京都精華大学 環境教育実習4日目 発表チーム・マンゴーLASSI

・「チーム・マンゴーLASSI」
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 チーム・マンゴーLASSI」は、あおぞら財団や西淀川高校、国交省、企業が「住みやすい街づくり」のためにそれぞれ活動しているが、各々が言う「住みやすい街」の理想にはギャップがあるのでは?と問題提起を行いました。

ま2

 その中でも特に問題視したのは車の排煙による大気汚染ですグループメンバーの1人である台場さんのお父様の意見を参考に(まえに西淀川区役所勤務経験あり)、「伝えること」「知ってもらうこと」をキーワードに、まだ可能性のあるイベントを提案していました。「西淀川にある小学校へ大気汚染アンケート調査」や「新住民対象まちあるきツアー」「地域密着型エコ夏祭り」など硬いイベントになりすぎず誰もが楽しめるようなイベントをという想いが伝わってくる内容でした。「地域密着型エコ夏祭り」では西淀川クイズラリーを各ブースに設置する。無料うちわを配布し、うちわには企業広告や、大気汚染問題をまとめた記事を掲載させる。小学生に今後どのような環境になってほしいかを絵で描いてもらうなど、実現しやすく気軽に楽しめそうな企画でした。

ま3

 発表を聞いた学生からは「この企画を継続させていくためにどうしていくつもりか」「最後にあおぞら財団への提案という形に行きついたのは残念だ」と疑問や感想がありました。ですが発表全体を通して、今回の環境教育自習で学んだこと知ったことをもとに、情報発信をすることが私たちにできることではないか、という「チーム・マンゴーLASSI」の想いが伝わってきました。

【環境教育実習を終えて】
 事前に本を読み、担当の井上先生やあおぞら財団の林さんから当時と今の西淀川の話を聞いていましたが、実際に自分の足で訪れた西淀川は、大きな道路に車がびゅんびゅん通り、工場やビルが立ち並んだ大都会でした。空を見上げればビルやマンションの隙間から青空がみえました。今このブログは、裁判の和解金でつくられたあおぞら財団の事務所で書いています。実習で初めて西淀川に来た時も思いましたが、窓から見える風景が数十年前には、工場の煙で覆われていたのだと思うと感慨深い気持ちになります。
今回、実際に患者さんや大阪ガス、元神戸製鋼職員の山岸さん、国交省、西淀川高校から話を聞かせてもらい、西淀川公害裁判という一つの物事を様々な視点から考えたことは、私たちにとってとても貴重なことでした。
またフィールドワーク中、排気ガスの影響か、喉がイガイガする、頭が痛くなるなど体で感じた異変。車の騒音、排気ガスや下水処理場の臭いなど、五感で感じた違和感と今回聴いた人々の話から「西淀川公害はまだ終わっていないのだ」と私をはじめ多くの学生が実感しました。
永野さんが何度も口にしていた「きれいで住みやすい西淀川」にするためにはどうしたらいいのか。この課題は、患者会やあおぞら財団の力はもちろん重要だが、それだけで成し遂げられるものではなく、住民や企業、行政、教育機関との協働が必要不可欠なのだと感じました。        
京都精華大学2回生 佐久川恵美

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 環境教育実習1日目 大阪ガス
 環境教育実習1日目 永野千代子さん
 環境教育実習2日目 国交省
 環境教育実習2日目 西淀川高校
 環境教育実習2日目 山岸公夫さん(元神戸製鋼職員)
 環境教育実習3日目 発表準備
 環境教育実習4日目 発表 チーム・スパークリング
 環境教育実習4日目 発表 チーム・紅茶花伝

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京都精華大学 環境教育実習4日目 発表チーム・紅茶花伝

・「チーム・紅茶花伝」
1無題

「チーム・紅茶花伝」は他2チームと違い、イベント企画を提案するというよりも、直接話を聞かせて頂いたそれぞれの方の立場や、良い所悪い所を浮きぼりにしたうえで互いのつながりを強いものにするためにはどうするか、という精神的な取組を中心に発表しました。「チーム・紅茶花伝」が目標とするところは、西淀川公害に関する互いの認識のずれを共有したうえで新たな関係づくりに組んでいくこと。住民も企業も行政も西淀川が好きだ、この町が自慢だと思えるようになれる街づくりを目指すこと。

2無題

それを目的に掲げた背景には、森脇さんと山岸さんの対立関係にあった二人が話をしているのを見て、立場は違っても人と人とが繋がることは可能なことであるのだと感じたからだそうです。
目標を具体的にしていくために、企業や行政、地域住民という大きいな括りで対応するのではなく、それぞれ内部の人間が信頼関係を築いていく。過去から現在まで続く互いのすれ違いや認識のずれを共有し、それぞれができることを取り組んでいけるような関係へ、と考えたそうです。

