環境省職員 現地研修受入 2日目(10/9)

環境省職員現地研修二日目は、朝から西淀川のフィールドワークを中心に行いました。
(一日目のブログはコチラから見れます)

バスで西淀川や尼崎の工業地帯の見学から始まりました。

まず、43号線沿いの歩道にてどのような対策がとられているか、国土交通省近畿地方整備局大阪国道事務所の方から説明を受けます。
43号線ではいろいろな対策が取られており、積極的に質問をしている姿も見られました。
実際に防音壁のある場所と、防音壁のない場所に立って、どれほど違っているのか体験しました。そうすると、防音壁があるだけでよく聞こえるといったことがよく分かります。
ですが、PM2.5の対策が難しく国も色々と悩んでいるというようなことも言っていました。

P1120596

43号線沿いからフィールドワークがスタート。

P1120611

道路対策について説明中。

P1120619

プランターにも対策がされています。

再度バスに乗ると、実際に尼崎や西淀川の工業地帯を見てきました。
かなり近場にある工場や、工業地帯を見ると皆さん驚いた様子を浮かべながらもカメラで写真を撮っていました。
尼崎の方へと行きましたが、まだまだ輸送するのはトラックが多く、車線を分けていても大きなトラックの姿が目に付きます。
外島や外島保養院跡の碑、淀川堤防などの見学を行いました。

P1120625

バスの中から真剣に外の様子をうかがっています。

P1120643

淀川堤防沿いで林さんによる説明中。

その後、あおぞら苑にて昼食をとり、あおぞら苑の辰巳致さんから話を聞きました。
なぜあおぞら苑を建て、どのような想いを持っているのか熱く語ってくださいました。
あおぞら苑とあおぞら苑Ⅱに分かれて昔の西淀川についてヒアリングしてもらうと、最初は戸惑った様子を浮かべているけれど、1時間たつと皆さんとても楽しそうに話をしています。

P1120655

辰巳さん(真中)があおぞら苑の説明をしてくれています。

P1120678

あおぞら苑にてヒアリング中。

P1120683

みなさん楽しそうに話をされています。

名残惜しみながらあおぞら苑の皆さんと分かれると、ここからは徒歩で千北診療所や、大阪ハラールレストランや西淀川にあるモスクの近くへも寄りました。モスクの下にあるお店で珍しい飲み物を買っている方もいて、とても楽しんでいました。

P1120688

千北診療所にも立ち寄りました。

大野川緑陰道路を徒歩で移動しながら、以前どんな川だったのか、昔と現在の状態を説明しながらあおぞら財団へと戻ります。

P1120693

大野川緑陰道路が川の頃の写真を見てもらってます。

あおぞら財団に戻ると4班に分かれて、ワークショップを行いました。
実際に分かれてワークショップを始めると、皆さん意見をまとめたり、班の中で意見をすり合わせていくことに迷っていたりと酷く悩んでいる様子でした。

P1120718

4班に分かれてワークショップ中。

P1120704

悩みながらみなさん話し合っています。

発表はあおぞら財団の職員や患者会の上田さんなど皆さんの前で行います。
西淀川の良い所としては、
・思ったより、西淀川の空気が良かった。
・整備をされた町だった。
・年配の方が元気な姿を見ると、医療が充実しているからではないか。
・西淀川全体が新旧混合をしており、面白さがある。
・転入者が多い。
などがあげられました。

逆に悪い所として、
・においや騒音などの公害がまだまだある。
・地盤が低く、津波の心配がある。
・工場が多く、道路がとてもうるさい。
・車の事故や健康被害が心配である。
・隠れた患者さんの存在があること。
など、実際に西淀川を歩いてみたり、患者さんたちに触れ合ったからこその意見が多く出ました。

今後、自分たちに何が出来るか、といった問いに対して、
・現場に足を運ぶ大切さを知った。
・諦めない心を持つということが大切。
・被害者や違う立場の人の事を考え、また現場に触れる事の必要性がある。
・人の話を聞き、助け合っていくことが大事だと思う。
・元々の目的を思い出す必要性がある。

