もりもとまきのアーキビストの目 No.12

みんなで決めて、みんなで闘う-「西淀川公害患者と家族の会」班長役員会議-
(資料館だより29号、2010/03)
紹介資料:昭和63年度班長役員合同会議(1988年)

「西淀川公害患者と家族の会」は、毎月欠かさず「班長役員会議」を開いていました。エコミューズでは、その会議で毎回配布された議事進行レジュメを多数所蔵しています。今回はそのなかから、’88(昭和63)年10月14日の会議のようすを見てみましょう(「昭和63年10月度班長役員合同会議」岡崎久女氏資料No.372)。

毎回欠かさず作られ、配られたレジュメ

毎回欠かさず作られ、配られたレジュメ

会議には役員と各支部の班長43名が出席し、まず事務局から、レジュメに掲載された「活動日誌」をもとに、前月の会議以降の出来事が、ひとつずつ報告されます。そして討議に移り、翌月26日に開かれる西淀川公害裁判第89回公判について、「一人でも多くの原告の傍聴参加をお願いし、支部別の参加割当をやりきることを確認」しました(同会機関紙『青空』No.90)。原告や患者に、裁判の傍聴を積極的に呼びかけることは、班長の大切な役目でした。このレジュメにある「福10、姫島14、大和田5…」は、各支部の目標参加人数です。

会議は、出席者が過半数に達しなければ中止されました。そして互いに声をかけ合い、必ず過半数以上が出席して開催し直したそうです。「みんなで決めて、みんなで闘う」という姿勢が貫かれた運動のようすを伝える資料です。

☆資料館だより29号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

カテゴリー: もりもとまきのアーキビストの目, 資料紹介 | コメントをどうぞ

もりもとまきのアーキビストの目 No.11

「公害指定地域」を守れ ―「西淀川公害患者と家族の会」の学習会―
(資料館だより28号、2010/01)
紹介資料:西淀川公害患者と家族の会昭和59年度春季学習会資料(1984年)

今回は「西淀川公害患者と家族の会 昭和59年度春季学習会資料」を紹介します(エコミューズ所蔵岡崎久女氏資料No.106)。

補償法を守り抜くために、学び、考え、動く

補償法を守り抜くために、学び、考え、動く

1974(昭和49)年9月、公害健康被害補償法が実施され、指定地域の公害病認定患者に対し、汚染原因物質の排出者から補償費が給付されることになりました。しかし企業にとってその負担は重く、財界は政府に対し、その廃止を求める動きを強めていきました。そして’83(昭和58)年11月、環境庁は、解除を含めた指定地域の見直しを中央公害対策審議会に諮問するに至ります。

指定地域が解除されれば、補償費が給付されず、公害病に苦しむ被害者の生活が脅かされることになります。その危機感のなかで、患者会は「昭和59年度春季学習会」を開きました。その際に配布されたこの資料には、「公害指定地域の解除を許さず補償法を守り抜く課題は、公害患者の生きる道を守るにとどまらず、全国総ての公害運動つぶしを許さず、総ての公害対策を放棄させない、正に全国民的でしかも緊急の課題」とあり、政財界の動向や制度上の問題点を学び、これからの運動の進め方が話し合われました。後退する公害対策に立ち向かう、患者会の懸命な姿を伝える貴重な資料です。

☆資料館だより28号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

カテゴリー: もりもとまきのアーキビストの目, 資料紹介 | コメントをどうぞ

もりもとまきのアーキビストの目 No.10

大阪公害患者の会連合会の結成 ―みんなで手を携えて―
(資料館だより27号、2009/11)
紹介資料:大阪公害患者の会連合会写真資料(1978年)

エコミューズでは、さまざまな公害患者団体の資料を所蔵しています。今回は、大阪公害患者の会連合会(以下、連合会)の写真資料を紹介します。

2,000名が集い熱気に満ちる(’78.4.20)

2,000名が集い熱気に満ちる(’78.4.20)

NO2基準緩和反対を訴える(78.11.10)

NO2基準緩和反対を訴える(78.11.10)

