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12/16 グローカルで考えよう 生物多様性企画書作りワークショップを開催しました!(2日目)

12月16日(日)、岡山シティミュージアムにて、平成24年度「環境保全戦略講座(生物多様性保全分野)」グローカルで考えよう 生物多様性企画書作りワークショップ(2日目)を開催しました。2日目の今日は21名の方が参加されました。

日時:2012年12月16日(日) 10:00~16:00
場所:岡山シティミュージアム
参加人数:21名(講師4名、スタッフ4名)
主催:(独行)環境再生保全機構 地球環境基金部
企画・協力:あおぞら財団
開催協力:みずしま財団
講師の紹介:http://aozora.or.jp/archives/12359

■講師:川廷昌弘 生物多様性はコミュニケーションの世界
川廷さんはその経歴を見てもわかるように、私たちも知っている様な普及啓発事業に関わってきています。「生物多様性は外から来た言葉。でも概念としてはもともと私たち(日本人)の中にあること。一般の人にそれをどう伝えるかがポイント」と話された通り、様々な具体例を用いて、普及啓発のコツを教えてくれました。

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いかに主流化(=自分化)してもらうか、そのためにターゲットを明確化し、万人の共感ポイントに落とし込み、やってもらえるようにすることが大切です。共感ポイントとして紹介があったのが「ラク」「カッコイイ」「快適」「健康」「お得」「便利」の6つ。例えばチーム・マイナス6%のアクションの一つ「温度調節で減らそう」から生まれたクールビズは、“「ラク」「カッコイイ」からやってみると結果的に環境にもやさしかった”と、環境に関心のない人にも広く参加してもらえた普及啓発事業の成功例と言えます。

■講師:長野義春 生物を地域振興に活かす-全国各地の普及啓発の事例-
今回の生物多様性講座の総合プロデューサーでもある長野さんからは、タイトル通り、全国でもちょっと珍しいカタチの4つの普及啓発事例の紹介がありました。その中の1つを紹介します。
①山口県周南市八代地域のツルのネグラ作り
 八代地域は本州で唯一、ナベヅルが毎年越冬する地です。ナベヅルは日中稲が刈り取られた後の水田で餌を食べて過ごし、夜は山奥の谷津田で過ごします。しかしその谷津田ですが今は稲作に使われておらず、夏の間は草が生え放題です。ツルが過ごすためには草刈りをし、耕し、水を張らなければなりません。
 1970年代、ツル監視員を務める地元の農家、弘中数実さんがこのネグラ作りを1人で行っていました。見るに見かねた九州支部の野鳥の会メンバーが手伝うようになり、やがてナベヅルのネグラ作りは地元住民も手伝うようになり、毎年の恒例行事となりました。今では地元住民の他に自然保護団体、子どもたちも加わっており、作業後の宴は地域の交流だけでなく、意見交換、情報交換の重要な場にもなっています。

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長野さんは最後に、「彼らの行動を見てきた、1人の目撃者である私が彼らから学んだ事は、微笑んで握手することでした。多少そりが合わなくても、人と人がつながり、世代を超え、地域を超え、国や立場を超えて、つながろうとした事。自分の気持ちを殺して、握手した事もあったようです。(中略)普及啓発はマニアを作ることではなく、理解者と仲間を増やすことなのではないか」と話されていました。地域には様々な立場や考え方の人がいます。その中で多くの人に普及啓発するためには、考え方の違いに対立するのではなく、お互いが納得し理解しあえるポイントを探すのが大切なのではないでしょうか。

■休憩、参加者の活動紹介
お弁当を頼んでいた参加者には、地元の里山弁当を配りました。肉は一切使っておらず、砂糖の使用も極力抑えたヘルシーなお弁当です。

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休憩時間の間に、参加者の活動紹介がありました。

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■グループワーク 生物多様性を普及啓発するための企画作り
いよいよ今回の講義の目玉の企画作りです。はじめにこの企画作りの趣旨の説明がありました。長野さんは「形式通りの企画書を作るのではなく、みなさんが普段頭の中で考えているアイデア・企画を、実際に企画として作っていく。みなさんが持ち帰って、財産になるようなものを作ってほしい」と話されました。
はじめの30分は各自で企画書を書きます。声を掛ければ講師陣がアドバイスをくれます。

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次に共通の要素でつながっている企画どうしでグループに分かれ、その中で企画を1つに練り上げます。

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■グループ発表、講師のコメント
出来あがった企画書を、グループの代表が発表します。
①意識をカエル よみガエル だるまガエル
子どもたちに、田んぼの管理体験などを通して自然の大切さを感じてもらい、自然との共生を目指すものです。収入源として助成金や下敷きグッズの販売、費用として広告費、スタッフTシャツ費など具体的に考えている部分もありました。ネックとしては田んぼの確保、農家の協力を得る難しさなどが挙げられていました。

②ドラえもんの森
地域の森を地域資源として掘り起こし、癒しや健康維持、自然体験や恵みを味わう場として提供するという内容です。また各地域でそうした森を整備し、全国ネットワークを築き、地域内外の交流、世代間の交流も図ろうというものです。課題としては地主を見つける、収入をいかに得るかが挙げられていました。

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③MIJ(まちじまん)47総選挙
子どもたちに地域のこと・歴史・文化を知ってもらうため、地域を歩いて見聞きする、お年寄りの話を聞く、ものづくり体験、伝統的な道具や技に触れるなどのプログラムを用意します。ゆくゆくは各地域でマップづくりをしたり、全国大会(コンテスト)を行うことを目指します。また子ども対象ですが、親にも参加してもらい、親子世代で地域の価値を再発見してもらいます。

④OBD(おかやま・ぼっけー・でーれー・プロジェクト)
ぼっけー、でーれーはどちらも岡山弁で「すごい(すごく)」という意味です。岡山で主婦向けの30分のテレビ番組を設けて、生物多様性の豆知識を加えながら、地域の自然、地元の食材を使った料理、特産品などを紹介します。それにより岡山の自然を知ってもらうことはもちろん、食育を通じた生物多様性の啓発を目的としています。メインキャラをネコにしたり、料理を紹介した次の日にはスーパーの店頭にその食材が並ぶようお店とのタイアップを図ったりと、ユニークな工夫も見られました。

講師陣のコメントとして、「どれも実現性が低い。内容を盛り込み過ぎ。企画はもっと余計な部分を取り除いてシンプル化していく作業が必要」「そのプロジェクトの背景の説明も必要」と厳しめの意見や、「盛り込みすぎなのは、アイデアを分割してたくさんの企画書にすればいい」とアドバイスをいただきました。
最後に長野さんから締めくくりとして、「誰がその企画書を読むのか意識すること。読む人の知識レベルに合わせて背景を書くなど、読む人を教育することも必要」と、重要な視点を教えていただきました。

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■終わりに
今回の講座は日本の生物多様性を引っ張っている方々に講師として来ていただきました。参加者も生物多様性の知識だけではなく、実践に使えるツールや企画のコツをたくさん得られたのではないでしょうか。
参加者並びに講師の方々、スタッフの皆さん、2日間お疲れ様でした。ありがとうございました。

平田

■おまけ
講義が終わってから希望者を募って、会場であった岡山シティミュージアムの常設展を見学にいきました。岡山の歴史や自然を学んできました。

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