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市民塾・第2回講座「自動車を使うことの社会的費用負担」


第Ⅵ期道路環境市民塾 第2回講座「〜自動車を使うことの社会的費用負担〜」

日 時:6月21日(土) 14:00〜17:00
場 所:あおぞらビル3階・グリーンルーム
参加者:15名

「道路特定財源からクルマ社会を考える」を全体テーマとする第Ⅵ期道路環境市民塾の第2回講座は、6月21日(土)にあおぞらビルで行われ、当塾運営委員を交えた15名が参加しました。

〔講座の大要〕
 講座の前半(第1部)は、前回(第1回)講座に続いて兒山(こやま)真也先生(兵庫県立大学経済学部准教授)に講師をお願いし、講演1で「自動車の社会的費用について」と題しての講演を、講演2で「兵庫県の道路整備と財源に関する国会議員等アンケート調査」の結果についての解説を、それぞれしていただき、講座の後半(第2部)は、当日の参加者全員により、市民として自動車所有者の費用負担をどのように考えるか(?)について、議論の場を持ちました。

第1部

 第1部・講演1では、道路利用の社会的費用が(1)道路損傷費用などの「道路サービス供給費用」、(2)混雑費用・事故費用などの「他の道路利用者への外部費用」、(3)温暖化費用などの「道路利用者以外への外部費用」に分類され、それぞれの内容や推計値がどうなっているかについて、外部費用(社会的限界費用)を中心に詳しく説明していただき、これらに基づいて道路財源制度を検討するにあたり、そこで考えるべき①道路交通の費用を誰がどれだけ負担すべきか(?)と②外部費用負担による収入をどう使うか(?)の問題について、EU・欧州諸国における考え方や実情も交え、要点の説明が加えられました。

 続いての講演2では、第1回の講座で報告された当該アンケート調査の趣旨・方法及び結果の概要に加え、調査にあたってのねらいである①今後の道路整備の水準と内容、②道路特定財源や自動車利用者の負担、③兵庫県における道路整備の3点について、それぞれをどうすべきかの回答内容を与野党の立場も勘案するなかで分析し、兵庫県の国会議員・政党などがどのように理解しているかの所見を披露していただきました。
「兵庫県の道路整備と財源に関する国会議員等公開アンケート」は
コチラ


第2部

 第2部では、第1部の講演を踏まえ、当塾運営委員が設定した4つのテーマ(①納得して納税できる範囲・項目・負担割合は(?)、②納得できる使い方は/道路特定財源の必要性は(?)、③温暖化防止等環境維持費用の財源確保へ、④自由意見について、思い思いの意見を述べ合いました。
 議論の手順は、各自がテーマごとの意見をポスト・イットに書き出した上、テーマ別に意見項目を整理し、それぞれについて、意見交換を行いました。
 ①(納得できる税負担)では、道路整備費用として、自動車の外部費用として、また、エネルギー資源も現世代だけのものでないことなどを勘案し、自動車利用者が応分の負担をするべきであり、他方、外部費用論をもっとPRし、自動車利用者の理解を得る努力が
必要だとの意見もありました。
 ②(税の使途)では、道路特定財源について、一般財源化の是非や地方への財源移譲の必要性などで、いささか意見が分かれるなか、道路維持費などを使途に特定財源の必要性を認める意見がある一方、クルマ社会からの脱皮を図り、公共交通の充実やモーダルシフトの推進など、長期的・総合的な観点からの時代・社会システムに適合する制度への見直しと使途の明確化を求める意見が多く出されました。
 ③(温暖化防止等環境維持費用の財源)では、自動車による大気汚染、道路建設による自然喪失などなど、温暖化問題以外でも環境保全のための財源確保をしなければならず、これらは、道路財源と別に検討されるべきと、次回(第3回)のテーマである環境税につながる意見が見られました。
 ④(自由意見)では、道路は自動車だけのものでなく、自動車利用者からの税金は道路整備に当てなければならないとの硬直的な考えから脱却し、公共交通を含む道路交通全体について、長期的計画に基づいての柔軟な運用、さらに透明性のある議論・情報開示など、納得できる制度を求める意見がありました。

 〔個人所見〕
 第1部の講演では、道路交通の費用負担について、社会的費用の一面から考察すると、道路特定財源制度は、道路整備費用などの道路利用者が負担しなくてもよい費用を負担し、外部費用などの負担すべき費用を負担していないものであることを理解するとともに、コストの見方とチャージの方法において日欧で差異があり、これが政策・制度の違いに反映していることを改めて認識し、また、第2部の議論では、社会的費用の概念をもっとPRするべきとの意見に賛同が集まり、この点からも当講座により多くの参加者が望まれるものの、次回(第3回)のテーマである環境税への手掛りを学ぶことができました。

第3回塾「環境税の可能性と導入をめぐる課題(7/27日)」の詳細はこちら
                                 運営委員
                                     蒲田記




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