あおぞら財団 財団ブログ
公害の歴史Q&A あおぞらイコバ
公害を伝えるための資料整理寄附募集
屋上広告募集
りべら広告募集
Don't go back to the 石炭

全ての記事を表示

    キーワード検索

    アーカイブ

    カテゴリー

    最近の投稿

    最近のコメント

第4期環境フロンティア講座第3回を開催しました(7/22)

7月1日からスタートした第4期環境フロンティア講座ですが、7月22日に第3回「エネルギー政策はこれからどうなるのか、その選択肢は?」を大島堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)を講師としてお迎えし開催しました。(参加者31名)
講座の内容
◆福島原発事故が投げかけているもの
・原発は1回の事故によって、その地域一帯に放射性汚染をもたらし、甚大な被害を与えるものであり、今回の福島原発事故は世界最大規模の被害をもたらしている。このような原発に頼らないエネルギー政策を進めるべきである。
◆原発政策の「神話」による推進
・原発による深刻な事故は日本では決して起きないという安全神話や、原子力は優れたエネルギーであるという神話によって、これまで原発は推進されてきた。
・実際は「原子炉の安全性」にのみ着目し、立地などについて考慮すべきところが欠如している安全神話である。ウラン燃料も他の枯渇性資源と同じ様に消費されれば数十年で枯渇してしまうので、使用済核燃料再処理の技術開発を進めないとうまく運用できないものであり、優れたエネルギーであるという神話も、もはや神話ではない。
◆原子力発電のコストについて
・原子力発電は低いコストで発電できる利点が推進の理由として挙げられているが、実際には常に冷却が必要であり、その冷却のための揚水コストを加えると火力発電よりもコストが大きくなる。
・国の財政の一般会計の中で「エネルギー対策費」として計上されているもののほとんどが、使用済核燃料再処理技術や原発建設などのために費やされている。
・私たちが普段徴収されている電気代の中に、原発開発のための項目もある。
・東京電力の、今回の事故の処理に必要な費用はこれまで原発によって得られた事業報酬を超える可能性があり、東京電力にとって割の合わない電源であったと言えそうである。
◆エネルギー政策の課題
・老朽化、危険な立地などの条件を抱える原発の廃棄が急がれる。
・これまでは原発推進当局と、その規制当局が同じ側にある体制で進められてきたが、これらの完全分離が必要。
・送電網を全国で一体的に管理できるような体制にし、各電力会社が電力を融通できる様にすることで、原発に頼らない電力供給を可能にするべき。
◆再生可能エネルギーへの移行
・再生可能エネルギーは無尽蔵かつ膨大な資源量を元に生み出されるものである。
・ドイツでは、再生可能エネルギーへの移行を再生可能エネルギー法(2000年成立、2009年に最新の改正)を軸に政策として取り組んできた。日本でも政策として本気で取り組めば、15年くらいで原発から再生可能エネルギーへの移行ができるのではないか。
◆世界の現状
・現在世界では風力発電が爆発的に拡大している。風力発電施設の累積設置数で先頭を行くのが中国(23%)である。日本は上位10位に入っていない(1%)
・この10年で風力発電の発電量は12倍(約197000MW)にまでなっている。
・EUでは再生可能エネルギー普及の際に、最初は電力会社の反対もあったが、政策として進めていくと、電力会社が積極的に再生可能エネルギーの発電に参入してくるようになった。
◆今求められているもの
日本はこれまでどおり原子力発電の推進をするのか、それとも新しい再生可能エネルギーの道を拓くのか。市民の責任ある関与が求められている。
《参加者からの質問》
・なぜ経済的にもいいものではないとわかっていながら、国は原子力発電を進めたのか。
・日本で原子力導入にあたってアメリカの反対などもあったという指摘があるが、原発をやめていくにあたってアメリカの圧力等について何か関係するものがあるのか。
などの質問が出ました。
《参加者の感想》(一部)
・今後はそれぞれ市民の責任ある関与が必要との言葉に自分自身を新たな方向をさがしたい。
・今まで見えなかった原子力政策の裏側を少し見た様な気がしました。本当に知らなかった事ばかりでおどろいています。ありがとうございました。

