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ブログカテゴリー » 西淀川公害授業

「西淀川公害から学ぶってなにを?」を開催しました。2日目(3/28)

1日目の様子はこちら
2日目は山岸公夫さん(元神戸製鉄所 法務部長 あおぞら財団理事)からのお話がありました。

当時の様子を語られる山岸さん。

当時の様子を語られる山岸さん。

山岸さんは企業の法務組織の変遷(成長)と法務組織の役割などの説明からお話を始め、大気汚染への寄与企業が足並みを揃えることの難しさや、攻める側の大変さと守る側の心外さ、それぞれの立場があったことを説明してくださいました。
山岸さんは西淀川裁判の和解成功の鍵は被害者を組織化したこと、単なる賠償金獲得でなく地域再生のために「青空を取り戻し次代に渡す」というスローガンを掲げたことだったと説明されました。またあおぞら財団の使命は「和解の精神を風化させないこと」だとも仰っていました。

みなさん真剣に聞いています。

みなさん真剣に聞いています。

【山岸さんに対する質問】
Q:訴訟担当者で身内に公害患者のいた人はいたのか?そういう人は意図的に外されたのか?
A:訴訟担当者を選ぶ立場ではなかったがそういった話は聞いたことがなかった。

この後、福島大学の皆さんからの報告、質疑応答が行われました。皆さんには、震災で経験したことと、2日間の研修で感じたことを話していただきました。この時西淀川公害患者と家族の会の森脇君雄さんも来られました。

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森脇さんに来ていただきました。

同じ福島県といっても福島は広く、学生の皆さんは住んでいた場所もそれぞれ違うため、避難された地域の方、被災者を受け入れた地域の方の立場で、様々な視点から震災の経験等を語ってくださいました。

【震災体験について】
・震災当初の情報の錯綜について。
・食糧不足に悩まされた。買い出しにも時間がかかる状態だった。
・放射能の影響を考慮し、体育の授業は室内で行われ、プールの授業もなかった。
・除染率100%の広報が回ってきたが、この100%とは除染申請をした家のみ除染が終わったということだった。
・他の地区の学生を受け入れ、同じ学校で授業を受けるようになった。部活を通して、他地区の学生とかけがえのない仲間になれた。避難者と避難者を受け入れた側の地域間対立がしばしば取り上げられるが、仲良くやっていけた人もたくさんいる。
・今現在はライフラインの復活により生活は戻ったが、放射能の影響が怖い、これからも影響が残るのではないかとの不安を感じる。

【2日間の研修をふまえて】
・福島では裁判を起こすという考えの人は少ないように思える。避難している人も多いのでバラバラになってしまっている。しかし組織として活動する必要がある。
・岡崎さんと自分のふるさとへの思いの違いを感じた。個人的には復興は進んでいると考えていたし、自分達の生活を立て直すことに精一杯だった。岡崎さんは怒りのモチベーションを保ってこられたのがすごいと思うし考えさせられた。しかし組織化して問題を解決しようとする運動が少ない。一方怒っても何もならないから前向きになることが大切、という意見も。
・西淀川の公害問題は関心を持ち続けることで対策がとられた。福島も関心を持ち続けることで何らかの対策がとれるのではないか。
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皆さんがそれぞれの体験や学んだことを語る真摯な姿に心をうたれました。

最後に「福島第一原発事故の教訓を伝える施設の整備に関する取り組みの事例」について後藤忍先生が話をされました。福島第一原発事故に関連し、公立・民間含めその教訓を伝える施設が作られているそうですが、国・市が盛り込めていない部分の教訓というものをいかにして伝えていくかということをこれからの課題として説明されました。

教訓を伝えることの課題について説明される先生。

教訓を伝えることの課題について説明される先生。

【福島大学の方への質疑応答】
Q:浜通り・中通り・会津で団結して一緒に組織を作ることはできないのか。
A:3つの国は別々でまとまれない。汚染度や状況、賠償額に違いがあり団結は困難。

