あおぞら財団 交通環境教育とまちづくりのためのワークショップ
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交通環境教育とまちづくりのためのワークショップ

交通環境教育とまちづくりのためのワークショップ
~ブロックを使って地域の大気汚染の変化を学び対策を考えよう~

自動車による大気汚染問題が依然として深刻化するなか、身近な地域の環境と開発について考えることのできるプログラムがないものか? そんな発想から生まれた教材がSCPブロックを使ったワークショップです。  コンセプトは、
*科学的知識に基づき(Science Knowledge)、
*態度変容と行動変容を目的とし(attitude Change&behavior Change)、
*市民参加(civil Participation)でいっていく。
これまで、西淀川高等学校、YMCA学院高等学校などの学校現場や、開発教育や環境教育に関する研究会で実践してきました。  どんなワークができるのか?具体的な内容を報告します。なお、今回ご紹介しているのは大阪・西淀川バージョンです。 ご興味のある方は、自分の地域でも試してみてください。

● 西淀川公害とは?

「西淀川公害」についてのビデオを鑑賞した後、公害病の患者さんのお話を聞きました。 公害とは何か、大気汚染による被害にはどのようなものがあるのか、公害をなくすためにどんな活動をしてきたのかなどについて学びます。

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公害病患者さんによる語り部活動

● ブロックの組み立てと観察

 
基本地図を見ながら、1968年、1980年、1995年の3種類のブロックを組み立てました。 赤は自動車から排出される窒素酸化物(NOx)の排出量、ベージュは工場から排出されるNOxの排出量を表しています。 高く積みあがった場所ほど多くのNOxが排出されています。  次に、組み立てたブロックを観察しました。時代ごとにNOxの量や排出場所、土地利用がどのように変化しているのかを比較します。

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▲(左)1995年の基本地図 ▲基本地図をもとに組み立てたブロック  
土台の黄は工場専用地域、白は工業地域・準工業地域、  
緑は住居地域、赤は道路、青は海・河川を示している。
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▲松井克行さん(大阪府立西淀川高等学校)。
プログラムづくりを担当した。
▲ブロック組み立てのひとこま(於:西淀川高等学校)。  
右上が松村暢彦さん(大阪大学大学院工学研究科)。
ブロックの設計を担当した。

●未来への政策提言

 
NOxの排出量を削減するための解決策を、重要だと思う順に選択しました。
時間に余裕があれば、グループごとに、それぞれの対策の長所・短所を話し合って、グループとしてのランキングを完成させるなどの方法もあります。

▼重要であると思うものから順に選択していきます。

「未来の西淀川をよくするためには?」
-大気汚染物質(NOx)排出を削減するための政策提言(解決策)-

以下の政策提言(解決策)のうち,あなたが重要と思うものから順に並べて下さい。

  1. 自動車会社に自動車の燃費を改善するよう,真剣に努力してもらう。
    (普通車の燃費を1㍑=15km程度に向上させれば,燃料効率が良くなるので,NOx排出量を減らせる。)
  2. 低公害車や電気自動車を普及させるために,国や大阪府が購入補助制度を作る。
    (購入価格の一部を税金で負担する。低公害車や電気自動車が増えれば,NOx排出量を減らせる。)
  3. 一人一人が自動車の利用を自粛する(仲間どおし乗り合ったりして工夫する)。
    (自動車の利用台数を減らせば,NOx排出量を減らすことができる。)
  4. トラックなど大型車が住居地域から離れた道路を通るように,「ロードプライシング」
  5. (住居地域から離れた有料道路を利用しやすくするため値下げする制度)を活用する。
    (NOx排出総量は変化しないが,住居地域のNOx排出量を減らすことができる。)

  6. 工場により高度な「脱窒装置」をつけさせるよう,法規制する。
    (工場からのNOx排出量を,さらに減らすことができる。)
  7. 工場を住宅地から離して臨海部に移転させる。
    (NOx排出総量は変化しないが,住居地域のNOx排出量を減らすことができる。)
  8. 自転車道を作ったり,「コミュニティ・サイクルシステム」
    (どのサイクルポートでも乗り捨てできるレンタサイクルの制度)を活用して、自転車を利用しやすくする。
    (自転車の利用台数を増やせば,NOx排出量を減らすことができる。)
  9. バスや鉄道のサービスを向上させて利用しやすくする(例:本数の増加,所用時間の短縮)。
    (自動車の利用台数を減らせば,NOx排出量を減らすことができる。)
  10. 大気汚染が激しい地域では,幹線道路であっても自動車が走れないよう法律で決める。
    (自動車の利用台数を減らせば,NOx排出量を減らすことができる。)
  11. SCPブロックを使ってワークショップをしませんか

    ○出前をご希望の方は・・・・  ブロックの運搬手段を確保していただくか、送料をご負担ください。ワークショップのお手伝いもいたします。
    ○自分の地域のオリジナルソフトを作りたいという方は・・・・  こちらをご参照ください。送料のみ負担でお分けしています。  データ収集の方法や設計の方法、ブロックの入手方法などについてもご相談にのります。