あおぞら財団では、公害の経験から学び、未来を創る市民を育てる教育を行っており、その一環として「誰ひとり取り残さない! 気候変動を構造的にとらえ未来につなげる教育プログラムづくり(地球環境基金事業)」の活動に取り組んでします。
この度、その成果として、冊子『誰一人取り残さない教育のために ―公害の経験を人権教育の視点から読み解く―』を作成しました。
人びとの健康や生活環境に被害を与える公害や気候変動。公害被害地域では、差別や排除と言った問題が引き起こされたにもかかわらず、いまだ十分な手だてが打たれているとは言えません。
この冊子では、公害の経験についてお話いただいたり、調査結果を聞いたりして、人権教育に長く取り組んでこられた方々を委員にお迎えして意見交換をした上で、「誰一人取り残さない」教育のためのポイントをコラムとして執筆していただいています。
本書の特色は、個別の事例から構造的差別を読み解き、そうした課題について人権の視点から問題をどうとらえ、どのようにアプローチすることができるかを委員の方々の豊富なご経験から解説いただいている点です。
公害の経験をお話いただく方としては、水俣病の未認定患者さんや、福島から関西に避難してきて差別を受けた方、そして今なお公害病に苦しむ若年層の大気汚染公害患者など、社会の中で注目されにくいグレーな立場の方々のお話を取り上げました。
その上で、重ねて理解するために、被差別部落出身だけれどずっとかくして生きてきた女性の経験や、相思社の患者相談の中で感じられたことなどのお話もうかがっています。
以下より、pdfデータを無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。
https://aozorazaidan.stores.jp/items/658243456b5929002b328c4f(リンク先は別サイトです)
A5判 83ページ、PDFデータ。2023年12月
デザイン 表紙:須藤彩、本文:白神加奈子
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目次
はじめに
1.公害被害・差別に向き合う視点
◆認定・未認定のはざまで ――「胎児性水俣病疑い」という立場から 尾下葉子
コラム ホンモノとニセモノの線引き ――原因ではなくニーズを中心に 土肥いつき
コラム 差別をなくすために「原因」を学ぶ? 北川知子
2.人権を守るためにエンパワメントを
◆ 被災者として声を挙げるまで ――福島出身者に向けられるまなざしの中で 鈴木詩穂
コラム 「分かりたい」の落とし穴 ――どういう「問い」をもって語りに向き合うか 栗本敦子
コラム 自他の人権を守るような実践的行動力を育成する人権教育を 神村早織
3.被害構造の広がりを知る
◆「見えにくい」汚染による大気汚染公害患者の困難さ 谷内久美子
「病気という困難に強い社会」とは? ――大気汚染公害患者調査報告を受けて 尾下葉子
コラム 制度が勝ち取られてきた経緯を学ぶこと 北川知子
4.長期的かつ構造的な抑圧は当事者になにをもたらすのか
◆ なにが沈黙を生み出すのか 川﨑那恵
コラム 今の社会に適応しようとすれば、語れない 栗本敦子
コラム 「語り」が生み出される「場」 土肥いつき
◆ 患者の沈黙、語りの変化 ―水俣病患者相談の現場から 永野三智
コラム 聴く側の役割 北川知子
コラム 語ること・語らないこと、そして本当の願い 神村早織
座談会 被害と差別の痛みから社会構造を問う
おわりに
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問合せ先
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この冊子は地球環境基金の助成で作成しました。