P1120725

最後に各班ごと発表をしました。

P1120727

いろいろな意見も出てきました。

多くの意見や感想があり、患者会の上田さんからも
「続けていく必要性を説いてくれたのはとても嬉しい。」と環境省の皆さんに話をされていました。

P1120731

最後に上田さんからもコメントをいただきました。

今、いろいろな問題があり、職員の皆さんも質疑応答の時に自分の今の状況を見て質問している方も何人もいました。
私も移動の時にいろいろな部署で働いている方とお話をする機会があり、いろいろなことを聞けた良い機会となりました。
こうした研修で、実際に思うことや考えることを話すことで、研修に来た皆さんにとっても、私たちにとっても、とても有意義な時間となりました。
研修の時に考えたことや思ったことを、少しでも今後に活かせたらいいなと思います。

(松ヶ平)

カテゴリー: 視察受入 | コメントをどうぞ

環境省職員 現地研修受け入れ(10/8)

少し前の事になりますが、
10月8日~9日に、環境省職員の現地研修の受け入れをしました。
今回は12名の方が西淀川でのフィールドワークやエコミューズの見学などを2日にかけて行いました。


1日目はあおぞら財団で、林さんから西淀川公害やあおぞら財団の説明が行われました。

西淀川について説明をしている林さん。
西淀川やあおぞら財団について説明をしている林さん。

西淀川の歴史や公害についてふれ、地域再生プランやあおぞら財団の行っている活動など過去から現在にいたるまでの話をしました。その間、職員のみなさんは聞き入り、メモを取っている真剣な様子がうかがえました。


その後、西淀川公害裁判原告弁護団であり、CASA(地球環境市民会議)の理事でもある早川光俊弁護士から西淀川大気汚染公害裁判についての話をしていただきました。

P1120513
早川光俊弁護士。

西淀川の公害裁判が実際以下になぜ解決まで20年近くも時間がかかり、立証が難しかったのかを当時の体験談も交えて説明してくれました。普段はなかなか聞けない当時の話もあり、環境省のみなさんだけではなく、スタッフである私も聞き入ってしまいました。
P1120514
皆さんとても真剣に聞き入っていました。

その後の早川弁護士との質疑応答では、
Q:長引いていた裁判では、どのようにしてモチベーションの維持をしていましたか?
A:実際に患者さん、特に子どもや年配の方を見に行ってくることです。現場で被害者の方を見てくると、「被害者の方がいるから、自分たち(弁護士)がいる。」という感情がわいてくるからです。
Q:西淀川裁判では原告が726名とかなり多かったですが、どのようにして原告を集めたのでしょうか?
A:患者会の影響がとても強かったため、原告になってくれた患者さんが多かったのです。
Q:公害認定患者さんに対し、未認定患者さんもおられます。なぜ未認定の方も多いのでしょうか?
A:未認定患者さんがなぜ多いかというと、「結婚や就職が出来なくなる。」「地元で知られたくない。」など、色々な理由がありました。当時は誹謗中傷が酷かったために、辞退した方が多かったのです。


公害患者さんの岡崎久女さん、池永末子さん、上田敏幸さんから話をしてもらいました。
公害反対運動の話や、環境省との関係についての話の中心となりました。岡崎さんは認定患者さん、池永さんは未認定患者さん、上田さんは息子さんがぜん息で現在患者会の事務局長という立場からの話も聞かせてくれました。
P1120526
左から、林さん、上田さん、池永さん、岡崎さん。
P1120525
質疑応答もたくさん質問が出ていました。

質問では、生協の方との連携があったとの話に対し、
Q:なぜ当時生協に入っているお母さん方に着目をしていたのですか?
A:食と健康に関心を持っているお母さん方が生協には多く、生協に入っているお母さん方も公害に対してはとても関心も持ってくれていました。だから、署名を求め、結果100万人中30万人ぐらいは生協のお母さん方だと思います。
Q:裁判がよく分からないのですが、みなさんは当時どうでしたか?
A:何度も会議を開き、個人の意見の集約や思いについて、納得をするまで学び、話し合いました。ですが、立証するのは弁護士であり、法律が変わっても病気は治りません。「当たり前」が壊されたこと。それがとても腹が立ちました。ですが、うらみがあるわけではないです。うらみがあると和解が出来ませんから。


患者会の会長でもある、森脇君雄さんからも裁判当時の裏話から環境省との今までの関わり方などいろいろな話をしてもらいました。森脇さんは環境省とも関わりが長く、いろいろな話が聞け、環境省職員の方にもとても面白く話を聞いてくれている印象がありました。実際どのような活動をしていたかといって話から、裁判当時の話が多かったです。また、なぜまちづくり進めたのかといった話も出ました。

