あおぞら財団 第9次大阪地域公害防止計画(素案)に対する意見・提言(2012年2月)
Home » あおぞら財団の活動 » 意見・提言 » パブリックコメント・意見 » 第9次大阪地域公害防止計画(素案)に対する意見・提言(2012年2月)

第9次大阪地域公害防止計画(素案)に対する意見・提言(2012年2月)

2012年2月18日

あおぞら財団(公益財団法人公害地域再生センター) 研究員 相澤翔平

【意見】宛先:大阪府環境農林水産部環境管理室環境保全課総務・企画グループ

第3章 その他の公害防止対策 第 1 節 大気汚染対策

2 窒素酸化物対策(3)講じる施策及び達成目標

【(ア)施策の基本的方向及び達成目標】についての意見

・窒素酸化物対策の推進の目標について「さらに1時間値の1日平均値が0.04ppm以上の地域の改善に努める」としているが、1日平均値が0.04ppm以下の確実な達成を目指すべきであり、また目標の達成の期限について明記すべき。

【(エ)交通需要の抑制】についての意見

・交通需要の抑制にあたっては、環境基準を満たすための「交通量の総量削減」を行なうべきであり、そのための目標値、及び、目標達成の期限を明記すべき。

・人の移動について、鉄道、バス等への公共交通機関への転換と併せて、「自転車利用の促進」を行うことで、自動車需要の軽減を図るべき。具体的には自転車の安全に走行できる走行環境づくり、意識啓発、駐輪環境の整備等。

【(オ)交通流対策】についての意見

・『(エ)交通需要の抑制についての意見』における「自転車利用の促進」の実現に向けた道路空間の整備に際し、自転車走行ネットワークの位置づけ、及び、自転車レーンや交差点改良などの自転車走行環境の改善を行なうべき。

【(カ)局地汚染対策】についての意見

・汚染が著しい交差点などへの対策としては、沿道環境改善に加え、局地汚染地域を対象とした自動車交通量の上限 値設定及び達成期間を明記すべき。

・対策については、局地汚染に関する重点対策地区の指定(自動車NOx・PM法)を行い、関係者間の連携の下、周辺 地域を含めた自動車交通総量の削減を含む総合的な対策を講じることを明記すべき。

・実施にあたっては、地域の実情に応じた対策シュミレーション調査を行ない、交通量削減のために有効な施策(走行規制 や環境ロードプライシングの強化など)を選択し、関係者間の連携の下、行なうことを明記すべき。

【(キ)啓発活動】

・『(エ)交通需要の抑制についての意見』における「自転車利用の促進」の実現に向け、自転車の利用促進についての府民・事業者への啓発についても追加すべき。


6 微小粒子物質(3)講じる施策及び達成目標

・1992年に環境と開発に関する国際連合会議で出されたリオデジャネイロ宣言の原則15では『環境を防御するため各国はその能力に応じて予防的取組を広く講じなければならない。重大あるいは取り返しのつかない損害の恐れがあるところでは、十分な科学的確実性がないことを、環境悪化を防ぐ費用対効果の高い対策を引き伸ばす理由にしてはならない。』と明記されている。日本でも「公害健康被害の補償等に関する法律」第1条において、『この法律は、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる著しい(中略)大気の汚染の影響による健康被害を予防するために必要な事業を行うことにより、健康被害に係る被害者等の迅速かつ公正な保護及び健康の確保を図ることを目的とする。』とあり、予防の重要性が示されている。

・健康に与える影響が懸念されている微小粒子状物質(PM2.5)について、影響既に大阪府内においても、環境省や国土交通省による測定局の設置およびデータ収集がなされている。これらにより測定された数値は、米国やWHOなどが設けている基準値をはるかに上回っている。「微小粒子状物質に係る環境基準の設定について ( 答申 ) 」(平成 21 年 9 月 4 日)において、微小粒子状物質について、自動車からの排出が一定程度を占めることは明らかであることから、微小粒子物質の対策について『国の調査・検討状況を踏まえて、府域における対策を検討・実施し』とあるが、大阪府においても、予防原則に基づきPM2.5の総合的な汚染影響調査の実施と目標値達成に向けた早急な対策を講じること位置づけ、本計画に明記すべきである。

記載されていない項目について

【環境教育の推進】についての意見

・環境学習の推進について大阪21世紀の新環境総合計画の中では取り扱われているものの、本計画(素案)の中には明記されていない。公害防止の取り組みとして、市民が消費活動や移動行動などについて考え、市民レベルから公害を予防するためには環境教育の推進は欠かせないものである。したがって環境教育の推進について、本計画(素案)においても明記し、大阪21世紀の新環境総合計画と連携して、公害防止のための普及、啓発に取り組むべきである。

【環境保健対策】についての意見

・第8次大阪地域公害防止計画では、健康影響調査等の項目が明記されているものの、本計画(素案)では明記されていない。公害の健康被害が顕在化してから対策を講じるのでは手遅れであり、未然に健康被害の端を把握し、早急に対策を打つことは重要である。本計画においても環境保健対策について明記し、関連法規と連携を図りながら、府民の健康が損なわれる原因については引き続き調査を実施することが求められる。また調査結果を踏まえた具体的対策を講じる旨を明記すべきである。

参照:第9次大阪地域公害防止計画(素案)に対する府民意見等の募集について(2012年1月30日)