連合会は、1977(昭和52)年4月に結成されました。西淀川公害患者と家族の会(’72.10)を皮切りに、府内各地で患者会が発足し、それぞれがさまざまな運動を進めるなかで、患者会同士の交流や連携によって、共通の課題に取り組んでいく必要性が高まっていたのです。結成大会には、17の地域患者会から約1,000名が参加したといいます。翌’78年4月の第2回総会は(写真上)、西淀川公害裁判提訴と同じ日に開かれ、中之島公会堂に大勢の人々が集いました。

同年7月に環境庁は、大気汚染の原因のひとつである二酸化窒素(NO)の環境基準を緩和しました。産業発展を重視する政府や財界の、強い意向が働いたのです。連合会は、この動きを厳しく批判しました。写真下は、大阪市公害対策審議会大気部会NOX小委員会への抗議行動のようすです。

現在もなお、公害対策や環境行政に対して積極的な提言を続ける連合会の、結成当時の熱気を伝える貴重な資料です。

☆資料館だより27号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

カテゴリー: もりもとまきのアーキビストの目, 資料紹介 | コメントをどうぞ

西淀中学校「文化発表会」に行ってきました。

地域学習で「西淀川公害」を調べていた西淀中学校2年3組の
展示を見に、10月1日「文化発表会」に行ってきました。

あおぞら財団および、西淀川公害患者と家族の会のメンバーが
学校の授業で講師や語り部をしたり、その後、生徒さんたちが
財団の資料館(エコミューズ)に来て、調べものをしたりして、
成果をまとめました。

その名も公害新聞。

次の5つのテーマで、一枚一枚、壁新聞が作成されていました。
<裁判・判決>
<公害による病気>
<大気汚染>
<住民運動>
<今後の西淀川>

どれも文字がぎっしりつまっており、驚きました。

「過去の西淀川区は公害とかが悪かったけどこれからは
良い西淀川区をみんなで作りたいです」と感想が書いてありました。

そして、どんなものが出来上がるのかと期待に胸を膨らませて
見に行った「語り部さんの等身大パネル」。

おお、なんという迫力。

一緒に撮るとこんな感じ。

学校は生徒さんたちの活気でにぎやかでした。
また、これからもよろしくお願いします。

西淀中学校の取り組みの過去ブログはコチラ

西淀中学校の生徒さんがあおぞら財団を訪問に来ました
http://aozorabsw.exblog.jp/13208835/
西淀中学校の生徒40人がエコミューズ見学に来ました
http://aozorabsw.exblog.jp/13199784/
西淀中学校で公害の語り部授業
http://aozorabsw.exblog.jp/12921541/
西淀中学校で、西淀川公害の授業を実施しました。
http://aozorabsw.exblog.jp/12891836/

(鎗山善理子・あおぞら財団スタッフ)

カテゴリー: 出張授業 | コメントをどうぞ

大阪歴史博物館にエコミューズから資料出展

大阪歴史博物館では特別展「水都大阪と淀川」を開催中です。
9月18日(土)~11月15日(月)火曜日休館 9:30~17:00
詳しくはこちら
http://www.mus-his.city.osaka.jp/

あおぞら財団附属「西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)」
から写真資料を4点、提供しています。
図録から一部紹介します。

その他、淀川にまつわる地図や写真などたくさんの資料が
展示されていますので、ぜひ、会期中に足をお運びください。

カテゴリー: 展示, 資料紹介 | コメントをどうぞ

西淀中学校の生徒さんがあおぞら財団を訪問に来ました

9月10日、西淀中学校2年3組の生徒さんが「西淀川の公害について」というテーマで班ごとに調べ学習をするために、あおぞら財団に来ました。

班は全部で6つに分かれていて、それぞれの班では以下の調べ学習をします。

1班・語り部さんの等身大パネルの作成
・語り部さんから聞いたお話をまとめる
(語り部:池永末子さん、永野千代子さん、岡崎久女さん)