Q:総合対策としてこれからどのようなまちづくりをするのか?そのビジョンは?
A:今のところはそれを描くのは困難。見えない対立もある。

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アドバイスされる森脇さん。

この時、森脇さんは西淀川を例に挙げながら、確実な補償法整備の重要性と問題の認識、勉強、行動を起こすこと、人と仲良くなることが大事であるとアドバイスをされました。

2日目の最後にはワークショップを行いました。最初は質疑応答です。

【ワークショップでの質疑応答】
Q:現在の淀川と西淀川の関わりはどのくらいあるのか?
A:公害による淀川のイメージが良くない。堤防も高く日常で水辺に関わる場面は少ない。
漁協もそのことでイメージ転換を図りたいとのことだった。
Q:あおぞら財団ができた時の周囲の反応は?
A:地域の中では公害のことは言わないでほしいという意見もあった。しかし今は、財団があってくれてよかったとの意見をもらうことも増えてきた。色々な立場の人々を繋いできた結果と思う。

Q:①震災の直接の体験者でない我々にどうしてほしいか、どうなってほしいか?②また、震災から5年で人々の記憶の変化は?
A:①福島に実際に来て欲しい。そして今の生活を知ってほしい。福島では毎日原発関連のニュースが流れるが、他ではそうではない。情報量が被災地とその他の地域では違う。
②震災の記憶については、忘れることはない。しかし話をする機会というのは少なくなっている。例えば放射能の影響の可能性を考慮し、プールで授業ができない等、子供達の行事の制限があった。小学校当時に被災した人たちの中には泳げない子もいる。しかしなぜ泳げないか、という事は忘れられていくだろう。

【ワークショップ発表】ポストイットに2日間を通しての疑問や議論したいテーマを書き、質疑応答後、3つのテーマでグループ分けを行い、議論を行いました。

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熱心に議論されています。

 

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1つ目のグループのテーマの写真

〈グループ発表〉
・西淀川と福島のちがいの根本にあるものは、再生と復興の違いだと感じた。復興が具体的に何を目指したらよいかわからない。
・西淀川は高度経済成長期の日本の発展のため、福島は原発=クリーンのイメージ、町おこしになると考えられており、結果的に公害や被害につながることになった。
・リスクマネジメントが大事。疑問を持ったら徹底的に追求すること。西淀川はこれを行ったため良くなったと感じる。福島では関心を持つこと、疑うことが現在十分でないと感じる。
・上記の問題を解決していくための具体的方法として、体験型学習が大事だと感じた。

1つ目のグループの発表の様子。

1つ目のグループの発表の様子。

2つ目のグループのテーマの写真

2つ目のグループのテーマの写真

〈グループ発表〉
・公立の資料館でも展示すべき情報が展示されていないなどの課題がある。
・福島では、放射能に関して理科の授業で取り入れられているが、授業以外でも伝える方法を考えなければならない。
・教訓をどう生かしていくか。加害者、被害者の認識の違い。これにより語られることも違ってくる。また被害者の中には忘れたい人もいる。教訓を語り継いでいくために被害者の組織化が必要。その方法を考えることが課題だと思う。

2つ目のグループの発表の様子。

2つ目のグループの発表の様子。

3つ目のグループのテーマの写真

3つ目のグループのテーマの写真

〈グループ発表〉
当事者の中でも生活面や精神面で様々な事情を抱え、問題に向き合えない人達がいる。心の「シャッターを閉めるように」。“自分には何もできない”と思う気持ちもあるのではないだろうか。こういった人達には森脇さんのような人の話を聞いてもらうことで自分にも何か出来ることが分かり、変わるきっかけになるのではないか。

3つ目のグループの発表の様子。

3つ目のグループの発表の様子。

【参加者からの感想】
最後にアンケートの『あなたにとって「公害から学ぶ」とは、どういうことでしょう?』という項目に関して皆さんの考えをいくつかピックアップします。

・目の前にいる人が抱える問題や、目の前にある問題にどう向きあうかを考える時に文脈や時代の違いを踏まえつつ、自分がどう考え、行動したらよいか何ができるかを考えること。学習のための学習ではなくて、リアルな自分の生き方を考えるということ。
・自分ができることを考え、『実行すること』だと思います。公害が起きた地域の当事者なら何も考えていないことはないと思います。しかし、そのために何かをしようとしている人は少ないと思います。「知る・考える・実行する」の3点があってこそ「公害から学ぶ」の価値があると考えます。
・二度と被害者を出さないための真摯な自省(自分事としての反省)。
・「公害から学ぶ」ならば、公害のあった地域の今までのこと、その地域で暮らした(ている)人のくらしや生き方から学ぶことのように思います。
公害から何を学ぶのか、ならば技術や対策ということから運動論、法律、病状、教育、人権、等々、生き方の問題含め、何の為に学び、どう生かしたいのかでちがいように思います。その時々で、教材としての公害はちがう顔をもつのだと思いますが、語り部の方やここにある地域の現実の持つ力学習者の生き方を問われるものだと思います。