P1120549
森脇さんからのお話もとても盛り上がっていました。

森脇さんは、「地域で生きるためには考えなければいけない。旧コミュニティとのあつれきもあり、また、新しい人が増えているからこそ、まちづくりのことを進めている。」とも話をしてくれました。


最後にグループに分かれて、一日目の振り返りを行いました。
グループごとで今日のキーワードを決め、全員でキーワードの共有をおこないました。
「現場の声、それを伝えていくことの大切さ」
「現場の声が法にかかってくる。また、あおぞら財団の運営状態について」
「仕事の本質が見えるきっかけになった」
「現場の生の声、高齢化と後輩の育成」
など、いろいろなキーワードが出てきました。

P1120569
皆さん、いろいろな話をして振り返りをしていました。



二日目は西淀川のフィールドワークが中心となった研修になりました。
二日目についてはコチラを見てみてくださいね。

(松ヶ平)
カテゴリー: 視察受入 | コメントをどうぞ

「四日市公害」解説員、語り部養成講座を行いました(1/15)

1月15日(金)に四日市公害と環境未来館の解説員、語り部養成講座を行いました。

午前は、徒歩とバスを使ってのフィールドワーク(現地研修)、午後からは、あおぞら財団で、西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)の見学をしたあと、語り部の方のお話を聞き、受講したプログラムを振り返り、ワークショップを行いました。


右側後ろが43号線です。
右側後ろが43号線です。
空気を監視する装置はどこ?皆で探します。
空気を監視する装置はどこ?皆で探します。

43号線は交通量が多く、職員の林さんの話を聞く参加者の方達の後ろでは大型トラックが行き交い、騒音と排気ガスの中でのスタートになりました。

ここでは国土交通省が行う対策、出来島小学校の測定局、汚染軽減の為の白い光媒体塗装、沿道緑化、流入車規制についての話を聞きました。

その後バスに乗り、大阪市西淀川区と隣接する兵庫県尼崎の工場群やあおぞら苑、西淀川の0メートル地帯がわかる場所などを廻りました。


工場群を熱心に見られていました。
西淀川と尼崎の工場群を廻り比較しました。
遠くに煙が見えます。
遠くに煙が見えます。
環境レーンの大きな看板
環境レーンの大きな看板

バスの中では、43号線の交通量緩和の為に作られた湾岸線や、工場のすぐ側に住宅や学校が建つ、住工混在の街の風景を熱心に見られていました。




6階の資料庫の見学
6階の資料庫の見学
エコミューズの見学。パネルなど展示物の説明を受けています。
エコミューズの見学。パネルなど展示物の説明を受けています。

午後からはあおぞら財団の5階エコミューズと6階資料庫で、保存資料の説明と展示パネルを見学したあとに3階へ移動し、西淀川大気汚染公害について西淀川公害患者と家族の会の永野千代子さんと前田晴彦さんを迎え、お話を伺いました。

語り部の永野千代子さん
語り部の永野千代子さん
語り部の前田晴彦さん
語り部の前田晴彦さん

公害による病気の辛く苦しい事やそれに伴う痛みを、咳込みながら震える声で話される姿にその場に居る全員、一言も聞き逃さないように耳を傾けていました。

その後、林さんから大阪西淀川公害概要講義がありました。

全国の公害地域マップ 公害指定地域がある都道府県はどこ?
全国の公害地域マップ

 

公害指定地域がある都道府県はどこ?

質問が飛び交います。
質問が飛び交います。
皆さんメモを取りながら熱心に聞かれていました。
皆さんメモを取りながら熱心に聞かれていました。


最後のワークショップの目的は、解説員として来館者に対応するとき、どのような心がけが必要かを考えるものです。

まずはじめに、午前中のフィールドワークや語り部の方の話、資料館見学など今日のプログラムを振り返りました。その中でお一人おひとりが「もっとも興味を持ったこと、または印象に残ったこと」「理解しにくかったこと、あまり印象に残らなかったこと」を各自書き出し、共有しました。

たとえば、「印象に残ったこと」としては「大気汚染により公害患者になったいきさつがよくわかり、伝えていきたい」「病気のつらさ」「バス見学(時間があれば下車したかった)」「資料を残す必要性(大変)」といったことが挙げられました。

