もりもとまきのアーキビストの目 No.1

「もりもとまきのアーキビストの目」スタート!
はじめまして、あおぞら財団付属「西淀川・公害と環境資料館」(愛称「エコミューズ」)資料整理スタッフの森本米紀(もりもとまき)です。
『資料館だより』第20号(隔月発行)から、「もりもとまきのアーキビストの目」の連載を始めました。
アーキビストとは、文書や資料の収集・整理・保存に関わる専門家のことです。
連載では、エコミューズ所蔵資料のさまざまな顔をご紹介します。よろしくお願いします。
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大きな夢をのせた1号
紹介資料:『CRP NEWS』第1号(1996年3月)
 
はじめまして、資料整理スタッフの森本米紀(もりもとまき)です。このコーナーでは、エコミューズ所蔵のさまざまな資料を紹介します。今回は『CRP NEWS』第1号(1996年3月)。
ecomuse

「???」という方もいれば「懐かしいなあ」という方もいらっしゃるでしょう。
実はこれ、あおぞら財団の機関紙『Libella』(リベラ)の創刊号なのです。
「CRP」とは、公害地域再生センターの頭文字(Center for the Redevelopment of Pollution-damaged areas)。このころはまだ、「公害地域再生センター(仮称)設立準備会」と名乗っており、「あおぞら財団」の愛称もありませんでした。
サイズはA4、片面1枚の二色刷り1ページ。リベラ最新号(2008年7月号)は、A4サイズ両面6枚で計12ページもありますから、第1号は本当に、生まれたての赤ん坊といったかんじです。
第1号が伝えるのは、センター設立準備会の事務所開き。1996年2月7日、「各界から100人を超える人たちがかけつけ」、行われました。「公害被害者の運動の発展から生まれる環境保護団体の公益法人化は全国で初めて」で、「行政・企業・住民が連携して、新しい発想による都市の再生をめざす」運動が注目されていることを伝えてます。
『CRP NEWS』の名称はこの1号限りで、第2号からは『Libella ニュース』、そして第15号(1997年5月)から、現在の『Libella』となりました。この『CRP NEWS』は、たった1回だけの、けれど、「公害地域再生」の大きな夢を乗せた1号なのです。
私がエコミューズに通い始めてまだ3ヶ月。これから西淀川公害を伝えるたくさんの資料に触れ、見つけたもの、感じたことを、こちらで紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

☆資料館だより20号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ もりもと まき)

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イタイイタイ病 汚染ゼロをめざして、原因企業の立入調査

富山県神通川流域。「イタイイタイ病」が公害認定され、被害を訴えた裁判がはじまって今年で40年になります。公害の原因は三井金属神岡鉱業所(現、神岡鉱業株式会社)から排出されたカドミウムで、神通川に流されたカドミウムが人体、そして田畑を汚染しました。
私は2008年8月2日~3日におこなわれた「第37回 立入調査」に参加しました。あわせて、イタイイタイ病の歴史を伝える施設「清流会館」(富山市婦中町萩島)を見学しました。

●清流会館の入り口

「今日の学習会は明日のためであり、100年後のためでもある」
1972年から毎年1回、公害の原因企業の立入調査がおこなわれています。調査に参加するのは、イタイイタイ病を患った家族や親戚をもつ人、カドミウムの被害を受けた農地の所有者、それから弁護士、学者などです。イタイイタイ病裁判では1972年に被害住民が勝訴し、原因企業と住民との間で「公害防止協定」が結ばれました。この協定では、住民たちの立入調査権を認めており、立入調査を毎年実施することで、汚染を防止し、神通川のカドミウム濃度を自然界の値と同じにすることをめざしています。
立入調査には100人ほどの人たちが参加しており、1日目はこれまでの経過や次の日の立入調査のポイントを学ぶための学習会がありました。住民側の協力学者の代表として倉知三夫・京都大学名誉教授は挨拶でこう述べました。「今日の学習会は明日のためであり、100年後のためでもあるのです」と。今、この瞬間が「100年後のため」なのだと思うと、身が引き締まる思いがしました。