私は3月からスタッフになったため、初めて研修のお手伝いをしました。その後、2日間の取り組みが終了となりました。語り部の方のお話や被告企業側であった方のお話を直接聞く貴重な機会をいただきました。環境問題に対する知識はまだまだ浅い自分ですが、経験されてきた方のお話や、前向きな姿勢に多くのことを学ぶことができました。特に印象的だったのは西淀川裁判における患者会の団結のすごさと粘り強さです。多くの企業を相手に皆で学習し、協力しあい、裁判が終わった後も地域や次世代のためにより良い環境づくりをしていこうという未来を見据えた姿に感動しました。
また福島大学から来られた学生の方々が、ご自身の震災の経験を語って下さり、TVなどで知る情報とは違う生の声に、震災や公害の問題は終着点を見つけることが非常に難しく、未来へと繋がっていく問題であることを実感しました。再発を防止するため、過去から何を学び、教訓を未来へ語り継いでいくにはどうしたらよいのかと改めて考えるきっかけを与えていただきました。
これから自分に何ができるかを勉強しながら考えていきたいと思います。(村山)

一日目の様子はこちら

「西淀川公害を伝えるってなにを?」を開催しました。1日目(3/27)

3月27日~28日に、「西淀川公害から学ぶってなにを?」をあおぞら財団で開催しました。福島大学、龍谷大学、よつ葉ホームデリバリー大阪などの方達が参加されました。2日間全体で21名の方が参加されました。(地球環境基金事業)
二日目の様子はこちら

今回2日間のテーマは「今を生きる者として、公害から何を学ぶか」ということでした。
1日目の初めは、あおぞら財団の林さんからクイズ形式を交えての西淀川公害や、その他の公害、あおぞら財団についての説明が行われました。

公害に関するクイズ。

公害に関するクイズ。

全問正解はなかなか難しい様子。

1960年代の西淀川の空のスライドが映された時、皆さんは現在の空の様子との違いに驚きを感じていたようです。
あおぞら財団の役割はステークホルダーをつなぐことであるということ、地元の理解が大事であるという説明もされました。

全問正解はなかなか難しい様子。

全問正解はなかなか難しい様子。

次に公害患者さんの岡崎久女さんにお話をしていただきました。

たすきをかけてお話される岡崎さん。

たすきをかけてお話される岡崎さん。

岡崎さんにとってこのたすきは制服であると仰っていました。語り部をする時だけではなく様々な交渉の場でもかけて行かれるそうです。岡崎さんは西淀川に嫁いで来られ、公害病の患者認定を受けられた方です。
とつぜん始まった喘息の辛い症状や、病気から起こった様々な辛い体験を乗り越え、前向きに生きるようになったと言い、「好きでなった病気じゃない」「なぜ」という思いや、息子にとっては西淀川がふるさとであるという思いを受け原告になったとお話ししてくださいました。運動を通じて全国の人達にも会いにいった経験などをお話されました。いろんな人に支えられている、いろんなところで語り部をしているが皆熱心に聞いてくれている、自分が支えられていると語っておられました。

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岡崎さんのお話に聞き入っている皆さん。

 

【質疑応答】
Q:水俣でも患者認定の有無や対面など地域対立(分断)が起こったが西淀川の場合はどうだったか?
A:初めは公害であるという事自体がわからなかったし、今も人によっては公害患者であることを隠している人もいる。喘息の発作が昼間にわかりにくいため、近所の人々には病気の苦しみがわからない。夜に救急車を呼ぶことも憚られ、タクシーで通院するなどの周囲への配慮を行っていた。
※この質問に関しては林さんが「大気汚染では患者会という組織を作り、自分達の意見を積極的に主張して制度をつくった点が水俣とは違った状態であった」と補足説明をされていました。