「理解しにくかったこと、あまり印象に残らなかったこと」という質問の部分は、むしろ「もっと知りたいと思ったこと」を書かれた方が多かったです。たとえば「未確認患者がまだ増えている中、集合住宅が増えている→今後の対応」「大気汚染対策」「地盤沈下」「工場と住居の近接」といったことです。

参加者それぞれ注目したところが違います。来館される方の興味も人それぞれでしょうから、伝え方を工夫する必要があることを確認しました。



最後に4~5人のグループにわかれ、解説する際に心がけたいこと、大事にしたいことは何か、を話し合い発表しました。

4~5人にわかれて話し合います。
4~5人にわかれて話し合います。
グループワーク発表です。たくさんの意見がでました。
グループワーク発表です。たくさんの意見がでました。



【四日市研修グループワーク発表】

■解説員として心がけたいこと、工夫したいこと

・全て語ろうとしないほうがいい。情報量が多いと受け止めるのが大変。

・場を察して近づいていく。展示を見ている人にむやみに働きかけると引かれるかも。

・現場に行くことがわかりやすい。展示コーナーでどうやって語るか。

・現場を我々は体験していない。そこを理解しないといけない。

・見に来る人には公害の関係者がいるかもしれないことを想定しておく。

・資料を大切に。

・現場を知っておくことで、語りに説得力が増す。

・よく勉強しないといけない。

・見に来る人の興味に合わせて説明する。双方向で。

・来館者に合わせた解説。自分の得意な来館者は子供達なので難しい言葉を使わない工夫をしている。公害を想像できるように、臭いお魚のことを想像するとか。大人で詳しく知りたい人達には、知識の豊富な解説員さんに対応をお願いしたい。役割分担。チームワーク

・いろいろな人がいるので、映像を見てもらってからのほうがわかりやすいのでは?



私は今回初めて研修の補佐をしましたが、語り部の方のお話を直接生で聞く事ができました。スタッフとして参加していましたが、あまりにも辛い内容なので途中で「もうやめましょう」と止めてしまいそうになってしまいました。今まで、授業や資料で知っていたはずの事でしたが、経験されてきた方の生の言葉に圧倒され衝撃を受けました。本来なら思い出したくない出来事も全て受け止め、前を向き「生きている限りはこの活動を続ける」と語ってくださった言葉に、これから自分には何ができるのか、自分で守れる生活環境をもっと意識したいと思いました。(佐々木)

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)が体験の機会の場に認定されました

「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律(環境教育促進法)」(2011年6月に成立)には「体験の機会の場」の認定制度があります。

その制度を活用して、あおぞら財団付属西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)は体験の機会の場に登録することとなりました。

全国で11番目の認定となります。

基本的には自然体験の認定が主ですが、公害資料館がこのような認定をされたことに意義があると考えています。

この制度を活用して、大阪市および環境省との協働を進めていけるようにしたいと願っています。

DSC_0006

 


環境省リンク https://edu.env.go.jp/system/state_opportunity.html

大阪市リンク http://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000335483.html




カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

資料館だより59号(2017年2月号)を発行しました。

資料館だより53号を発行しました。   エコミューズやあおぞら財団に配架しています。

omoteura

 

 

 

 

 

  PDFはこちらからどうぞ

資料館だより59号表

資料館だより59号裏    

カテゴリー: 資料館だより | コメントをどうぞ

速報!公害資料館連携フォーラムin四日市を12月11日~13日に開催

簡易チラシ_ページ_1簡易チラシ_ページ_2

簡易チラシ.compressed (2)

第3回の公害資料館連携フォーラムを四日市で開催することが決定しました。

申し込みは9月からになりますが、ぜひスケジュール帳に日程を書き込んでいただきたく存じます。
日程:2015年12月11日~13日
会場:四日市公害と環境未来館 〒510-0075 四日市市安島1丁目3番16号
   じばさん三重(公益財団法人三重県北勢地域地場産業振興センター)
〒510-0075三重県四日市市安島1丁目3番18号     
主催:公害資料館ネットワーク(代表:高田研 都留文科大学教授)
共催:環境省、四日市市(予定)
後援:三重県(予定)、三重県教育委員会(予定)、四日市市教育委員会(予定)、日本教育学会(予定)
事務局:公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)
環境省「平成27年度地域活性化に向けた協働取組の加速化事業」全国事業

