勤めていたときに、患者さんたちの作った本の編集に関わり、それが患者会に係るきっかけになったそうです。本のタイトルを決める際に、「手渡したいのは青い空」というキャッチフレーズをワークショップで考え、それがその後、患者さんの運動のキャッチフレーズになったそうです。上田さんは、参加者に”blue sky for children”と英語で分かりやすく説明されていました。
山岸さんは「西淀川の大気汚染公害の責任は10社の被告だけのものなのか」という疑問など、当時の心境をお話してくださいました。上田さんが話すと、山岸さんがまた企業側の意見を話すという、緊張感のあるやりとりが続き、参加者も集中して聞いていました。
質疑応答では、次のようなやりとりがありました。
Q「公害訴訟においては、測定し、原因を特定することが肝だったということがわかった。その上で、政府と企業と市民が共同して解決に取り組んだのだと思うが、どうやったらスムーズにパートナーシップを築いていけるのだろうか。」
A上田さん「超難問ですね。結論から言うと企業・市民・政府(あるいは自治体)のパートナーシップは必ずしもすぐにうまくいくわけではありません。裁判を和解して21年目なんです。この間、パートナーシップを形成するところに力を注いできました。あおぞら財団が今まさにその仕事の中心になっております。難しいですが、僕自身は希望を失っていないんです。現にこうして山岸さんと隣り合わせで話が出来るというのが、まずひとつの大きな力だと思います。20年前は考えられなかった。ここが出発点だと思ってますし、ここから進歩させていかないと、と思っています。」
A山岸さん「経済成長あるいは個人の所得の向上を目指した結果、その反面として、健康被害や大気汚染というマイナス面が生じる。そのバランスを、国全体としてどうとっていくかが非常に重要です。そのためには困難なことですが、コミュニケーションを繰り返しながら、どの辺りがバランスの良い所なのかを見出して行くということが必要だと思うんです。裁判もそのひとつの手段となり、コミュニケーションの結果、和解に至ったわけです。」「今も上田さんたちは、頑張って発言しておられる。私もそういう頑張りは重要だなと思っておりますので今後とも主張して頂けたらと思うのです。経済成長や環境とか色々な選択肢が出てくる中では、色々な考え方の思想、チーム、グループがある訳で、それぞれの意見を闘わせてそこでどう落とし所を見出すのか、どこでどうバランスを取るのかというコミュニケーションのとり方が重要だと思います。言いっぱなしでもいけないし、言わないのも良くない。みんなで議論してどこに答えを持ってくるかを考えるということが非常に重要だろうと思います。」
この他、「20年間かけて何度も何度もやって、やっと政策に結びついていったというのは成果として素晴らしいと思う一方で、それをもう少し短縮して、苦しみに対してすぐに政策が反映されて改善されていくという仕組みができないものか」「高度経済成長期において公害という形以外に何か開発の負の側面の事例があるのか」など、多くの質問が寄せられました。
時折笑いが湧くくらい和やかなムードでしたが、公害の被害者側と加害者側の対話です。参加者はメモを取ったり体を前のめりにしてお二人の話に熱心に耳を傾けていました。
私自身、公害訴訟の話を聞くのは今回が初めてでした。資料を読んで公害訴訟和解までの道のりを知っていましたが、お二人の話から資料に目を通すだけはわからない何かを感じました。今見える青い空は、上田さんや山岸さんをはじめ、多くの人の手によって守られた空なんだと思いました。
お二人の対談後、バスで淀川通り周辺の住工混在のまちを見学しながら、国道43号線に向かいました。
バスの車内で谷内から、裁判の和解条項に基づき毎年1回、開催されている道路連絡会について説明をしました。
参加者のみなさんをパシャリ
昼食後、国道43号線沿いの出来島小学校前で国土交通省近畿地方整備局大阪国道事務所の方のお話を伺いました。騒音の低減を図るため、高架部などでは遮音壁を設置するなどの取り組みを行っているそうです。また大気浄化のために高活性炭素繊維(ACF)による取り組みもしているそうです。(下の写真参照)
詳しくはこちらを御覧ください⇒ひと・みち・くらし 国土交通省 大阪国道事務所
私は西淀川区在住10年ですが、このような取り組みをしていることは知らなかったです。
私以外にも知らない人は多いのではないでしょうか。
質疑応答の場では、「地域の人の理解があるのか」という質問に対しては、「地域の人々に、道路の環境対策を実施していることが伝わっていない。今後、サインの設置などの広報に取り組む予定である」という回答がありました。
また、「もうすでに環境基準をクリアしているのに、もっとよくしていこうというモチベーションはどこにあるのか?」という質問に対しては、「二酸化窒素の環境基準は0.04~0.06ppmとゾーンになっている。道路連絡会で、患者さんと二酸化窒素は環境基準値のゾーンの下限値を目指すことを約束している。下限値を実現するまで環境対策を続ける」との回答でした。
他に「道路を作るにあたり、周囲の住宅への影響は考えたのか」「環境対策として、化学的な取り組みの他に行っていることはあるのか」「環境対策に毎年どれくらいの費用をかけているか」「大阪で電気自動車の普及率はどれくらいか」など、参加者の多くの関心が寄せられました。
フィールドワークを終えて、参加者の方は船に乗られました。船内でもプログラムは続き、議論を深められるそうです。いってらっしゃ~い!
