「公害の経験から学び、未来を創る市民を育てる」
あおぞら財団

研修・教育の方針

1.研修・教育の方針

あおぞら財団の研修・教育では、下記の3つを大切にしています。

①SDGs達成に向けて学ぶ

環境・貧困・人権・平和・開発などの地球規模の課題解決のため国際的に合意された「持続可能な開発目標(SDGs)」。未来に向けてどう目標を達成するか、考えます。

②公害の経験から学ぶ

西淀川公害裁判は「地域再生」で和解をした最初の裁判です。公害被害を改善するため声を挙げ、調査や規制、救済を求めて対話を作り出した市民の経験から学びます。

③多様な視点から学ぶ

時代背景や立場の違いで物事の見え方は異なります。様々な利害関係者(ステークホルダー)の意見を聞いたり、ワークショップを取り入れたプログラムで学びを深めます。

2.気候変動と大気汚染公害の共通の視点から

公害というと過去のことという印象が強いかもしれません。

ですが、公害と気候変動には下記のようなつながりがあり、公害の経験から学ぶことは気候変動など現在の環境問題の解決の糸口につながるとの思いがあります。

①市民は社会を変える力を持つ

気候変動の主要な原因の一つであるCO2の多くは化石燃料の利用に伴い排出されるもので、現代の私たちの生活のありとあらゆるところから排出されています。大気汚染公害も同様に、NO2やPM2.5等の大気汚染物質の多くは化石燃料の利用に伴い排出されます。

また、いずれも現代の私たちの社会を成り立たせるために大量の化石燃料の消費・廃棄のために発生した人為的な事象です。私たち人間が生じさせた問題なのです。

現代の私たちの生活や経済・社会システムを見直すことが、気候変動と大気汚染公害の解決に結びつくのではないでしょうか? 生活や経済・社会システムの見直しは非常に難しいことのように感じますが、大気汚染公害では公害患者をはじめとした市民が行政や企業に働きかけ、多くの政策や対策を実現してきました。また、一人一人の行動の積み重ねから社会を変えることもできます。

あおぞら財団の研修・教育では、市民は社会を変える力を持つという視点を大事にしています。

②社会的な弱者に寄り添う

気候変動を引き起こす温室効果ガスも、大気汚染公害を引き起こすNO2やPM2.5等は、現代の人間の生活を維持する際に、大量に排出されています。これらの物質が大量に排出されればされるほど、私たちの生活は豊かになってきました。また、災害や気温上昇や大気汚染の影響から、すべての人は逃れることはできません。気候変動も大気汚染もすべての人が加害者であり特定が困難なこと、また、すべての人が被害者になりうるという点で共通点があります。つまりこの世の中のすべての人が当事者といってもよいのではないでしょうか?

その一方で、気候変動も大気汚染も、すべての人が同じように被害を受けるということではありません。例えば猛暑において、健康で裕福な人たちはエアコンを利用することができますが、高齢者や乳幼児、家計に余裕がない人たちはエアコンを利用できず熱中症になり命や健康に関わる事態になります。大気汚染においても、健康で裕福な人たちは大気環境の状態の良いところに転居し高度な医療を受けることができますが、職業の選択が困難な方や家計に余裕がない人たちは大気環境の悪い地域で住み続け、健康に悪影響を受けることになります。このように気候変動も大気汚染もすべての人が当事者でありながら、被害は社会的により弱い人に集中します。

あおぞら財団の教育・研修では、社会的に弱い立場にいる人の視点に立ち、公平で安全な社会づくりを目指す社会づくりという視点を大事にしています。