<フォーラム概要>
日程  12月11日(金)フィールドワーク
            四日市公害と環境未来館、磯津、ナイトクルーズ など
    12月12日(土)午前:公害資料館ネットワーク会議
            午後:フォーラム 基調講演、分科会
    12月13日(日)午前:分科会
            午後:全体会

<フォーラム参加対象者>
各地の公害資料館関係者、教育関係者、環境NPO・NGO、公害被害者団体、研究者 など
およそ200人程度

カテゴリー: 公害資料館連携, 講座・セミナー | コメントをどうぞ

8/7-23 徳島にてパネル展が開催されます

8/7~23まで、あいぽーと徳島(徳島県立人権教育啓発推進センター)にて、
特別展「環境汚染がもたらす健康被害、人権侵害 ~人権の視点からの地域再生~」が開催されます。

あおぞら財団作成のパネル「公害 みんなで力をあわせて」を中心に、
大気汚染問題Q&A、公害患者さんの証言、公害資料館ネットワークの取り組みなどの解説パネルを追加しています。

また展示期間中の8/20(木)には、あおぞら財団の林が西淀川公害裁判について講演します。

お近くの方はぜひお立ち寄りください!

詳しくはこちら

カテゴリー: 展示 | コメントをどうぞ

エコミューズが大阪府立中央図書館の類縁機関として登録されました。

エコミューズ(あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館)のことが、大阪府立中央図書館のホームページで紹介をされました。

150806大阪府立中央図書館類縁機関

大阪府立中央図書館では類縁機関の紹介をしています。
類縁機関と言うのは図書館ではありませんが、図書や雑誌だけではなく、ビデオやDVDなどを所蔵しているところを言います。
その中でも、それらの資料を一般公開、もしくは紹介状などによって公開している機関です。
大阪府立中央図書館の類縁機関は現在161か所が登録をされています。

その中の「大阪近辺類縁機関」として、新しくあおぞら財団のエコミューズが登録をされました。
実際に登録されているページがこちらになります。
ホームページには開館日時やアクセス以外にも、公開状況や連絡先などが記載されています。

この機会に、ぜひエコミューズに足を運んでみませんか。

エコミューズ(西淀川・公害と環境資料館)
【HP】
http://www.aozora.jpn.org/ecomuse/

【開館日時】
月曜日・金曜日 10:00~17:00

【休館日時】
火曜日~木曜日・土曜日・日曜日・祝日

※月・金曜日以外の閲覧希望は要相談
※裁判記録・書庫資料は閲覧のみ

(松ヶ平)

カテゴリー: その他 | コメントをどうぞ

8/8 西淀川公害の伝える参加型教材の実践をします

あおぞら財団では今年度、地球環境基金の助成を受け、西淀川の大気汚染公害を題材にした参加型学習の教材(アクティビティ)づくりに取り組んでいます。

IMG_4822

教材づくりの研究会の様子(5/10)

_0018161

どんな教材がつくれるか意見交換

2005年に国連が提唱した「持続可能な開発のための教育(ESD)」では、現代社会の諸課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出し、持続可能な社会を創造していくことのできる教育をめざし、
単に知識の伝達にとどまらず、体験、体感を重視して、探求や実践をする参加型アプローチをとることが推奨されています。

そこであおぞら財団では、すでに様々な手法が取り入れられている環境教育や開発教育、人権教育、市民性教育といった分野で活躍されている方々の協力を得ながら、
それらの分野でつくられた既存の教材を応用して、西淀川公害についての参加型教材を試作しました。

その教材をよりよいものにしていくために、来る8/8、北海道大学を会場に開催される「第33回開発教育全国研究集会」の自主ラウンドテーブルで教材実践をすることになりました。
参加型の蓄積の厚い開発教育の分野で活動されている参加者のみなさんとともに、試作教材の検討を行います。

ご関心のある方はぜひご参加ください!!(栗本)

■□■ 第33回開発教育全国研究集会in北海道 ■□■
「市民性」を育む開発教育 ―尊重と共生の社会へ―

日時 8月8日(土)~9日(日)
会場 北海道大学
主催 第33回開発教育全国研究集会実行委員会・NPO法人開発教育協会

【自主ラウンドテーブル】
8月8日(土)16:50~18:00
2-E 大気汚染公害のESD教材化プロジェクト
http://www.dear.or.jp/zenken2015/kikaku.html