Q:「たすきが制服」と仰ったが、この制服とは学校の制服のイメージなのか?
A:ジャケットのような感覚。これをつけると話しやすくなる。

Q:(福島の状況と比較しながら)公害認定がなされない段階で、加害側の企業が、自社の責任ではない、気のせいであるなど、公害が大した問題ではないと思わせる言説を流すようなことはなかったのか?(福島では実際にあった)
A:患者間で勉強会を重ねており、患者会の団結力でも乗り越えてきたためその問題に関する悩みは少なかった。
この他多くの質問が皆さんから出されました。

福島大学から来られている方がいたので、岡崎さんは原発の件にも触れ、原発事故の怒りを忘れてはならないこと、声をあげ、協力することの重要性を強調されました。

昼からは西淀川のフィールドワークを行いました。
バスで西淀川や尼崎の工業地帯の見学を行いました。この日は日曜だったため、交通量がいつもより少なかったです。
43号線からフィールドワークが始まります。
まず、43号線沿道ではどのような対策がとられているか林さんから説明がありました。

道路の対策についての説明をしている林さん。

道路の対策についての説明をしている林さん。

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光触媒について。

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「空気を監視する装置はどこにある?」

 

空気を監視する装置の内の1つ。

空気を監視する装置の内の1つ。

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中央分離帯部に設置されたピュア・プランター

 

こういった対策も大事だが、そもそもの交通量を減らしていくことはできないかという根本的な課題についても林さんは触れられました。

再度バスに乗り、尼崎や西淀川の工業地帯を見学します。川の水面と地上の高さに注目して地盤沈下の様子を観察しました。
車内から、湾岸線が見えます。大気汚染を減らすため阪神高速5号湾岸線側への迂回を促す取り組みがなされていると説明がありました。

淀川につきました。説明を聞き、淀川浸水想定区域図を見て、西淀川が直面しうる水害の切実さを感じました。現在の淀川ではウナギ・シジミがとれます。

淀川堤防沿いにて林さんによる説明。

淀川堤防沿いにて林さんによる説明。

川の土手で遊ぶ皆さん。とても楽しそうです。

川の土手で遊ぶ皆さん。とても楽しそうです。

クラゲもいました。

クラゲもいました。

再び43号線、淀川通りを通ります。ここからは徒歩であおぞら苑に向かいます。日曜日だったため、施設内の見学は行いませんでしたが、デイサービスセンターあおぞら苑の説明を受けました。
あおぞら苑は西淀川裁判の和解金の一部を拠出してつくられたデイサービスセンターです。高齢になった公害患者の方の日々の生活を援助するために、また地域の人々が誰でも利用でき、「西淀川に住み続けて良かった。」と思えるようにとのことで設立されました。

あおぞら苑にて。

あおぞら苑にて。

桜が咲き始めていました。

桜が咲き始めていました。

千北診療所にも立ち寄り、説明を受けました。

千北診療所にも立ち寄り、説明を受けました。

千北診療所は、かつては西淀川医師会と公害検査センターがあり、患者会の事務局もあった場所です。今も公害患者の治療にあたっています。

淀川通りを通って大野川緑陰道路へ向かいます。

かつて緑陰道路が川だった頃の写真を掲げて説明する林さん。

かつて緑陰道路が川だった頃の写真を掲げて説明する林さん。

フィールドワークを終え、あおぞら財団に戻ると4班に分かれてきょうのふりかえり(ワークショップ)を行いました。

ワークショップの説明。

ワークショップの説明。

1日目のまとめ。栗本さんがまとめてくださいました。

1日目のまとめ。栗本さんがまとめてくださいました。

ワークショップ中

ワークショップ中

悩みながら皆さんで意見を交わし合っています。

悩みながら皆さんで意見を交わし合っています。

【ワークショップの中で出た意見】
・西淀川が公害の町だと聞いていたため、実際に来てみて想像以上に綺麗だったことに驚いた。
・町歩きからいろんなことを学べた。
・福島と西淀川の問題に対して同じような対策は効果的かどうか。
・公害の経験があるのに経済成長ばかり重視…公害について深く考える人はどれほどいるのか。
・文理融合、トータルに考えることが大事。
・ステークホルダーの重要さを認識した。
・岡崎さんの、福島の人達は「もっと怒らな」ければならないという発言に考えさせられた。
・モスクが見学できたことが印象的だった。西淀川ではいろんな国籍の人々が生活していることもわかった。

