あおぞら財団 「今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(答申案)」に対する意見(2012年11月)
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「今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(答申案)」に対する意見(2012年11月)

2012年11月 パブリックコメント
宛先:環境省水・大気環境局自動車環境対策課

件名:「今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(答申案)」に対する意見

氏名:公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)

意見(1)<該当箇所>2頁(1)二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成について

<意見内容>
二酸化窒素の環境基準とその達成に関して、「上限値0.06ppm達成後も、下限値0.04ppmを目指す」と明記すべき。

<理由>
大気汚染対策として、NO2環境基準は「1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること。(53. 7.11告示)」とされているにも関わらず、関係機関や自治体における様々な報告や交渉において「上限値0.06ppmをクリアーすれば良い」との記載や認識が拡がっている。
今回の答申案においても、上限値(0.06ppm)を下回れば、「環境基準の達成」といった表現がなされている。しかし、同告示においては「1時間値の1日平均値が0.06ppmを超える地域にあっては、1時間値の1日平均値0.06ppmが達成されるよう努めるものとし、その達成期間は原則として7年以内とする。」とあるように、上限値達成はあくまで第一目標であり、本来的に、健康被害を出さないためには、下限値0.04 ppmを目指すべきものであると考えます。
本答申案においても、環境基準「ゾーン内」というあいまいな表現に関して、上限値をクリアーした後の目標と対策をどのようにとるべきかを明確にすべき。

<根拠となる出典等>
・「二酸化窒素に係る環境基準について」昭和53.7.11、環告 38

意見(2)<該当箇所>11頁(3)新しい地域パートナーシップによる取組の推進

<意見内容>
局地汚染対策に関して、さらに、地域住民、NPOなどの多様な主体の参加を図るべき。

<理由>
従来より、局地汚染対策の検討や微小粒子状物質(PM2.5)対策に関しては、地域住民やNPOなどは、パブコメを出すことはできても、既存データの検証や今後の対策に関する検討の場に参加することはほとんどできない。
これらの対策は、従来の対策の積み上げだけでは、目標達成は困難な状況であるといえ、多様な主体が参加し、それぞれのまち(都市)のあり方を含めた抜本的な対策(例:クルマ社会からの転換、自動車交通の総量規制など)が必要であり、地域住民やNPOなどの多様な主体の参加を促す支援策を位置づけるべき。

<根拠となる出典等>
・ 「新しい地域パートナーシップによる取組の指針」平成24年6月22日

意見(3)<該当箇所>13頁(3)微小粒子状物質について

<意見内容>
微小粒子状物質に関して、早急な監視体制の確立と基準達成のための早急な対策を位置付けるべき

<理由>
微小粒子状物質については平成21年9月に環境基準が設定され、基準を上回れば健康被害を引き起こすことは明らかです。平成22年度の自排局での測定結果は、ほとんど未達成であるにもかかわらず、答申案には、具体的な対策が何ら示されていない。
2005年から5年間かけて、のべ30万人が協力して行なわれた「局地的大気汚染の健康影響に関する疫学調査:そらプロジェクト(環境省)」では自動車排ガスとぜん息発症の関わりが明らかとなっており、同結果を真摯に受け止め、早急な対策を講じることを求めます。
各発生源の寄与割合が不明だとの理由から、目標設定を行わず、何ら対策が位置付けられないことは問題です。微小粒子状物質については、自動車からの排出が一定程度を占めることは明らかであり、予防原則の観点からも、早急な監視体制の確立と基準達成のための早急な対策を位置付けるべきです。

<根拠となる出典等>
「微小粒子状物質に係る環境基準の設定について(答申)」平成21年9月4日
「局地的大気汚染の健康影響に関する疫学調査-そら(SORA)プロジェクト-」、環境省

中央環境審議会大気環境部会自動車排出ガス総合対策小委員会「今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について(答申案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について(お知らせ):平成24年10月5日