道路連絡会とは
西淀川道路連絡会とは
「西淀川地区道路環境沿道に関する連絡会」の略称。
大阪・西淀川公害裁判において原告・国・公団との間で交わされた和解条項に基づいて設置されました(1998年~。和解条項はこちら)。
西淀川地域の道路における環境施策の円滑かつ効率的な実施に資することを目的とし、国土交通省近畿地方整備局、阪神高速道路公団、原告団との間で開催されています。
同様の連絡会は国道43号・阪神高速道路沿道環境に関する連絡会に次いで2例目であり、和解条項にもとづいてのみでの開催は、全国でも初めてのことです。川崎、尼崎、名古屋南部、東京の各地域でも行われています。
西淀川公害訴訟とは?
高度経済成長期における、企業からのばい煙と道路からの排ガスによる都市型複合大気汚染の法的責任を初めて問うた、全国でも最大規模の公害訴訟。阪神工業地帯の主要企業10社と国・阪神高速道路公団を相手取り、健康被害に対する損害賠償と環境基準を越える汚染物質の排出差し止めを求めて、1978(昭和53)年に提訴しました。
1995年7月の地裁判決(2~4次)では、道路から排出される汚染物質と健康被害との因果関係があるとして、国・公団の責任を初めて認め、川崎・尼崎などの判決に影響を与えました。なお、企業との間では、1995年3月に和解が成立しています。
1995年の地裁判決では、国・公団の責任が初めて認められました。
1998年の和解では、原告である公害病患者らは地裁判決で勝訴した際の損害賠償金を放棄する代わりに、国が西淀川区の道路環境対策を実施することを約束しました。この道路連絡会は、その具体的な対策について意見交換をする場として設置されています。
意見交換の内容
① 対象道路の環境等に関すること、
② 対象道路の道路構造対策に関すること、
③ その他必要な事項に関すること
について意見交換をしています。
公開にいたる経過
2002年10月、尼崎公害訴訟の原告・弁護団らが2002年に成立した和解の内容が守られていないとして公害等調停委員会にあっせん申請を行いました(あっせんの内容はこちら)。2003年6月のあっせん合意では尼崎連絡会を公開で実施することとなり、9月31日には第1回目が開催されました。その結果を受け、西淀川でも2003年の第7回以降の道路連絡会は公開で行うこととなりました。
公開の意義
公共事業に対する市民参加のあり方は長らく課題となっていることです。そうした中、最近では、パブリック・インボルブメントとして、計画のなるべく早い段階から市民が参加できる制度が整えられつつあります。
また、すでに実施した事業に関しては、近年では河川法の改正により「淀川水系流域委員会」が設置さ、そのあり方について注目をあびました。しかし、道路事業に関しては参加の仕組みそれ自体がないというのが現状です。
道路連絡会は、国・公団と原告団との間での意見交換の場であり、地域住民が参加をする場ではありません。しかし、行政と住民とのパートナーシップや市民参画、情報公開のあり方が議論される中、西淀川道路連絡会が公開で実施されることはその先鞭をつけるものであるといえます。