【2班~6班 新聞作り】
テーマ
2班裁判、訴訟
3班住民運動
4班今後の西淀川
5班公害による病気
6班大気汚染

それぞれのテーマに関する資料を貸してもらったり、職員に詳しい話を聞いたりしているところです。

各班代表の6人の生徒さんは真剣に話を聞いていました。
資料や話を参考に、頑張っていい新聞などを作って下さいね。
完成を楽しみにしています。

あおぞら財団インターン生 近畿大学3年 岡松成美

カテゴリー: 視察受入 | コメントをどうぞ

西淀中学校の生徒40人がエコミューズ見学に来ました

9月7日、大阪市立西淀中学校2年3組の生徒40人が、西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)を見学に来ました。事前に、6月24日に西淀川公害の授業を実施し、7月8日には西淀川公害の患者さんによる語り部授業が行われています。そして今回、あおぞら財団の資料館見学となりました。
30分という短い間でしたが、皆さん熱心に話を聞き、パネルや資料を見ていました。




自分たちの住んでいるまちに昔どんなことがあったかを知る良い機会になったのではないでしょうか。これを機会に環境に興味を持ってもらえたらと思います。

インターン生 京都府立大学 池田玲菜

カテゴリー: 視察受入 | コメントをどうぞ

西淀川図書館にあおぞら財団の資料を出展します。

「西淀川の昭和 写真展」(ケース展示)
パノラマ写真や昭和一ケタ台の工場の写真や家族のピンナップなどの懐かしい写真を見ることができます。

「セミのぬけがらしらべ セミしんぶん」(壁面展示)
8月にセミのぬけがらしらべをした時にみんなで作ったセミしんぶんを展示しています。
個性豊かなセミしんぶんを見て下さい。


■期間
9月1日~10月31日

■場所
西淀川図書館

■交通アクセス
JR東西線「御幣島駅」①号出口すぐ

■開館時間
◎火曜日~金曜日(第3木曜日は休館):午前10時~午後7時
◎土曜日・日曜日・祝・休日、7月26日~8月30日の月曜日:午前10時~午後5時

■休館日
9/6,13,16,27日
10/4,18,21,25日

作業をしたインターン生としての感想

8月23日から31日までエコミューズの資料をスキャナで取り込んで印刷してパネルに貼るという作業を中心にしていました。
なかなか印刷の色がうまくでなかったり、失敗もしましたが、職員のみなさんが指示やアドバイスをしてくださり、なんとか完成しました。
パノラマ写真の撮影場所がわかるようにグーグルマップもあります。
みなさんに分かりやすく伝わればなぁと思っています。

ぜひみなさんお越しください。

インターン生 西村友希

カテゴリー: 展示 | コメントをどうぞ

「公害地域の今を伝えるスタディツアー2010~新潟・水俣病の地を訪ねて~」が新聞で紹介されました

エコミューズスタッフの森本です。
8月4日~8日に実施した、「公害地域の今を伝えるスタディツアー2010~新潟・水俣病の地を訪ねて~」が新聞で紹介されました。

・朝日新聞(2010/08/10)
新潟水俣病「スタディーツアー」43人参加
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000001008100001

その他、新潟日報(2010/08/06)にも掲載されました。

(エコミューズ資料整理スタッフ・森本)

カテゴリー: スタディツアー | コメントをどうぞ

「公害地域の今を伝えるスタディツアー2010~新潟・水俣病の地を訪ねて~」を実施しました

エコミューズスタッフの森本です。
8月4日~8日、「公害地域の今を伝えるスタディツアー2010~新潟・水俣病の地を訪ねて~」を実施しました。
学生や社会人、スタッフ、合計43名の参加となりました。
阿賀野川のそばで、新潟水俣病を学び、語らい、考えた4日間のようすを、ダイジェストでご紹介します。

〔1日目〕
「新潟県立環境と人間のふれあい館~新潟水俣病資料館」に集合、塚田眞弘館長からレクチャーを受けながら館内を見学しました。新潟水俣病の概要や、阿賀野川の地理的・歴史的特徴、また同館が設立された経緯などを知ることが出来ました。