カテゴリー: 講座・セミナー | コメントをどうぞ

第53回IATSSフォーラム2日目(6/19)

研修の2日目は、9時に南森町のホテルをバスで出発しました。(フォーラム1日目のブログはこちらになります。)

大阪府農林水産環境事務所 環境情報プラザ

大阪府のこの施設は環境情報の提供、環境学習の機会や場の提供等を通じて府民、事業者、環境NPO、行政など各主体の自主的な環境保全・環境活動をサポートする拠点施設として運営されています。
郊外における行政の役割を学習するために訪問しました。

まず、「大阪府域の大気汚染」に現状について担当者からの説明を受け、健康への影響が大きい二酸化窒素・浮遊粒子状物質(SPM)・二酸化硫黄の常時観測の説明を聞きました。その後、屋上の大気汚染測定機の場所へ移動し、観測機器の説明がありました。

IMG_2020

 

次に、アスベストの環境調査グループの部署に行き、アスベストの使用状況と被害の説明を受けました。「アスベストとは以前は安価な保温・断熱材として建材に使われていました。その繊維が極めて細いため呼吸で吸い込むと、肺の機能障害が発生するため現在は使用が禁止されています」と説明を受けました。

IMG_2034

 

続いて、ダイオキシン観測室前で説明を受けました。ダイオキシンはいっぺんに多量に摂取すると、サリンの2倍の毒性があると言われている種類もあります。肝臓や腎臓へガンを発生させるとも言われている物質でもあり、観測室は十分に管理されエアー・ロック室で観測されています。

IMG_2056

 

その後、全体での質疑の時間では

Q:どこか他の場所との測定数値の交流はありますか。

A:全国の自治体との情報共有し、府の行政との提携があります。

Q:ここ30年間で大阪府の大気汚染対策の効果はどうですか。

A:明らかに大気の汚染度は減少しています。

Q「基準数値」の設定は「府」ですか「国」ですか。

A:国が基準値を設定していますが、府はそれに上乗せした基準値を持っています。

Q:事業所への指導はどのようなものですか。

A:必要な場合は事業所への立入り調査を行っており、指導の中で改善させています。

などの質疑・応答がありました。

この環境情報プラザでの研修では、大気汚染の歴史的変遷やアスベスト飛散についての説明を聞き、それを監視する測定の現場を見学することができ、担当者の話を直接聞くことができました。アスベスト検体の顕微鏡提示や、ダイオキシン観測の説明もあり、参加者の注目を集めました。ただ、説明がやや専門的な部分もあり、難しく感じた方もおられたかもしれません。かつては、高校生の授業で見学会がもたれたことがあったとの説明もありました。


大阪城へ移動し昼食、その後


此花区にある新日鐡住金株式会社製鋼所の見学をしました

住友金属は「西淀川大気汚染裁判」の被告企業の一つですが、現在は大気汚染を始め、環境対策をしっかりとって操業しています。

新日本製鉄と住友金属は2012年10月に統合されていますが、大阪市此花区島屋5丁目のこの工場では 鉄道車両品、自動車・建設機械品、産業機械品の製造・組立が行われており、従業員, 1300人. 敷地面積, 482,634m2 の大規模な工場です。


初めに安全環境室と総務室の担当者から、企業活動全体の紹介がありました。
工場の概要と製造している鉄道部車両品の車輪や台車などの説明をうけました。
9000㌧プレス機や世界的に珍しい鍛造技術などが注目されています。
英語の事業説明ビデオがあり、大変わかりやすかったです。

IMG_2075

説明後、見学用ヘルメット、上着、手袋を借りて工場内の見学です。
新幹線を初めとした鉄道車輪・台車の製造工程の一部を見学しました。曲線通過時の車両・レールの摩耗や騒音を防止するため、レールの曲線に従うように車輪の位置を調整する機構を備えた操舵台車の実物模型も見学しました。


その後、全体での質疑の時間では

Q:マンションや観光施設に隣接しているが、住民からの苦情はありませんか。

A:フォークリフトの構内移動時の警戒音は使用を止めて高輝度ライトに切り替えています。

A:この周囲一帯は工業地区であったが、周辺土地の用途変更により、この工場は住宅や観光施設が隣接した現在の配置になっています。


この工場見学では、独自で開発した世界唯一の車輪用回転鍛造プレス機など、日本の高度な技術の一部に直接触れることができ、緻密な作業の様子に参加者の注目が集まっていました。さらに、この工場で努力されている環境への配慮も説明され、きれいな水と空気を守るために、排水処理設備、排ガス処理設備など最新の諸設備が環境の保全に効果を発揮しているとの説明がありました。