【この時の質疑応答】
Q:工場労働者の中にも患者となった人はいた?
A:いる。被害者として原告になった人もいた。

Q:緑陰道路について人の集まる場所になったということは良いことだが、川ということ、その良さを隠してしまったのでは?
A:大野川は43号線建設により川をせき止めたことが原因で悪水がたまることになった。そこで埋め立てられたのであるが、公害患者がえがいた再生マップには緑陰道路に水を流したいという計画があったが患者さんたちの願いは叶わなかった。

Q:西淀川の汚染が下がったのは、阪神の震災により、大阪-神戸の物流が減ったことも原因か?工場の対策が進んだからか?
A:経済の落ち込みによる環境改善は確かにある。しかし公害裁判の成果としてつくられた自動車NOx・PM法のおかげで車の規制が行われ、現在はNO2の現在基準の上限基準値を下回った。
この日の最後に懇親会が行われました。

会話も弾み、皆さんとても打ち解けていました。

会話も弾み、皆さんとても打ち解けていました。

2日目に続きます。(村山)

7/3 授業実践報告 どう教えてる?「西淀川公害」~高校編~

前回の実践報告の様子

前回の実践報告の様子

環境教育の原点とも言われる公害教育は、被害が深刻だった1960年代~70年代に活発に取り組まれましたが、その後、下火になっていました。
しかし福島原発事故以降、かつての教訓から学ぶことへの関心が高まっています。
あおぞら財団では、「ドコモ市民活動団体への助成(環境分野)」を受け、改めて公害をどう教えるか、考える場を企画しました。

西淀川公害の歴史を踏まえつつ、ユネスコスクールとしてESDの視点をもって環境・公害教育に取り組んでいる西淀川高校でのこれまでの実践報告と、前回の大阪市立磯路小学校の実践報告のふりかえりを行います。

積極的なご参加、お待ちしています。

◆◇◆ 授業実践報告 どう教えてる?「西淀川公害」―高校編― ◆◇◆

日 時 2015年7月3日(金)15時00分~17時00分

場 所 あおぞらビル3階グリーンルーム

内 容 報告「西淀川高校での公害に関する授業実践について」
門谷充男さん(大阪府立西淀川高校)
・前回(5/10)のふりかえり(大阪市立磯路小学校での実践教材・資料等の共有)
*前回の様子はコチラ
・西淀川での公害授業案作成にあたって意見交換

参加費 無料

その他 資料準備の都合上、参加をご希望の方は、あおぞら財団まで事前にご一報ください。

◆連絡先
公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)
担当 栗本知子
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1 あおぞらビル4階
電話 06-6475-8885
FAX06-6478-5885
メール webmaster@aozora.or.jp
URL http://aozora.or.jp/

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Filed under: あおぞらプラン,イベント案内,環境学習,西淀川公害授業,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2015年6月29日5:58 PM

どう教えてる?「西淀川公害」授業実践報告会(05/10)

5月10日(日)にあおぞらビル3階にて、「西淀川区の公害」の授業を実践した、永井健太さんをお招きして報告会を開催しました。
今までの学校で行われていた公害授業とは違う、新しい視点からどういう公害の授業が出来るかを永井さんのお話から聞くことが出来ました。

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永井健太さんによる報告です。

永井さんは大阪市立磯路小学校に勤務されており、平成26年度社会科の授業で全5時間かけて西淀川の公害の授業を行ってくれました。
きっかけは5年生の社会科「国土と環境を守る」の授業で、琵琶湖の水質汚染より子どもたちにもっと身近なものを取り上げようと思い、西淀川公害を授業の中に取り込んでくれたそうです。
西淀川公害について調べる中で、あおぞら財団のHPにたどりつき、授業でもあおぞら財団にある資料を使っていただけました。