(アルバイト 東)
西淀川あおぞら発電所ができました
西淀川あおぞら発電所ができました
~みんなでつくろう!太陽光発電所~
あおぞら財団では、「環境再生のまち」を目指して、大阪市西淀川区の未利用空間を活用して太陽光発電設備を設置する「西淀川あおぞら発電プロジェクト」を実施し、再生可能エネルギーによるエネルギーの地産地消をすすめています。
その第一歩として社会福祉法人あゆみ福祉会の協力の下、看護小規模多機能型居宅介護施設「ソラエ」の屋上をお借りし、2019年1月に、設備容量5.5kWの太陽光発電を設置しました。
本設備は、市民からの寄付金(26名)と建設協力金(7名)、ならびに「大阪府地域環境活動を広げる府民共同発電事業」の補助金交付をいただき、建設することができました。ご協力、誠にありがとうございました。
今後も、かつて激甚な大気汚染公害に苦しんだまち・大阪市西淀川区からの「環境再生まちづくり」の取組みとして、太陽の恵みを地産地消のエネルギーとして活かし、また、本施設を再生可能エネルギーの学びの場としていきます
2019年3月
「大阪府地域環境活動を広げる府民共同発電事業」
http://www.pref.osaka.lg.jp/eneseisaku/fumin-kyodo/index.html
第22回道路連絡会が行われました(3/20)
3月20日(水)に第22回西淀川地区道路沿道環境に関する連絡会が行われました。
西淀川道路連絡会は、大阪・西淀川公害裁判の和解条項に基づいて設置されたものです。公害被害者が,道路環境対策について道路政策決定者に直接意見を述べることができるという意味で,道路公害訴訟に集団で取り組んだ原告団と弁護団が勝ち取った特別な機会です。(詳しくはこちら→西淀川道路環境対策連絡会/道路検討会)
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第22回西淀川地区道路沿道環境に関する連絡会
日 時:2019年3月20日(水) 午後2時~午後4時
場 所:グリーンルーム(あおぞらビル3F)
出席者:国土交通省近畿地方整備局、大阪国道事務所、阪神高速道路(株)、原告団、弁護団、あおぞら財団
参加者数:40人(国土交通省・阪神高速:14人、原告側・弁護団:26人)
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1.被害の訴え
最初に、西淀川区内の公害患者の須惠佐輿子さん、鷹雄さんのご夫妻から被害者の訴えがありました。鷹雄さんが失明したちょうど同じ時期に、妻の佐輿子さんが大気汚染公害によりぜん息になってしまいました。盲学校に通いマッサージ師の資格を取った鷹雄さん、それを佐輿子さんが支えましたが、毎晩ぜん息の発作に苦しんだそうです。佐輿子さんの公害病と鷹雄さんの失明が重なり、将来の不安で押しつぶされそうになりながら、二人で協力しながら生きてきた半生について語られました。最近になって鷹雄さんもぜん息と診断され、「大気汚染のない街で安心して過ごせるようにしてほしい」と訴えました。
2.資料説明
続いて、国土交通省および阪神高速道路(株)から、西淀川区において実施されている道路環境対策について説明がありました。
- 西淀川の大気は改善傾向にあるが、2017年度は2016年度よりも上昇した。(NO2は観測場所8箇所のうち半分の4箇所が環境基準値の下限値0.04ppm以下。資料1)
- 環境ロードプライシングにより、国道43号の大型車は減少傾向にある(平成21年には約26,000台/日だったが、平成30年 は約22,000台/日。資料2)
- 歌島橋交差点の地下歩道案内板を平成31年度に改善工事を実施する予定(資料4)
- 大気汚染観測局のPR看板を設置予定(資料5)
- 環境ロードプライシング(RP)対象車両を有している事業者へのアンケートを行った結果、環境RPを十分に認知していない事業者は6割、環境RPに登録したいと考えている事業所は35%(資料6)
3.原告からの提案
次に、あおぞら財団の谷内から、 原告からの提案を説明しました(原告側スライド・資料)。
提案1 大型型車交通量、自動車交通量総量の削減
- 環境ロードプライシングの拡充を。
- 国道43号の大型車を5号湾岸線に転換することができれば大気は改善する。国道43号を利用している事業所に対する総合的な調査を。
- 3号神戸線から5号湾岸線への転換の促進
- バス会社へのアプローチ
【歩行者・自転車にやさ しい沿道対策・交通環境対策を!】
【PM2.5の環境基準の早期達成に向けた対策】
【人にも環境にもやさしい歌島橋交差点】
- 自転車活用推進法が施行されたように、自転車は車道を通行することが基本。歌島橋交差点の地上を自転車で横断できない現状は問題! 国道2号など、自転車の通行を検討できないか?
【国道43号沿道環境を考える 実務者ワーキングの継続】
- 大気測定局のサインについて、ワーキング会議で共に検討を!
4.意見交換
その後、意見交換が行われました。
原告側から「二酸化窒素は環境基準の下限値の達成をいつまでにどのようにのかを示してほしい。行政目標としてたて ることができる段階にきたのではないか」と質問がありましたが、「目標時期をいつまでにと決めるのは難しい」と回答ははぐらかされました。また、「なぜ二酸化窒素の濃度が減ってきたのか?」「何を行うのか優先順位をつけてやってほしい」という投げかけに対しても、「明確な要因はない」「これをやったから下限値を達成できると約束できない」という回答で、明確な回答は得られませんでした。
歌島橋交差点については、現状の自転車で地上を横断できない状況が問題であるとの原告側からの訴えに対し、「来年度は大阪から兵庫県までの自転車道の整備について、協議をする予定である」との回答が得られた。自転車が地上から排除されている歌島橋交差点ですが、近年中に自転車で横断することが可能になる可能性が高まりました。
大気測定局のサインについてですが、大阪国道事務所側の提案した案に「大気汚染があったという経緯を入れてほしい」と原告側から提案があり、ワーキング会議で継続して協議していくことになりました。
■今までの取り組みについて
今回の資料、議事録も↑掲載しています。