3無題

発表後のコメントでは「一社員・一公務員が組織に影響を与え、地域社会の流れを変えていけるような広がりを作れるとは思えない」「感情論で説き伏せているように感じる部分があり、私たちが出来る具体的な提案も欲しかった」という意見が出ました。ですが、現実的な対策や対応の根本となる信念や考えを「チーム・紅茶花伝」なりに分析できたことはよかったことだと思います。

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環境教育実習1日目 大阪ガス
環境教育実習1日目 永野千代子さん
環境教育実習2日目 国交省
環境教育実習2日目 西淀川高校
環境教育実習2日目 山岸公夫さん(元神戸製鋼職員)
環境教育実習3日目 発表準備
環境教育実習4日目 発表 チーム・スパークリング
環境教育実習4日目 発表 チーム・マンゴーLASSI

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京都精華大学 環境教育実習4日目 発表 チーム・スパークリング

 授業最終日、発表の日がやってきました。どのチームも授業開始の2時間前にやってきてパワーポイントとレジュメの最終仕上げを行いました。皆が作業している場所でパワーポイントを実際にスクリーンに映し、リハーサルを行いましたが、どのチームも自チームの仕上げに集中して他チームのリハーサルに見向きもしませんでした。それ程みんなが一生懸命に西淀川公害に向き合っていました。

「チーム・スパークリング」
1スパークリング

 「チーム・スパークリング」は、西淀川公害問題に関する法律や制度を住民の手によって変える、という視点から発表を行いました。地域住民を主体においた理由を次のようにあげています。一つは公害患者の永野千代子さんが言う「西淀川をきれいで住みやすい街に」という想いと、行政や企業の考え方や法制度のズレを感じたこと。そして、実際にその土地に暮らしている地域住民こそ、生活環境が悪化すれば一番被害を受ける存在であり、行政などと比べて、より生活に則した現実的で根本的な改善を行えるからだとしていました.。

無題 スパークリング2

 そこで制度整備の具体的な方法として、西淀川高校を利用した環境イベントを提案しました。多くの人に関心を持ってもらうきっかけを作ることで、西淀川公害のことを知り、知ったうえで考え、法整備を求める行動につながっていくことを期待してのものです。隣接する古河ケミカルズの工場内ツアーで、現在の環境汚染対策を実際に見る。京都精華大学や第三者の視点からみた西淀川をパネル展示で紹介する。きれいで住みやすい街づくりのための地域構想を提示するなど、行政・企業・地域といった大きな枠でのつながりを主体とする具体的な内容があげられました。

無題 3

 他チームからは「イベントを催すことで本当に住民が公害や環境問題に関心を持ち、法整備へと行動して行けるのか?」「内容が少し硬く感じる。住民は気軽に参加できにくいのではないか」というコメントがでました。それでも、住民自身が自分たちの生活環境を創っていく、住民の行動が企業や国を動かす力を持つのだという想いが伝わってくる発表でした。

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 環境教育実習1日目 永野千代子さん
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 環境教育実習2日目 西淀川高校
 環境教育実習2日目 山岸公夫さん(元神戸製鋼職員)
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 環境教育実習4日目 発表 チーム・紅茶花伝
 環境教育実習4日目 発表 チーム・マンゴーLASSI

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京都精華大学 環境教育実習2日目 山岸公夫さん(元神戸製鋼職員)

・山岸公夫さん(元神戸製鉄所 職員)

山岸さんP8028111 

 西淀川フィールドワークの最後に、元神戸製鉄所職員であり、訴訟担当者であった山岸公夫さんからお話を伺いました。西淀川公害訴訟を会社側の視点から、裁判に臨む上で起こったドラマや裏話、目指したこと等を解りやすく話してくださいました。
 提訴された当時、被告企業10社間で対応組織が準備されたそうですが、企業規模の大小、大気汚染寄与の大小、立地の東西で利害対立が根底にあったため、なかなか一枚岩になれず、その調整役として山岸さんは動いていたそうです。昭和62年頃からは森脇君雄さんら原告側と裏で接触し、「裁判判決だけが西淀川公害の解決方法ではない。他にもうまい解決策があるのではないか」と考えるようになったといいます。その一方で、山岸さんは毎日会社ではなく、被告企業同士で作った会議のための事務所に出勤していたため、社内で忘れられた存在になり出世は有るや無やの状況だったとこぼしていました。その代わり人間として成長しましたと笑っていました。

