あおぞら財団 中島工業団地で地球温暖化防止のための エコドライブ実証実験を行っています
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中島工業団地で地球温暖化防止のための エコドライブ実証実験を行っています

この度、地元・西淀川区に立地する中島工業団地との共同により、地球温暖化防止のためのエコドライブ実証実験を実施することになりました。
貨物交通における環境管理は、現在の法的な規制だけでは限界を有し、地域全体での取り組みが求められています。 地域全体を対象とした効果的な温室効果ガス低減方策の検討のためには、区域の通過自動車交通とともに、区域に関連する発生・集中自動車交通の環境負荷削減に取り組む必要があります。
この実験は、エコドライブを実施することにより、経済的なインセンティブのもとに環境負荷削減に取り組むことのできるきっかけづくりを、環境NGOである本財団と事業者各社との協働で実施するものです。

●実施時期:2003年11月中旬~2004年2月初旬   *実験開始:12月3日(水)

●協力者 :
実験実施/三協運輸㈱ 代表取締役・河合良紀氏(大阪市西淀川区中島2-2-3)
調査協力/(社)大阪工業団地協会
機材提供/エコナビゲーションシステム:ミヤマ㈱、トーメン㈱、コシダテック㈱
デジタルタコグラフ:矢崎総業㈱
●調査体制:
*検討委員
塩崎賢明(神戸大学大学院工学研究科教授)
新田保次(大阪大学大学院工学研究科教授)
西村 弘(大阪市立大学大学院経営学研究科教授)
馬場明男(ビーズ・地域プランニング研究所)
早川光俊(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議専務理事)
松村暢彦(大阪大学大学院工学研究科助手)
*ワーキング委員
新田保次(大阪大学大学院工学研究科教授)
松村暢彦(大阪大学大学院工学研究科助手)
竹内雄亮(大阪大学大学院工学研究科土木工学専攻博士前期課程)
吉田雄亮(大阪大学工学部地球総合工学科土木工学科目学生)
馬場明男(ビーズ・地域プランニング研究所)

●調査内容

平成15年度中島工業団地による地球温暖化防止実証実験取り組み
    1、調査の目的

地球温暖化防止対策は焦眉の課題であり、温室効果ガス排出量の増加傾向が著しい運輸部門、特に、貨物交通における環境管理が急務の課題となっています。
貨物交通における環境管理は、現在の法的な規制だけでは限界を有し、地域全体での取り組みが求められています。
地域全体を対象とした効果的な温室効果ガス低減方策の検討のためには、区域の通過自動車交通とともに、区域に関連する発生・集中自動車交通の環境負荷削減に取り組む必要があります。
そこで、本調査研究は、貨物自動車の環境負荷が高い中島工業団地(大阪市西淀川区)をケース・スタディ地域とし、工業団地関連交通に関するCO2低減のための実証実験を通じて、総合的な視点から効果的な環境負荷削減策を検討することを目的とします。

    2、経過

(1)中島工業団地について
大阪市西淀川区中島2丁目にある工業団地。公害や住工混在地域が深刻化し、1970年代後半から検討されていた工場集団化の構想に基づき、公害防止事業団(現・環境事業団)の事業として業種別の協同組合が設立される形で設立しました。現在は、製造業、運輸業を中心に約150社が立地しています。

(2)これまでの調査
本工業団地では、大阪大学交通工学システム研究室の協力のもと1999年からアンケート調査を実施し、毎回90%以上の高い回答を得ています。今回の実証実験は、これまでの調査研究の蓄積を踏まえて実施するものです。

    <これまでの活動>
    ①アンケート調査
    *西淀川地域沿道環境対策に関する住民意識調査(1999年度)
    *貨物自動車の利用に関する事業所アンケート(2000年度)
    *貨物車の利用と低公害車の導入取組に関する事業所アンケート(2002年度)
    ②シンポジウム
    *人と環境にやさしいトラック輸送を考える懇談会(2002年2月、於:(社)大阪大阪工業団地協会会館)

    3、実証実験の概要

(1) 実証実験の概要
・貨物自動車(マニュアル車)へのデジタルタコグラフやエコドライブナビゲーションシステムなどの車載及びデータ解析によるドライバーへのエコドライブ*啓発に伴うCO2、NOx、SPM低減(燃料費削減=経営収支)効果等に関する実証実験

    *エコドライブとは?
    ①無用なアイドリングはやめる(アイドリングストップ)
    ②経済速度で走る。
    ③点検・整備をきちんとし、タイヤの空気圧を適正にする。
    ④無駄な荷物は積まない。
    ⑤無駄な空ぶかしをやめる。
    ⑥急発進、急加速、急ブレーキをやめ、適切な車間距離をとる。
    ⑦マニュアル車は早めにシフトアップする。
    ⑧違法駐車をしない。
    ⑨エアコンの使用を控えめにする。
    ⑩マイカー利用は、相乗りに努める。また、公共交通機関が利用可能な場合には、できる限り公共交通機関を利用する。