イタイイタイ病の歴史を伝える施設「清流会館」
被害の救済と再発防止活動の拠点として「清流会館」があります。館内には、歴史的経過がわかるパネルや汚染土壌の復元事業を説明したコーナーなどがあります。この会館は被害者団体が自ら建設し、運営している民間施設です。一方、イタイイタイ病に関しては、行政が運営する施設はありません。被害者団体は国と富山県にたいして、資料館の建設を要望しています。公害に関する資料をいかに保存し、将来へ役立てていくかは、エコミューズだけではなく、他の地域でも抱えている課題です。

●清流会館内のようす

きれいなもの(清)と汚いもの(濁)を分ける―「清濁分離」の哲学
 2日目、快晴の空のもと、7つのグループに分かれて調査がはじまりました。私は「鹿間工場コース」に参加。現在は、鉱石の採掘はおこなわれておらず、鉛のリサイクル工場として機能しています。企業の説明にたいして、質問をおこなう学者たち。そこには立場は違うものの「環境をよくしたい」という同じ想いを共有する人たちの誠実な姿がありました。
 「清濁分離」という言葉を、住民側からも企業側からも聞きました。被害者側の弁護士は「清濁分離は私たちの哲学。これを追求してきた」と述べました。きれいなもの(清)は自然に戻し、汚いもの(濁)はリサイクルするか、閉じ込めるなどして、外へは出さない。とてもシンプルな考え方ですが、これを厳密に実行するのは非常に難しいことだと思います。
 神通川のカドミウム濃度はあともう一歩で自然界レベルになるそうです。また、農地の土壌改良事業は2011年で終了予定だそうです。これはカドミウム汚染という悲惨な歴史と、その解決に努力してきた人たちの積み重ねによる結果です。今後もこの歴史と取り組みから私たちは学んでいきたいと思います。

●立入調査で企業の説明を聞く


●植栽の成果が見えてきた山

鎗山善理子(あおぞら財団)

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西淀川図書館での展示開催中(9月・10月)

9月2日
大阪経済大学 3回生 インターンシップ生 稲野 宏樹

西淀川の環境学習~セミ菜の花緑陰道路「西淀川区は環境省のモデル地域!」
西淀川図書館での展示開催中(9月・10月)  

西淀川図書館で「セミのぬけがら集め」「菜の花プロジェクト」などのいくつかの取り組みを紹介させてもらっています。
 
子ども達が書いた「セミ新聞」などが展示されております。


 

「セミのぬけがら集め」とは
 セミは環境によって種類が変わります。なので、セミのぬけがらを集めることにより、どの種類がどれだけ住んでいるかがわかり、環境の状態を知ることができるのです。
 
「セミのぬけがら集め」(あおぞら財団のブログ)はこちら

「菜の花プロジェクト」とは
 菜の花を育て、そこから採れた菜種油で車やバスの燃料を作ります。そこで排出されたCO2は、菜の花を育てるときの光合成で回収します。このような循環を作り、地球に負担をかけないようにするというのが目的です。

「菜の花プロジェクト」(西淀川菜の花プロジェクト)のブログはこちら 

展示の趣旨

西淀川では、様々な人たちが環境学習に取り組んでいます。08年は環境省のモデル地域(国連持続可能な開発のための教育の10年モデル地域)になっています。菜の花を栽培してその油でクルマを走らせようという西淀川高校での「菜の花プロジェクト」、夏休みに子どもたちと大野川緑陰道路の自然度を調査する「セミのぬけがら調べ」など、いくつか取り組みを紹介しています。
●期間=2008年9月2日(火)~10月30日(木)
休館日:9/8、9/22、9/29、9/30、10/6、10/14~10/20、10/27
●開館時間=火曜日~金曜日      10時~19時
土曜日・日曜日・祝休日 10時~17時
●場所=西淀川図書館(大阪市西淀川区御幣島1-2-10)
      TEL 06-6474-7900
   最寄駅 JR東西線「御幣島(みてじま)」駅下車 ①出口スグ