無題 yamagisisann 

 西淀川公害裁判について、山岸さんは「時代の屈折点における軋みが現れたものであり、この裁判は法的責任追及ではなく、政治的判断が必要な事案だったと思う。だからこそ、この裁判をどのようにして社会的に終わらせるかが大切で、どのような終わらせ方が日本国のためになるかと考えた。」と話していました。
 話を聞いている途中で、当時裁判で闘っていたあおぞら財団会長の森脇君雄さんが訪れたことで、さらに興味深くおもしろい時間を過ごせました。森脇さんは山岸さんが裁判について語った「攻める側(原告)の大変さと守る側(被告企業)の心外さ」の「心外」という部分に引っかかったようでした。山岸さんは訴えられた当時の社会背景(「鉄は国家なり」に表せられるような高度経済成長期)のなかで、企業は日本が豊かになるために努力をしてきた。悪いことをしているつもりはなく、みんな頑張っていた。公害に対する法的仕組み築かれていない中で、後付で煙を出すのはダメだといわれるのは企業として腑に落ちない。法で定められていれば企業はきちんと法を守っていた。だから「心外」という言葉が出てきたのだと仰っていました。これに対して森脇さんは納得がいかないらしく、「心外」という言葉が心外だ、と仰っていました。この会話に2人の観点の違いが表れていると思います。学生たちも2人の話に感化されたのか、帰りの電車の中でも「山岸さんの観点は企業者としてのものであり、森脇さんの観点は西淀川に住む生活者としてのものだ。」「裁判後に原告と被告の立場で争っていた二人が同じ空間でいがみ合わず話し合えるのがすごい」などと語り合っていました。

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 環境教育実習1日目 大阪ガス
 環境教育実習1日目 永野千代子さん
 環境教育実習2日目 国交省
 環境教育実習2日目 西淀川高校
 環境教育実習3日目 発表準備
 環境教育実習4日目 発表 チーム・スパークリング
 環境教育実習4日目 発表 チーム・紅茶花伝
 環境教育実習4日目 発表 チーム・マンゴーLASSI

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京都精華大学 環境教育実習3日目 発表準備

3日目からは場所を京都精華大学に移し、西淀川での2日間のフィールドワークを踏まえて、パワーポイントとレジュメ作りに取り掛かりました。
 2日間で何を学び、何を感じたか。西淀川公害を知らない人々に私たちは何を伝えられるか。あるいは、これからあおぞら財団や企業は何をしたらいいか、という私達からの提案等を軸に据えて発表に取り組むことになりました。
10人のメンバーを3つのグループに分け、一人ひとりが感じたことをグループ内で共有し、それぞれの観点をすり合わせながら発表に向けて進めていきました。グループのメンバーが3,4人と少ない分、テーマ設定は比較的スムーズにいきましたが、そのテーマを如何に具体的に表現していくか、どこまで現実的に考えられるか、という部分でどのチームも苦労していました。

「チーム・スパークリング」は制度整備の視点から西淀川の問題にアプローチするようです。
「チーム・紅茶花伝」は住民や企業、行政がつながりを深めるためにどうしたらよいか、理念的な部分を考察していきます。
「チーム・マンゴーLASSI」は「伝えること」「知ってもらうこと」をキーワードに、地域住民が気軽に参加できる企画を考えるそうです。
はたして4日の発表はどうなるでしょうか?
教室には授業担当の井上先生が、コーヒーメーカーや冷たい麦茶、あめ玉を用意してくれました。時には井上先生自らコーヒーを片手に様子を見に来てくれたので、息抜きをしながら進めることができました。

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 環境教育実習1日目 大阪ガス
 環境教育実習1日目 永野千代子さん
 環境教育実習2日目 国交省
 環境教育実習2日目 西淀川高校
 環境教育実習2日目 山岸公夫さん(元神戸製鋼職員)
 環境教育実習4日目 発表 チーム・スパークリング
 環境教育実習4日目 発表 チーム・紅茶花伝
 環境教育実習4日目 発表 チーム・マンゴーLASSI

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京都精華大学 環境教育実習2日目 西淀川高校

西淀川高校(エコ・コミュニケーション同好会(ECC)【菊池君、百尾君、山崎さん】、辻先生(「環境」担当)、佐伯先生、畑中さん、森脇先生)

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 西淀川高校に赴くと、エコ・コミュニケーション同好会(ECC)の3人と先生方4人が出迎えてくれました。お昼ごはんもクーラーの効いた教室で食べさせてもらい、のんびりとしたアットホームな空気の中話を聞かせてもらいました。
西淀川高校は全国でも珍しく環境教育を「環境」という名で教科として取り入れている学校です。西淀川公害訴訟を背景に、地域について学びながら、生き方を考える教育をしよう!という考えのもと、立ち上げられました。