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授業の板書と共に説明をしてくれました。

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永井さんの説明に真剣に聞き入る参加者の方々。

永井さんは子どもたちに自分たちで調べ、自分たちで考える、学ぶ意欲を引き出す授業を目指しているそうです。
子どもたち自身が関心を持つ事がとても大切だと何度も言われました。
実際の授業でも、写真を最初に見せることで子どもたちの関心が向くとのことです。
写真を元に、感想や調べたことをノートに書いていくという手法で行われていました。
授業中に自分で調べるという時間があることで、家に帰ってからインターネットで西淀川公害について調べて、授業で使う資料として持ってきている子もいたそうです。
細かな工夫で授業中の子どもたちの様子が変わってくるというのは驚きでした

参加者からは「西淀川公害について”なぜ?””どうして?”と先生ご自身が思われ、調べていって授業を組み立てたことが良かったのだと思う」と言った感想や、「小学生から答えられない質問はあったのか?」と多くの意見や質問、感想が出てきました。
実際に教育現場にいる参加者からもたくさんの意見が出され、盛り上がった報告会となりました。

また、西淀川区内の姫里小学校などで長年教鞭を取られ、現在も西淀川区内の小学校で公害の授業を行っている天野憲一郎さんからもお話を聞くことが出来ました。
あおぞら財団が作成したパネルや視聴覚教材を利用して西淀川公害についての授業を行っています。
(教材についてはコチラをご覧ください。)
小学校5年生の社会科の授業の一環として行われており、その時の様子の話もしていただけました。

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天野さんによる公害授業の説明の様子。

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質疑応答や意見の共有もしました。

現在は小学校の授業で公害が取り上げられることが減り、四大公害の名前だけを覚えるような教育となりつつあります。
その中で永井先生や天野先生のように、公害の授業が行われていることはとても大事なことだと思います。
また、その中で子どもたちが自分から興味を持って調べるということが自然と出来るようになるのは、なかなか簡単なことではありません。
あおぞら財団(西淀川・公害と環境資料館)の資料が調べ学習のお役にたてたことがとてもうれしかったです。

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(松ヶ平)

西淀川区内の小学校で公害の授業を実施しました

あおぞら財団では毎年、小学校5年生の公害の授業のお手伝いをしています。
今年度は、西淀川区内の6校で授業(出来島小、川北小、柏里小、歌島小、姫里小、佃西小)を実施しました。

2/24川北小学校にて。天野さんの授業の様子

2/24川北小学校にて。天野さんの授業の様子

西淀川区内で長年、教鞭をとられていた天野憲一郎さんが、今年も活躍してくださいました。
あおぞら財団の作成した西淀川公害学習用パネル『知っていますか?西淀川の公害』と、約25分の映像作品『手渡したいのは青い空~未来からのメッセージ』を活用した授業です。(2つの教材について詳しくはこちら。映像作品はYoutubeでご覧いただけます)

語り部としては、西淀川公害患者と家族の会から、今年は、平田和子さん、池永末子さん、山下晴美さんが協力してくださいました。

3/10姫里小学校にて。立ってお話しているのが池永さん、その右が山下さん

3/10姫里小学校にて。立ってお話しているのが池永さん、その右が山下さん

池永さんは、ぜん息で苦しむ娘さんの看病の苦労や、その後、ご自身もぜん息になて「やっぱりこの苦しみはなった者にしかわからない」と思った体験を話してくださいました。
山下さんは、発作を起こした夫の明さんの手足が紫色になっていくのを見て、「死んでしまうのでは」と恐ろしくて気が気ではなかったことなど、公害病患者の家族としての想いを語ってくださいました。

2/24歌島小学校にて。真ん中が平田さん

2/24歌島小学校にて。真ん中が平田さん

平田さんは、発作が起きて病院に運ばれたときの様子や、外科手術をする際、麻酔薬の成分がぜん息発作を誘発する可能性があり、非常に危険な手術となったことなどを語ってくれました。

語り部さんの授業は、患者さん、お一人おひとりの個性の力で、子どもたちに公害について実感をもって考えてもらえる授業です。
患者さんは、辛い体験を思い出して語ってくださるわけですが、「大事な仕事だから」と時間を割いて授業に協力してくださいます。

その想いを受けて、二度と深刻な公害を起こさないよう、子どもたちと共に考える授業にこれからも取り組んでいきたいと思います。

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(栗本)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,西淀川公害授業 — aozorafoundation 公開日 2015年3月16日5:20 PM
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