〔2日目~3日目〕
4班に分かれて、ヒアリングやフィールド見学に取り組みました。
ヒアリングでは、患者さん、弁護団や支援者の皆さん、行政の担当者、水俣病報道に携わった元新聞記者、水俣病学習を実践されている小学校の先生など、さまざまな立場から新潟水俣病に関わっておられる方々に、いろいろなお話をうかがうことが出来ました。

ヒアリングにご協力いただいたのは、下記の方々です。
・A班:福島市男さん(元・新潟日報記者)、坂東克彦弁護士(1次弁護団長)、橋本さん・斉藤さん(水俣病被災者の会)
・B班:高野秀男さん(新潟水俣病共闘会議)、小武節子さん(2次原告)、旗野秀人さん(冥土のみやげ企画)
・C班:山田サチ子さん(4次原告)、中村周而弁護士(4次弁護団長)、小山衛さん・小池美夏さん(新潟県福祉保健部生活衛生課営業・公害保健係)
・D班:近四喜男さん(新潟水俣病被害者の会)、阿賀野川流域地域フィールドミュージアム事業事務局の皆さん、波多野孝さん(小学校教員)

ヒアリングのようすです。
小武節子さん

近四喜男さん

坂東克彦弁護士

旗野秀人さんと安田患者会の皆さん

フィールド見学では、阿賀野川の上流・中流・河口地域に分かれて見学しました。現場を歩いたり、地元の皆さんと語らってこそ分かる、新潟水俣病や阿賀野川の長い歴史を実感することが出来ました。

各班の見学先と、ご協力いただいた方々は下記のとおりです。

・A班:河口(松浜・津島屋)-坂東克彦弁護士(1次弁護団長)

・B班:中流(安田・千唐仁)-旗野秀人さん(冥土のみやげ企画)、地元の患者や住民の皆さん

・C班:中流(安田・小松)-酢山省三さん(阿賀野患者会事務局長)、阿賀野患者会の皆さん

・D班:上流(鹿瀬)-阿賀野川流域地域フィールドミュージアム事業事務局の皆さん、高野秀男さん(新潟水俣病共闘会議)

また、参加者全員で、紙芝居『阿賀野川物語』を鑑賞しました。これは、阿賀野川流域地域フィールドミュージアム事業の一環で、阿賀町の女性紙芝居ユニット「こっこ」による制作・上演です(「こっこ」とは阿賀町の方言で「漬物」のことだそうです)。

その後、水俣病医療に長年携わってこられた関川智子医師のお話をうかがいました。医師の立場から見た、新潟水俣病という公害病の特徴や患者救済のための課題を知ることが出来ました。

ヒアリングやフィールド見学を終え、各班は翌日の発表交流会に向け、まとめ作業に取りかかりました。意見や疑問を互いにぶつけ合いながら、作業は夜更けまで続きました。

 

〔4日目〕
最終日は、いよいよ発表交流会です。4日間を通じて得た体験や実感を、班ごとに発表しました。どの班も、「自分たちには何が出来るのか」と、積極的に考えていた姿勢が印象的でした。
発表会には、ヒアリングやフィールド見学に協力して下さった方々も足を運んで下さり、私たちの発表に対して、貴重なコメントをいただくことが出来ました。

来て下さった方々:福島市男さん(元・新潟日報記者)、坂東克彦弁護士(1次弁護団長)、高野秀男さん(新潟水俣病共闘会議)、旗野秀人さん(冥土のみやげ企画)、酢山省三さん(阿賀野患者会事務局長)、近四喜男さん(新潟水俣病被害者の会)、波多野孝さん(小学校教員)、阿賀野川流域地域フィールドミュージアム事業事務局の皆さん、塚田眞弘さん(新潟県立環境と人のふれあい館館長)

 

 

ツアーの実現にご協力いただいた関係者の皆さま、本当にありがとうございました。

詳しい行程や内容は、スタディツアーウェブサイトに掲載予定です。
こちら↓
http://www.studytour.jpn.org/

ぜひご覧ください。

(エコミューズ資料整理スタッフ・森本)

カテゴリー: スタディツアー | コメントをどうぞ