会期中のイベント

「ミニ風車で風を体験しよう」

西淀川高校生と一緒に菜の花プロジェクト紙しばいリサイクル工作をしよう
●日時=10月25日(土)14時~15時くわしくは、西淀川図書館にお問い合わせください

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韓国司法修習生の研修

2008年7月4日(金) 9:30-19:00

韓国から司法修習生(17名、通訳1名)が研修であおぞら財団にこられました。
テーマは「日本の公害・環境訴訟について」です。
00年から連続して毎年研修があります。

今年はバスをチャーターしてくれたので、
尼崎の工場を見学しました。
本当は、阪神高速湾岸線に乗って、海から西淀川を見てもらおうと思いましたが、
湾岸線の利用料の高さ(1400円)を払うのはちょっと・・・となったので
43号線を往復することになりました。
利用料の高さで二の足を踏むということは、
ロードプライシングの必要性を物語っています。

出来島小学校で大気汚染の測定局を見学しました。
西淀川の大気汚染の現状と、裁判の和解によって取り組まれた対策を紹介しました。

バスの中から公害医療センターを見学し、
大野川緑陰道路の木陰で西淀川の歴史を紹介しました。

その後、場所をあおぞら財団に移し、
あおぞら財団の説明と公害患者さんからのお話がありました。

村松専務理事(西淀川公害訴訟弁護団)から西淀川公害のレクチャーです。

韓国からのお客様はどの方も質問が活発です。
今日は、裁判の賠償金の配分や、立証の難しさなど、裁判に関する質問が集中しました。

その後、懇親会でいろんなことを片言の英語を交えて会話をしました。

日本の公害問題は、住民運動を基盤とした裁判が解決の糸口をつけてきました。
この経験は、海外でも生かされ、中国や韓国等で裁判が起こされています。
司法に携わる方々には勿論ですが、
一般の方々にも、この経験を伝えていく工夫が必要だと思います。
まだまだ、裁判用語でしか説明できていないので、反省しています。

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第2回 みんなで歩こう西淀川の歴史めぐり

あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)の開館2周年を記念して昨年に引き続き、まちあるきを開催しました。雨のため当初の予定を延期して、5月31日(土)の開催となりました。この日はあいにくの小雨。しかし、小学生から大人まで合わせて12人で、昔の地形に思いをはせながら約7キロのコースを歩きました。用意した「西淀川クイズ」に子どもたちは夢中。悪天候ながらも楽しい会となりました。
当日の様子をダイジェストでお届けします。

コース
【スタート】新佃公園→被爆者鎮魂の碑→田蓑神社→国道2号→光明寺→大野川緑陰道路→北向き地蔵→かしわの橋→池永家→野里住吉神社→あおぞら財団・エコミューズ【ゴール】
1945年6月26日、左門殿川近くの防空壕に2トン爆弾が直撃し、多くの方が亡くなりました。戦後、地域の有志が寄付を募り、鎮魂碑として地蔵堂を建立しました。

田蓑神社内にて。東京の佃島のルーツがここにあります。


光明寺
さて、つくばいには何が書いてあるのかな?


大野川緑陰道路
工場・生活排水のため、ドブ川となっていた大野川。埋め立てて高速道路になるところを住民の意見で自転車と歩行者の専用道路に生まれ変わりました。


かしわの橋・野里の渡しの跡
中津川を渡るための渡しがここにありました。


池永家
江戸時代、船場の日常生活を支えた都市近郊農家のひとつ。お庭で記念撮影しました。


野里住吉神社
大阪府指定文化財の一夜官女祭があります。力石を持ち上げられるかな?