工場内は全てカメラ撮影は禁止でしたが、見学の最後に全員で記念写真を撮りました。

IMG_2116


西淀川高校に移動しました

大阪府立西淀川高校は地元の方々の強い期待と要請を受けて112番目の府立学校として西淀川区出来島に開校され、今年で創立38年目を迎えています。「知・徳・体」のバランスのとれた生徒の育成を目標にし、環境の問題や地域へ開かれた学校になるよう努力を続けている特徴ある学校です。西淀川ESDの一環として「菜の花プロジェクト」の推進校でもあります。

この学校での「環境の授業」や文化祭での展示を始め、あおぞら財団との協力関係にあります。


きれいに改修された食堂で、担当の先生とECOクラブの生徒が活動の紹介を行いました。

IMG_2119

 

菜の花プロジェクトの「紙芝居」で環境問題と廃油回収活動の説明の後、生徒への質疑がありました。

IMG_2127

 

Q:廃油の回収はいつでも大丈夫ですか。

A:西淀川区内にある回収ステーションを通じて行っています。あおぞら財団も回収ステーションの1つです。

Q:回収した油はどう活用していますか。

A:尼崎の工場で石鹸を作るリサイクルをしています。

A:阪急バスでは一部ですが、エネルギーとして活用されています

Q:このクラブに入るきっかけは何でしたか。

IMG_2143

 

A:クラブの友達に誘われて入りました。活動をはじめて楽しくなりました。

Q:将来どんな仕事につきたいですか。

A:地域の公務員として環境の仕事をしてみたいです。

IMG_2141

 

A:私は介護の仕事について、人の役にたちたいです。

A:私は接客の仕事をすると思います。

A:私は保育士になって働きたいです。

Q:このクラブで学んだことを教えてください。

IMG_2142

 

A:地域の方とのコミュニケーションの大切さを学びました。

A:畑の仕事をして、農業への関心が大きくなりました。

A:朝の掃除をしてきたので、身近な場所での日常の「緑」に気をつけるようになりました。

Q:集めた廃油でバスの走行が紹介されましたが、大阪ではどのくらい走っていますか。

A:大阪ではまだ少ないです。京都市では市バスで完全に使われています。

Q:クラブの活動で嫌いなことは何ですか。

A:掃除のときは虫が出てくるので嫌です。

A:モップ作業は埃が舞い上がってつらいです。

Q:環境や公害の歴史を授業で経験してどのような感想を持っていますか。

A:西淀川は大洪水や空気の汚れの経験があるので、西淀川以外の地域でも授業でこのような問題をとりあげれば、生徒の学習への興味が高まると思います。

A:公害だけでなく、地域の歴史を知ることは大事なことなので、他の学校でも授業でやるべきだと思います。


研修参加者から「高校生が地域社会のこのような活動に参加することが、とても重要だと思いました。私たちの国でも、皆さんの事例を広げて行きたいです。これからも、活動を続けてください。」との挨拶がありました。


担当の先生からは

「子ども達は、活動の内容を外国の皆さんに聞いてもらうことができて、とても良かったと思います。全体としてとても貴重な体験ができました。ありがとうございました。」とお礼の言葉がありました。

西淀川高校では、ECOクラブ生徒の活動紹介や生徒たちの活躍する様子が紹介されました。ここの高校生が、様々な困難を抱えながらもしっかり環境の問題に向き合い、学びを通じて自分の進路の問題へも引き付けて考えていることが、とても重要なことであったことを再確認しました。西淀川地域へ拓かれた学校になるよう努力している生徒と教師集団の姿は、研修参加者の母国での教育の示唆になると思いました。


西淀川公害訴訟の地域再生の一つとして活動している「ディサービスセンター・あおぞら苑」に移動して施設の説明を受けました。

施設長の 辰巳致さんから説明を受けた後、研修生から日本での福祉や医療の現状についての質問が多数出ました。
公害の問題は、福祉と背中合わせであることが理解できたようでした。

今日もスケジュールいっぱいの日程でしたが、真剣な研修生の活動が印象的でした。

(天野)

 

カテゴリー: 視察受入 | コメントをどうぞ