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 その中でも、ECCの生徒達は学校の早朝清掃を行ったり、地域清掃として2ヶ月に1回学校から出来島駅までをゴミ拾いをしているそうです。さらに、農作物を栽培したり、菜の花を収穫して菜の花プロジェクトにも加わっています。
 プレゼンをしてくれたECCの菊池君、百尾君、山崎さんは、入部当初「環境」に興味を持っていなかったそうですが、大学生から「西淀川の未来はどうなってほしい?」と聞かれると「植物や動物が増えてほしい」「人と人の関係がもっと豊かになってほしい」と答えていました。学生達は「ECCの生徒たちが「やらなければ」という義務感からではなく、「やりたい」と楽しみながら活動しているのが伝わってきた」「西淀川公害の歴史を持つ土地柄を生かしてフィールドワークを増やし、生徒がさらに自分事として考えられるような仕組みを作ったらどうか」と感想を語っていました。
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京都精華大学 環境教育実習2日目 国交省

国土交通省近畿地方整備局大阪国道事務所(青山淳さん、杉本さん)

P8028061 国交省

2日目は暑い中、屋外で約2時間に渡り国交省の青山淳さんと、杉本さんが国道43号の沿岸環境対策技術について説明してくれました。国道43号線は交通量が多く、阪神高速も通っているので、隣の人とも声を張りながら話さなければならず、すごい騒音と排気ガスでした。
国交省は国道43号線沿いで大気を浄化したり、騒音を低減する様々な環境対策を取っています。出来島小学校道路側の遮音壁や阪神高速の歩道部遮音壁に塗られている光触媒は、喘息の一原因である窒素酸化物(NOx)を分解し、大気浄化に寄与するそうです。また、ピュアプランターやACF(高活性炭素繊維)を設置し、大気中の二酸化窒素(NO2)やNOxを吸収することで、大気浄化に一役買っています。他にも、高速道路の遮音壁先端に減音装置を取り付け騒音防止にも取り組んでいます。大気常時観測局も道路わきに取り付けられており、NOxやCO2の濃度を測り科学的な数値を出します。ただ、これらの対策はまだ実験段階であり、効果は微量だそうです。

IMG_0711 国交省2

患者さんや住民の方が求める車の交通量規制や排気ガス問題は、法律や条例、車を作る技術などが関わってくる為、国交省の管轄や役割を超え、企業や行政、警察の力が必要になってくるものらしいです。それでも、青山さんや杉本さんは西淀川公害について学び、「自分たちに出来る事をできるだけやっていこうとしている」のだと仰っていました。その言葉の通り、私達が矢継ぎ早に出す質問にも嫌な顔一つせず、丁寧に答えてくださり、環境対策に対する熱意が伝わってきました。

国交省のホームページでも環境教育実習について掲載されています。ごらんください。

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環境教育実習1日目 永野千代子さん
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京都精華大学 環境教育実習1日目 永野千代子さん

・永野千代子さん

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 午後はあおぞら財団で永野千代子さんのお話を聞かせて頂きました。その日は台風が接近しており、気圧が変化していつもよりきついんだ、と咳をゴホゴホしながら当時の様子や現在の想いを話してくれました。
永野さんは慢性気管支炎で、彼女の息子さんも1歳半で喘息気管支炎と認定されました。その息子さんが小学4年生の時に43号線でトラックにひかれて亡くなります。そのとき小学校の校長先生に「息子さんと同じように公害で苦しんでいる子ども達がいる。その子ども達を救うことが息子さんへの一つの供養になるんじゃないかね・・・」というような言葉をかけてもらったことが運動を始めるきっかけになったそうです。
「自分は悪くないのに病気になったのはなんでや。その原因を知りたい」「空気をきれいにしないと子どもは楽にならない」そういった思いが永野さんの中にはあったそうです。西淀川をきれいにする運動をやっていけば空気がきれいなる!そう信じている仲間と一緒だからこそ運動を続けて来れたと仰っていました。現在でも国交省の人々と年に一回話し合いをしているそうです。その話し合いでは、あおぞらビル前の歌島橋交差点に横断歩道を作り、排気ガスを排出する大型ディーゼル車の交通量を減らすように求めているそうです。