あおぞら財団・エコミューズ
ゴールです。お疲れ様でした。

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第2回みんなで歩こう西淀川の歴史めぐり

まちを歩いて昔の地形をたどる


昔の西淀川区はどんな形をしていたのでしょう?
今はもう、なくなってしまった川や橋の姿が、
地図を見ながら歩けば見えてくる。
さあ、いっしょに見えないまちを探しにでかけましょう。

【しゅうごう】
■ひにち 2008年5月24日(土)
■じかん 午前9時30分
■ばしょ 新佃公園(ローソン佃2丁目店の向かい)
【ガイド】小田 康徳・エコミューズ館長(大阪電気通信大学教授)
【さんか】どなたでもどうぞ。小学生~高校生、おやこで参加かんげい
【もうしこみ】5月20日(火)までにもうしこんでください。
【定員】30人
【ひよう】300円(マップ代200円/保険料等100円)
【もちもの】おひるゴハン、のみもの、筆記用具
【きょり】約6キロ
【おわるじかん】午後2時ごろ
★ちゅうい⇒雨の場合は、5月31日(土)に延期(えんき)します。
後援:大阪市教育委員会

くわしくはチラシをごらんください。

お申込・お問い合わせはあおぞら財団まで。電話:06-6475-8885、FAX:06-6478-5885、電子メール:webmaster@aozora.or.jp

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韓国から研究者のお客様

2008年1月9日(水)

韓国・延世大学が中心となった「都市再生プロジェクト」の研究者4人と大阪市立大学とし研究プラザの金さんの5名が西淀川にいらっしゃいました。
このプロジェクトは韓国の国土交通省の研究プロジェクトだそうです。

<コース>
阪神電車西大阪線出来島駅集合⇒西淀川高校⇒国道43号線⇒出来島小学校⇒あおぞら苑⇒大野川緑陰道路⇒あおぞら財団

■ 西淀川高校

西淀川高校が取り組んでいるキャリア教育と環境教育、ESD(持続可能な開発のための教育)について説明がありました。
体を動かして理解する環境教育という西淀川高校ならではのプログラムを校長先生を中心に熱く語っていただきました。校内で栽培した菜の花から油をとり、ディーゼル燃料を作るBDFの機械も見学しました。

■ 出来島小学校

大気汚染測定局があります。
国道43号線沿いにあり、大気汚染物質である二酸化窒素の測定値がなかなか環境基準を下回りません。
韓国の研究者は「なぜ小学校を移転させないのか?」と不思議がっていました。
学校が地域コミュニティの中心であること、道路がコミュニティを分断して後に建設されたこと、通過交通が多い国道43号線の車を湾岸線に誘導することをあおぞら財団は提案していると説明しました。

■ あおぞら苑

公害病の患者さんが安心して老後を過ごすためにつくられたディサービス施設です。
韓国と福祉の制度が違うこともあり、みなさん興味津々でした。

■ 大野川緑陰道路

30年前に公害で汚染された川が埋め立てられて作られた自転車・歩行者専用道路です。
ここでも「なぜ川を復元しないのか?」という質問が出ました。
大野川緑陰道路を歩いていると阪神高速西宮線の高架下を通り、国道2号線、阪神高速空港線が見えてきたとき
「なぜ、西淀川にこんなに道路が多いのか!」と驚きの声が上がりました。

■ あおぞら財団

ビデオで汚染がひどかったことや、患者さんの言葉を見て、森脇理事長から裁判と地域再生についての話がありました。
裁判については、時間が短くてきちんとご説明することができず、悔いが残ります。

韓国の皆さんはとても意欲的で、活発に質問も出て、私たちが答えられないこともありました。
日本人と韓国人の違いを感じる部分です。
制度の違いも多く、日本人同士ならば説明しなくてもすむことに、説明が時間がかかるなど
国際交流ゆえの難しさもあります。
何度も質問の中で出た「なぜ移転しないのか?」という発想をいだくことが
韓国との違いでなのでしょう。
韓国と交流する中で、私たちも色々と気がつくことが多いです。

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平成19年度環境省職員研修でエコミューズ訪問

平成19年12月7日(金)、環境省職員の方々17名が、研修のため西淀川に来られました。本年度採用の若手の方を中心に、環境問題の歴史を知る現地調査の一環として、西淀川大気汚染公害の現場を訪ねることが目的です。研修はフィールドワークや公害患者の方の経験を直接聞くことなどで構成されています。