7月1日からスタートした第4期環境フロンティア講座ですが、7月22日に第3回「エネルギー政策はこれからどうなるのか、その選択肢は?」を大島堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)を講師としてお迎えし開催しました。(参加者31名)

原子力発電のコストの実態や、再生可能エネルギーの可能性などについて、経済的なデータや知見に基づいたお話をしていただきました。

講座の内容

◆福島原発事故が投げかけているもの

・原発は1回の事故によって、その地域一帯に放射性汚染をもたらし、甚大な被害を与えるものであり、今回の福島原発事故は世界最大規模の被害をもたらしている。このような原発に頼らないエネルギー政策を進めるべきである。

◆原発政策の「神話」による推進

・原発による深刻な事故は日本では決して起きないという安全神話や、原子力は優れたエネルギーであるという神話によって、これまで原発は推進されてきた。

・実際は「原子炉の安全性」にのみ着目し、立地などについて考慮すべきところが欠如している安全神話である。ウラン燃料も他の枯渇性資源と同じ様に消費されれば数十年で枯渇してしまうので、使用済核燃料再処理の技術開発を進めないとうまく運用できないものであり、優れたエネルギーであるという神話も、もはや神話ではない。

◆原子力発電のコストについて

・原子力発電は低いコストで発電できる利点が推進の理由として挙げられているが、実際には常に冷却が必要であり、その冷却のための揚水コストを加えると火力発電よりもコストが大きくなる。

・国の財政の一般会計の中で「エネルギー対策費」として計上されているもののほとんどが、使用済核燃料再処理技術や原発建設などのために費やされている。

・私たちが普段徴収されている電気代の中に、原発開発のための項目もある。

・東京電力の、今回の事故の処理に必要な費用はこれまで原発によって得られた事業報酬を超える可能性があり、東京電力にとって割の合わない電源であったと言えそうである。

◆エネルギー政策の課題

・老朽化、危険な立地などの条件を抱える原発の廃棄が急がれる。

・これまでは原発推進当局と、その規制当局が同じ側にある体制で進められてきたが、これらの完全分離が必要。

・送電網を全国で一体的に管理できるような体制にし、各電力会社が電力を融通できる様にすることで、原発に頼らない電力供給を可能にするべき。

◆再生可能エネルギーへの移行

・再生可能エネルギーは無尽蔵かつ膨大な資源量を元に生み出されるものである。

・ドイツでは、再生可能エネルギーへの移行を再生可能エネルギー法(2000年成立、2009年に最新の改正)を軸に政策として取り組んできた。日本でも政策として本気で取り組めば、15年くらいで原発から再生可能エネルギーへの移行ができるのではないか。

◆世界の現状

・現在世界では風力発電が爆発的に拡大している。風力発電施設の累積設置数で先頭を行くのが中国(23%)である。日本は上位10位に入っていない(1%)

・この10年で風力発電の発電量は12倍(約197000MW)にまでなっている。

・EUでは再生可能エネルギー普及の際に、最初は電力会社の反対もあったが、政策として進めていくと、電力会社が積極的に再生可能エネルギーの発電に参入してくるようになった。

◆今求められているもの

・日本はこれまでどおり原子力発電の推進をするのか、それとも新しい再生可能エネルギーの道を拓くのか。市民の責任ある関与が求められている。

《参加者からの質問》

・なぜ経済的にもいいものではないとわかっていながら、国は原子力発電を進めたのか。
・日本で原子力導入にあたってアメリカの反対などもあったという指摘があるが、原発をやめていくにあたってアメリカの圧力等について何か関係するものがあるのか。

などの質問が出ました。

《参加者の感想》(一部)
・今後はそれぞれ市民の責任ある関与が必要との言葉に自分自身を新たな方向をさがしたい。
・今まで見えなかった原子力政策の裏側を少し見た様な気がしました。本当に知らなかった事ばかりでおどろいています。ありがとうございました。

記:相澤

コメントはまだありません »

No comments yet.

RSS feed for comments on this post.

Leave a comment