あおぞら財団 尼崎道路連絡会の概要

尼崎道路連絡会の概要

尼崎道路連絡会の発足

  • 尼崎市南部地域道路沿道環境改善に関する連絡会 (尼崎道路連絡会)は、尼崎大気汚染公害訴訟の和解条項に基づいて開催されています。尼崎大気汚染公害訴訟についてはこちら(環境再生保全機構「記録で見る大気汚染と裁判」)。和解条項はこちら
  • 原告、国の道路管理者である建設省(現:国土交通省)および阪神高速道路公団(現:阪神高速道路株式会社)は、和解条項に基づき、「尼崎市南部地域道路沿道環境改善に関する連絡会」を設置しました。
  • 当初、連絡会は非公開で開催されていました。
  • 2回の開催の後、尼崎訴訟の元原告らが「国及び公団は和解条項を履行していない」と主張し、これを履行したと主張する国および公団と対立し、連絡会の円滑な進行も困難となりました。
  • 連絡会は、話し合いの場としても充分な機能を果たしていませんでした。

公害等調整委員会にあっせんを申請

  • 訴訟上の和解後、国(国土交通省)および阪神高速道路公団は一定の施策を実施しており和解条項は履行されたと主張したのに対し、尼崎訴訟の元原告らは国道43号からの大型車の交通の転換が図られておらず、和解条項の履行は不十分であると主張しました。
  • このため、尼崎訴訟の元原告らの一部は2002年10月15日、国を相手として公害紛争処理法に基づき、和解条項の誠実な履行を求めて公害等調整委員会にあっせんを申請しました
  • 2003年5月13日、和解条項に盛り込まれた環境ロードプラインシングの試行実施について、阪神高速道路公団を相手にあっせん申請が行われました。
  • 申請の内容は、「本件地域における大型車の交通量低減のための具体的削減目標を設定し、それに添う大型車規制施策を個別具体的に検討するなど、和解内容を誠実に履行」することを求めるものでした。

あっせんが成立

  • 2003年6月26日に、公害等調整委員会の調整により、あっせんが成立しました。
  • あっせん合意では、尼崎地域の国道43号の大型車交通量を低減するために「車線規制」と「ナンバー規制」を行うことの可否を検討するために、総合調査の実施や環境ロードプライシングの社会実験の施行内容の充実(阪神高速5号湾岸線の料金を大幅に下げるなどして国道43号と阪神高速3号神戸線の大型車を湾岸線に誘導する)が約束されました。
  • さらに、道路連絡会を公開で行うことも約束された。
  • 尼崎市大気汚染被害防止あっせん申請事件に係る報道資料一覧(総務省)

あっせん合意後の連絡会

  • 2003年9月30日、あっせん合意後最初の連絡会(第3回連絡会)において、尼崎訴訟の元原告らは、「事後の意見交換は、第1回、第2回の連絡会と異なり、1建設的かつ有効な意見交換を行うこと、2大型車の交通量低減のために総合的調査の実施にあたり、調査開始の準備段階から実施、試行、警察庁への要請までのすべての過程について文書・資料を公開すること、3調査結果を踏まえた警察庁への要請は文書で行い、回答も文書で行われるべきこと」を申し入れ、国もこれを受け入れました。
  • 総合調査は、大型車ドライバー等1万人以上へ調査票が配布されて実施されるなど、これまでにない大がかりな調査となり、環境ロードプライシングを他の規制と一緒に実施すれば、大型車を国道43号等から湾岸線に誘導することが可能である等の結果が出ています。
  • また、従来にはない割引率で環境ロードプライシングの社会実験も行われました。

大型車走行台数の減少

  • 2001年の国道43号と阪神高速3号神戸線の大型車合計台数(約4万台)の4分の1を削減するとの目標を立て、連絡会で交渉してきました
  • 2012年7月の調査では、大型車走行台数は約3万1千台とほぼ削減目標に結果的に達成しています。
  • この大型車走行台数の減少については景気の影響や他のさまざまな要因があり、環境ロードプライシングの充実化のみによる効果と評価することはできませんが、「公調委あっせん」合意後の連絡会で協議を重ねてきた施策が一定結実してきたことは間違いありません。
  • 尼崎道路公害訴訟原告団・弁護団としては、この状況を維持するためにも、国道43号の環境レーン(歩道寄り車線を沿道環境に配慮する環境レーンと位置づけ大型車は中央寄りのレーンを走行する施策)の合意およびルール遵守の徹底、環境ロードプライシングの充実化策と共に恒久施策化することを求めています。

意見交換の終結

  • 国道43号の大型車交通規制については不十分ではあるが、原告団・患者会が高齢化していること等を考慮したうえ、公調委での「あっせん合意」による大型車交通規制を中心とする和解合意履行に関する連絡会における協議(意見交換)を終局することとしました。
  • 協議終局に向けての合意文書には、環境ロードプライシングおよび環境レーンを恒久施策とすること、将来的課題として1阪神高速5号湾岸線の割引率をさらにあげること、2阪神高速3号神戸線の値上げを検討すること、3国道43号における「尼崎ルール」以外に「ナンバー規制と車線規制」の方策があることが盛り込まれています
  • 国土交通省近畿地方整備局道路部:「尼崎道路公害訴訟・和解条項履行に係る意見交換終結合意書」の締結について」、道路行政セミナー、2013年度11月号

原告側のページ

  • 「尼崎公害患者・家族の会」(被告企業との和解金の一部により患者の健康回復や町の再生を図るための活動拠点「尼崎ひと・まち・赤とんぼセンター」を1999年に開設、2001年には「尼崎南部再生研究室」を開設)

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