●フィールドワーク
 13時、阪神西大阪線「出来島」駅に集合された後,フィールドワーク開始です。案内役は、あおぞら財団職員の上田さんと林さんがつとめました。
 前半のコースは、出来島小学校(測定局)→国道43号線→西淀川高校でした。


 西淀川高校見学の後、後半のコースは、千北診療所→デイサービスセンターあおぞら苑→大野川緑陰道路→あおぞらビルとなります。

●あおぞら財団見学
 環境省職員の皆さんはフィールドワークの後、あおぞらビル5階の「西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)」に来館されました。


 ここでは、ビデオ「西淀川公害裁判を闘う」「公害被害体験を語り継ぐ」を上映して、西淀川公害やあおぞら財団設立の経緯などを紹介した後、大気汚染公害被害者の池永さんとあおぞら財団の森脇理事長から、被害の実態を自らの経験を交えてお話ししてもらいました。
 特に池永さんは、公害患者であるお子さんの看病で必死になっていたため、自分が発病したことに気づくのが遅れ、自らも公害病だとわかった時が1988年3月1日の公害指定地域解除後だったことにより、公害患者としての認定が受けられなかったという経験を話されました。森脇理事長も、一律に期限を区切ってしまったことで取り残された被害者が西淀川にいることを知ってもらいたい、と訴えられました。行政に携わる環境省職員の皆さんは、改めて基準などをつくることの難しさを実感されたようです。

 最後、研修に参加された方々が、一人ひとり、今日見聞きしたことの感想を述べられました。その中で、ふだん野生動物保護などの業務に携わっている方が、この研修で仕事に対する視野が広がった、という話をされていたのがとても印象的でした。予定時間を大幅に過ぎた17時頃に研修は終了しましたが、その後も、皆さん当資料館所蔵の裁判資料(大気汚染がひどかった当時の航空写真など)を閲覧されたりしておられました。

 資料整理のお手伝いをしている私としても、ささやかなやりがいを感じることができた研修だったと思います。
 (文責・樫本喜一)

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北海学園大学 浅妻裕ゼミ受け入れ

あおぞら財団ボランティア 鳥取環境大学 大高望

2007年9月13日(木)
 この日の午後、北海道にある北海学園大学の浅妻ゼミの方たちが、あおぞら財団へ見学にきました。
 まず始めに、大気汚染による西淀川公害のことから、あおぞら財団設立の経緯や現在の取り組みに至るまでVTRをまじえながらの説明です。西淀川区の位置や交通状況を、大阪市出身であるにもかかわらず、いまいち把握できていなかった私ですが、今日になって理解できました。大阪市西淀川区は兵庫県の尼崎と大阪のテーマパーク・ユニバーサルスタジオジャパンとの間に位置していて、県境でもあるせいか阪神高速道路の湾岸線や神戸線がかなりいりくんでいます。高速道路が多いせいか、あおぞら財団に来る途中、普段あまり見かけない大型トラックを何台も目にしたので、「どこか工事中?」と思ってしまいました。
 次に、あおぞらビル内にある西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)に移動し、資料見学です。裁判に用いられた何冊もの大冊子、当時では貴重な上空から撮影した大気汚染の写真集など、数々の記録を目にしました。中でも、大気汚染の模様を写した写真は目を引きました。「うわ!青いはずの空が、灰色。これって天気予報では晴れやのに、毎日くもりで星なんて見えへんやん。大気汚染は目に見えるんか」こう思わずにはいれなかった写真でした。上空から写真を撮るぞ!絶対に汚れているはずだ!と覚悟を決めた方は、今どうしているのでしょうか。
 最後は、交通まちづくりに関する取組みについての説明です。さきほどにも述べましたが、西淀川地域は高速道路が多く、大型のディーゼル車の量が多いのです。二酸化窒素やPM2.5の環境基準は安定した達成をなしとげていません。こうした中で、トラックの対策としてエコドライブを勧めています。もし仮に、全国のトラックがエコドライブを行うと、年間360万tもの二酸化炭素を削減できるそうです。それだけではなく、エコドライブをすることで、気持ちにも余裕が生まれ、事故防止にもつながるようです。私はまだ、車の免許すらありませんが、ゆっくりアクセルを踏んだり、ゆっくりブレーキをかけたり、低速交通を行うことは、座る側も安心して落ち着きます。自動車学校でも必ず教えて欲しいと思います。

