あおぞら財団 環境再生にむけたNGO国際会議 北九州アピール

環境再生にむけたNGO国際会議 北九州アピール

20世紀は、先進国を中心とする急激な工業化、都市化、戦争行為などにより未曾有の環境汚染・環境破壊を経験した世紀でした。それらは、人々の健康をうばい、精神・文化・コミュニティ・経済などにも深刻な影響を及ぼしています。多国籍企業によるグローバリゼーションは事態をいっそう深刻なものにし、途上国では環境破壊型の開発が貧富の差を拡大し、生きる権利を侵害しつづけています。そして、私たち人類が祖先から受け継いできた自然と共生する知恵や思想も失われようとしています。

とりわけ、アジア地域は、近年の急速な経済発展と人口爆発、資源・エネルギーの大量消費などによって、地球環境に甚大な負荷を与える地域になろうとしています。

本会議は、「21世紀を環境再生の時代に」をテーマに、10カ国から300人が参加し、世界各地、とりわけアジアにおける公害被害や環境破壊の現状について交流し、環境再生にむけたNGOの取り組みや役割について、2日間にわたって討議しました。

私たち本会議の参加者は、地域の環境とくらしを再建する市民の取り組みが世界各地に力強く広がっていることを確認しあいました。また、環境破壊を引き起こした原因者の責任を明確にし、処罰を含めた適切な措置がなされるべきであること、原因者と政府の政策によって環境再生が行われるべきであることを確認しました。そして、市民(住民)を主体としたパートナーシップによる環境再生の事業をおしすすめていかなければならないことを確認しました。

私たちは、環境再生においても、地球サミットのリオ宣言に謳われた、①生物多様性の保全の原則、②維持可能な発展の原則、③予防的措置の原則、④公開と参加の原則、の4つの原則が必要であることを再確認しました。

そのうえで、環境再生にむけた以下の行動を提起します。

①環境破壊の加害責任を明らかにし、その責任に基づいて被害を救済するとともに、環境を破壊する企業活動や公共事業を中止し、今後の企業活動や公共事業においては予防策を徹底すること。

②残された天然資源及び地域社会・先住民と被害者の権利を守りながら、汚染の除去と復元をすすめ、より豊かな、美しい環境を実現すること。

③市民(住民)・NGOこそが地域発展の担い手であることを確認し、位置付けること。

そして、このような原則と行動によって、環境再生への実践を広げることは、生物多様性の保全や地球温暖化防止など地球的視野からみて重要な意義があると確信します。

本会議は、ESCAP主催の「クリーンな環境のための北九州イニシアティブ」に呼応して、NGOのイニシアティブにより開催されました。本会議は、アジア地域の各国が参加するESCAPに対して、①環境NGOとの意見交換をすすめるとともに、NGOの活動、とりわけ途上国のNGOの活動をサポートすること、②アジア地域の都市間連携をめざす北九州イニシアティブにおいても市民(住民)、NGOの役割に関するテーマを設定し、関係者を交えた調査・検討を行うことを提案します。日本政府にはそのためのイニシアティブを要請します。

また、テロと戦争は最大の環境破壊行為であり、今日の事態に対して私たちの心からの憂慮を表明し、各国政府に対して理性的な行動を要請します。

私たちは、21世紀を環境再生の時代にするよう最大限の努力をすることを決意し、NGO間の交流と連帯の行動を、世界の市民・NGOに呼びかけます。

2001年11月24日 環境再生にむけたNGO国際会議参加者一同