*エコドライブ推進の意義
・(環境面)…CO2の削減につながる
・(安全面)…事故の防止
・(経済面)…燃費コストの削減

<参考>
◇経済面での効果(営業費用の構成(H13))
・エコドライブによる経費削減効果の試算(表1-略)
・一般管理費は、事業所規模が大きいほど割合が低い
[参考文献]:全日本トラック協会:経営分析報告書-平成13年度決算版

(2) 実証実験の概要
① 対象事業所…三協運輸㈱
<概要>
・運輸・通信業  ・従業員数:18名
・使用貨物車:23台 うち小型貨物車1台・普通貨物車(普通)9台・普通貨物車(大型)9台・特殊車(普通)1台・特殊車(大型)3台
・ 1出発当たりの平均走行距離:575㎞(概算)
*11~20台所有の運輸業の平均的な走行距離(約200㎞)よりも長い
・貨物車使用目的:納品・販売、業務機材の輸送、廃棄物輸送
・輸送品目:金属機械品
・タコグラフ:全車にアナログタコグラフを装着
*デジタコは今後装着するつもりである。
・貨物車自主管理:エコドライブを徹底させている
*環境意識は、非常に高い

② 対象事業所に対する調査等協力依頼内容
a.環境会計、ISO14000シリーズ、自動車使用管理計画など、現行において実施されている事業者における自主的な取り組みに関するヒアリング
b.社有車等へのデジタルタコグラフとエコドライブナビゲーションシステムの設置
*設置システム及び設置車数…デジタルタコグラフ2台
エコドライブナビゲーションシステム1台
c.デジタルタコグラフとエコドライブナビゲーションシステム設置前後の燃費データの提供
d.デジタルタコグラフとエコドライブナビゲーションシステム設置期間中におけるドライバーへの解析データ及び改善点提示とドライバーの意識変化や交通行動変容等に関するヒアリング調査の実施(事前・中間・事後の3回)

③ 実証実験を通じて検討を行う内容
a.デジタルタコグラフとエコドライブナビゲーションシステムによるCO2排出量削減効果の検討
b.デジタルタコグラフとエコドライブナビゲーションシステムの設置による従業員に対する心理方略的手法による交通行動変容等の効果と事業者における導入効果の検討
c.デジタルタコグラフやエコドライブナビゲーションシステムなどの導入による企業経営効果の検討
d.デジタルタコグラフやエコドライブナビゲーションシステムの中島工業団地内企業等への波及性に関する検討

④ 実験方法
・デジタルタコグラフとエコドライブナビゲーションシステムを各車両に装着する。
・初めの1~2週間は、走行データをドライバーに公表しない。その後3週間はドライバーに公表し、走行指導を行い、走行変化を見る。

⑤ 評価方法

評価視点
評価項目
評価指標
環境
温暖化対策 CO2排出量*
エネルギー
燃費の向上*
その他エネルギー消費量**
経済
営業費用低減 燃費コスト低減*
(修繕費、事故賠償費)**
環境意識
運転方法 エコドライブ実施度*
事業内環境意識 環境の位置づけ(事業所とドライバー)**
事業外環境意識
環境の位置づけ(家庭での)**
マイカーの燃費**
通勤方法**
その他
実現可能性
今後の継続の意思**
デジタコ等導入の意思**
ドライバーの感想**
環境、経済性への期待**
還元システムの実現性**

注) *:デジタコまたはエコナビから取れるデータ
**:アンケートやヒアリングから取れるデータ

⑥ 実証実験の期間
2003年11月中旬~2004年2月上旬  *実験開始 12月3日(水)

(3) デジタルタコグラフ及びエコドライブナビゲーションシステムの概要

デジタルタコグラフ
(DTG2)
エコドライブナビゲーションシステム(MHS-01)
製造元・販売元
矢崎総業(株)(製造・販売元)
ミヤマ(株)(製造元)、(株)コシダテック(販売元)トーメン(株)
システムの概要
・車載機からの音声(アナウンス又はブザー)案内
・記録データカードに走行状態(時間・速度・距離・エンジン回転数等)を記録し、事務所側リーダ及び解析ソフトで、経済走行評価や運行管理データを作成
・GPS設置で通行経路データも作成可能
・車載機からの音声(アナウンス)及びエコグラフメータ案内
・エコグラフメーターと音声ガイドにより低燃費運転をリアルタイムにナビゲート
・車載機のメモリカードに走行状態(時間・速度・距離・エンジン回転数等)を記録し、事務所側リーダ及び解析ソフトで、経済走行評価や運行管理データを作成
企業の導入目的面
・安全管理を主目的とし、経費削減をめざす
・運転管理を中心に、管理者及びドライバーの作業軽減化を目的
・省エネ運転を主目的とし、経費削減をめざす
・運転管理の作業軽減化とともに、ドライバー指導面での強化が目的
導入企業の適正面
・ドライバーを多く抱える企業に適正
*ドライバー間の相対エコドライブ成績比較による啓発が必要
・ドライバーを多く抱えなくても、ドライバーの運転評価が可能
企業への波及性
・運送業等を中心に、運転管理等の面での作業効率向上が期待できる
・国土交通省認定品のため波及性大
・今年春から発売された新商品
その他
・燃費削減量からCO2削減換算
・燃費削減量からCO2削減換算