 以上で今日のプログラムは終了ですが、あおぞら財団は菜の花プロジェクトも行っているのか!!と、驚いてばかりの一日でした。

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韓国人高校生の訪問

あおぞら財団 インターン  同志社大学 島中裕子

8月3日 5名の高校生と1名の引率者の計6名の韓国の方々が、あおぞら財団に来られました。高校生たちは、ソウル市主催の“グローバルリーダー養成事業”に選ばれたButterfly Effect(バタフライ・エフェクト)という女性のチームで、“日本の大気汚染の対処方案研究及び考察”を目的に、来日されました。
日本では、東京都庁や市役所、企業や工場、財団など様々なところを見学され、このあおぞら財団にも来られました。あおぞら財団では、この高校生達6名と、理事の森脇さん、財団の方々、安達先生、西淀川高校の辻先生、西淀川高校生3名で交流会が行われました。ここでは主に、“大気汚染についての市民の努力”をテーマに、あおぞら財団の活動やその効果、政策への影響、大気の保護対策についての話し合いが行われました。公害裁判の歴史のビデオや財団の説明のためのスライドを用いて、森脇さんや、財団の方々からの説明があり、それについて高校生達が質問をするという形態でした。
財団側からとしては、西淀川という区域は、周りの地区にある工場からの汚染物質が風に流されて大きな被害の出た区域であったため、その立証が難しかったことや、裁判に20年という長い年月がかかってしまったこと。また、大気汚染の原因には、主に2種類あり、自動車からの排ガスと工場からの煤煙であるため、西淀川では、道路・交通政策と工場に対する規制がなされてきたこと。例えば、西淀川では、特に、通過交通の大型車による排気ガスが大気に大きな影響を及ぼしていると言うことで、有害物質を吸収する壁にするだとか、住宅の密集している所にある道路ではなく、海に近く住宅の少ない道路を使ってもらうために、海に近い方の道路の使用料を安くするなどの様々な対策が取られていること。自動車の台数そのものを減らすという提言に対しては、まだまだ実現が難しいということ、などの説明がありました。当時の煙だらけの西淀川の写真を見て、高校生達は、本当に驚いた様子でした。私は、特に、“当時、工場からの煙を見れば、その色から、どういう物質を利用しているかが分かった”という森脇さんの話にとても驚きました。
また、森脇さんから高校生達へのアドバイスとして、“日本のことを学ぶことも大切だが、韓国での大気汚染の歴史や国の対策について学ぶことも大切だよ”とおっしゃっておられたことが、印象的でした。
高校生達から、西淀川高校生に対して、“自転車マップづくりのような環境学習には、生徒自ら、進んで取り組んでいるんですか?”という質問に対しては、西淀高生は“はいっ”と答えていました。
とにかく、みなさん、日本語が本当に上手でした!!なんと、韓国では、高校から第二外国語があるようです!驚きでした・・・
高校生達が、大気汚染というテーマを選んだのは、彼女達の内の一人が、“綺麗な空気が吸いたい”と言ったからだそうです。みなさん、本当に好奇心旺盛で、意欲があり、次の世代を担う人として、頼もしいなと感じました。
この交流会の後、みんなでお食事に行ったのですが、西淀川の高校生達とは、歳が近いこともあって、本当に仲良くなっていました!こういった国際交流の場は、なかなか体験出来ないことなので、お互いに良い経験になったのではないでしょうか。

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