P8018001 永野さん

 話の最後に、学生から「永野さんの夢って何ですか?」という質問がありました。永野さんは「西淀川をきれいにすること。そしてこの夢をあおぞら財団の人たちに託している。」と隣に座っていたあおぞら財団の林さんをニコニコして見ながら仰っていました(林さんは「ひ~っ責任重大だ」と恐縮していました)。
永野さんの話を聞いて、永野さんを含め当時闘ってきた多くの人たちが現在でも、西淀川を空気がきれいで住みやすい地域にしたいと強く思っているのだと、その場にいた学生たちは感じたようです。私も永野さんの「西淀川をきれいにしたい」という言葉には、自分たちが住んでいる街を、住みやすい環境にする為の強い想いと、自分たちの尊厳や人権を守るんだという意志が含まれているのだと感じました。

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 環境教育実習1日目 大阪ガス
 環境教育実習2日目 国交省
 環境教育実習2日目 西淀川高校
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立教大学共生社会研究センターを訪問しました

2012年7月27日(金)
立教大学共生社会研究センターを訪問しました。
ここには、住民図書館の資料や宇井純先生の資料など、市民運動の資料が沢山保存されています。
その中の一つに、千葉川鉄大気汚染裁判の資料があり、現在どの様な状態にあるのかについてお話をうかがってまいりました。
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普通の一軒家なんです。
しかし、中はびっしり資料でいっぱいです。
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上の方を紐で縛っているのは、去年の東北の地震で棚から落ちたからそうです。

宇井先生の資料を見ている時に「四日市」の文字を発見
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宇井先生の整理能力の高さはすごいなぁと思います。
ファイルを見せていただいていると、患者会とのやり取りの手紙が。
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こうやって資料が保存されているからこそわかる情報なのだなぁと思いました。

千葉川鉄大気汚染裁判の資料はまだ開架されていないようですが、
連携をしながら、整理をしていければいいなぁとお話をしました。
資料が大切に保存され、活用されている様子を見ると元気になります。
私たちもがんばります(林)

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京都精華大学 環境教育実習1日目 大阪ガス

 8月1日、2日の2日間、京都精華大学の学生10人が西淀川公害の今を学ぶため西淀川を訪れました。1日目は大阪ガス、公害患者の永野千代子さん。2日目は国土交通省、西淀川高校のエココミュニケーションクラブ、元神戸製鋼所の山岸公夫さんにお話を伺いました。そして2日間のフィールドワークもとにして、何を感じ、考えたのか8月3日と4日に京都精華大学でグループ発表を行いました。

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大阪ガス(館長代理中田洋太郎さん、CSR古寺淳二さん)
 
 環境教育実習のスタートは大阪ガスから始まりました。大阪高石市にある泉北製造所とガス科学館を見学しました。大阪ガスは西淀川公害裁判の被告企業10社中の1社で、1971年に天然ガス(LNG)への移行を決定する前までは石炭を原料にガスを作っていました。当時は此花に工場があり、石炭ガスは煙を大量に出すため、対岸にある西淀川にも被害はあったという理由で被告に挙げられました。

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 ガス科学館では館長代理の中田さんが、天然ガスが採掘されて家庭へ送られるまでの仕組みや、大阪ガスの歴史など資料館を案内しながら説明してくださいました。元技術者の中田さんは楽しそうにガスの事や機械のことを話してくださっていて、本当にガスや工場のことが好きなんだなと感じました。ただ残念なことに西淀川公害のことは資料展示にはないようでした。P8017971

 その後お話をしてくださったCSRの古寺さんは、天然ガス(LNG)について笑いを交えながら詳しく説明をしてくださいました。天然ガスはコストが安い上に、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)の発生量を石炭ガスに比べて大幅に減らし、硫黄酸化物(SOx)の発生量をゼロにするという環境にやさしいクリーンなエネルギーだそうです。古寺さんが胸を張りながら余裕を持って説明する姿から、大阪ガスという会社に自信を持っているんだなぁと感じました。
ただ、学生の中には「公害のことに触れる話をあまり聞けなかったので、社会科見学や企業説明会のような印象を受けた」と感じる人もいました。現在、工場立地場所と西淀川は離れていますが、理想を言えば、西淀川公害のことを踏まえつつ、あおぞら財団や住民の方、大阪ガスとが今よりも積極的に関われるようになれば、さらによりよい関係を築くことが出来、もっと住みやすい西淀川になっていくのではと感じました。

・京都精華大学 環境教育実習 4日間の様子はこちら
 環境教育実習1日目 永野千代子さん
 環境教育実習2日目 国交省
 環境教育実習2日目 西淀川高校
 環境教育実習2日目 山岸公夫さん(元神戸製鋼職員)
 環境教育実習3日目 発表準備
 環境教育実習4日目 発表 チーム・スパークリング
 環境教育実習4日目 発表 チーム・紅茶花伝
 環境教育実習4日目 発表 チーム・マンゴーLASSI

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