「公害の経験から学び、未来を創る市民を育てる」
あおぞら財団

フォトランゲージ「西淀川公害」

                   

○概要

  • 公害について「大気汚染がひどく、健康被害が多くあった」と口頭で伝えても、当時を知らない人にとっては、イメージするのは難しいことです。この教材は、写真をよく観察し、想像力を働かせる活動です。他の教材と組み合わせて使うと効果的です。

○ねらい

  • 写真をよく観察し、写された状況、撮影者の視点や考えを読みとります。
  • 読み取った内容を短い文章で表現してみます。
  • 大気汚染公害が起きた当時の状況について関心を持ちます。

○対象学年

  • 小学校中学年以上

○所要時間

  • 20分

○参加人数

  • 何人でも可

○会場の設定

  • グループで1枚の写真をみながら話し合える状況であればよい。スクール形式のままでも、前の列の人が振り返ることで後ろの列の人とグループになることができる。

○準備する物

写真 各グループに1枚。
同じ写真が複数になってもよい。
A4用紙 各グループに2枚(メモ用と、タイトルを発表する用)。
マーカー 各グループに1本。

○進め方の例

  1. グループ分け
    • 2~5人のグループを作ります。
  2. 写真の選択
    • 西淀川大気汚染公害に関する写真を示し、1グループ1枚ずつ選んでもらいます(あるいは配ります)。
  3. 写真の観察
    • 進行役から次のように説明し、グループで気づいた点を書き出すよう指示します。
      • 「お配りした写真をグループでよく観察し、何を伝えようとして撮った写真なのかを推理してください。この活動は、正解を当てていただくことが目的ではありません。まず、気づいたことや疑問に思ったことをグループでたくさん書き出してください。
        なにが写っていますか? いつ頃の写真ですか? 何をしているところの写真ですか?場所はどこですか?」
    • グループで書き出したことをもとに、何を伝えようとして撮った写真なのかを推理し、キャプション(タイトル)を考えるように指示します。
      • 「推理したことをもとに、新聞の写真についているようなキャプションを考えてください。後で発表していただきますから、マーカーで紙に大きく書いてください」
  4. 発表と共有
    • グループから、写真とキャプションを書いた紙を提出してもらい、全体で見えるように貼りだします。
    • その後、各グループからキャプションとその理由について発表すします。

    この活動は、写真をみながら学習者が推理をする楽しさがあります。「正解」を出すことが目的ではありません。思いがけない意見が出たときには、「なぜそう思ったのですか?」と問うなどして、丁寧に確認しながら活動を進めることで、参加者の関心を高めることができます。
    学習者が自由にどんどん意見が言えるような場にすることが大切です。

  5. 解説
    • 進行役から、写真番号順に解説をします。
    • 推理したキャプションと解説はあっていたか、解説を聞いた学習者の感想を聞きます。

    写真は9枚用意しています。参加人数によって、写真を選択してください。「A:西淀川の大気汚染」「B:健康被害について」「C:公害反対運動について」の3つのカテゴリーから1枚ずつ選び解説することで、西淀川公害の概要を把握できます。

    写真解説(例)
    写真尼崎にあった関西電力火力発電所 尼崎にあった関西電力火力発電所(1963年(昭和38)年2月22日撮影。第1発電所・第2発電所ともに1936年に完成した)。
    第1発電所は1936年9月に出力31万8,000kWとなり、東洋最大の火力発電所であった。使用燃料は石炭。
    関西電力は西淀川公害裁判の被告企業の一つ。
    発電所は沿岸に建てられているため、船が写っている。
    当時の人たちにとって、煤煙は「繁栄の象徴」であり、健康被害と関連づけにくい状況にあった。

〇感想

フォトランゲージを実施した後の感想文から(一部抜粋)
・アイスブレイクにはうってつけのワークだと思いました。
・最初に1枚の写真から想像力を働かせ連想を深めていたため、解説を集中して聴くことができました。
・1枚1枚の写真にこめられている意図がよく伝わってきました。

〇教材の問い合わせ

このフォトランゲージで用いる写真や解説等の資料は下記のページからダウンロードしてください。

あおぞら財団stores フォトランゲージ:西淀川大気汚染公害(リンク先は別サイトです)

○参考文献