「地球温暖化対策の基本法」の制定に向けた意見の募集について
2009年12月28日
「地球温暖化対策の基本法」の制定に向けた意見の募集について
(1)地球温暖化対策における燃料転換・省エネの推進について
地球温暖化対策にあたっては、国民一人一人の行動が省エネへと結びつくような仕組みづくりと併せて、電力や鉄鋼等の多量排出事業者への厳格な対応、公共事業全体における排出量削減のための総合的なマネージメントなどが重要です。
大気汚染公害による深刻な人体と環境への深刻な被害発生の教訓に学び、温室効果ガスを排出源で抑制することを対策の基本とする。電力、鉄鋼など大量排出源企業との「排出削減協定」による排出義務化を実施するべき。
また、操業および廃棄の過程での安全性に問題のある原子力発電や、大量の CO2 を排出する石炭火力発電所に頼らないエネルギー政策を進めるべき。
(2)地球温暖化対策税(環境税)について
平成 21 年 4 月 22 日には、道路特定財源を一般財源化する改正道路整備事業財政特別措置法が参院本会議で可決・成立し、55年間にわたって道路整備の財政的裏付けとなってきた道路特定財源制度の歴史に終止符が打たれた。今後、巨額の税金が費やされてきた道路整備を再考し、税制のグリーン化をいっそう推し進めるべきである。
特に、環境税の導入については、温室効果ガスの排出量に応じた公平な地球温暖化対策への参加を求めるという原則の徹底、社会的弱者への配慮、情報を公開し、公害被害者・市民・環境 NGO などの参加を募り、意見の共有化を図りながら進められたい。
また、社会全体で温暖化対策・環境対策を進めるという視点からも、税収については、温暖化対策にとどまらず、公害対策にも活用すべきである。
(3)再生可能エネルギーの普及拡大について
自然再生エネルギーによる発電等の普及・促進を図るため、「余剰電力買い取り制度」による買い取り価格の更なる引き上げを進めるべき。
一方、風力発電、小規模水力発電、廃油回収によるBDF普及など、太陽光発電以外の再生可能エネルギー導入への支援を進めるべき。
また、再生可能エネルギーの普及については、国民の理解・協力が不可欠であり、広く市民参加を進めていく体制づくりを図るべき。
(4)公共交通活用をはじめとした持続可能な都市・地域構造の構築について
現在進められている高速道路の「休日 1000 円乗り放題」や民主党マニュフェストに挙げられている「高速道路料金の原則無料化」、自動車関連諸税の軽減は、自動車利用を促進し交通量を増加させる温暖化促進政策であり、反対します。
一方で、高齢化社会の到来に際し、各地域での市民の「移動の権利」を確保していく必要が生じており、地域住民の参加の下、地域交通のあり方について合意形成を図り、公的資金を投入していくべきである。
また、徒歩・自転車・公共交通は、環境負荷の少ない移動手段であり、持続可能な都市づくりに向けて、積極的に都市計画に位置づけ、整備を図るべきである。
(5)「チャレンジ25」国民運動・・・環境教育の推進について
国民一人一人が取り組む上で、持続可能な社会づくりの担い手となる人づくり、リーダー育成を担う環境教育が重要である。全ての国民が、環境問題を理解し、改善に向けて取り組むことができるよう、各地域の特性に合わせた環境教育プログラムの開発を行い、普及していくべきである。
交通・運輸関係での温室効果ガスの排出増加を解決するためにも、エコドライブや自転車・公共交通の活用など子ども・ドライバー・事業者向けの交通環境教育プログラムの開発・普及、買物から交通を考えるフードマイレージゲームなどわかりやすく学べる環境教育プログラムの開発・普及が重要であり、そのための支援体制を進めるべき。
こうした取り組みに際しても、被害者、及び、多様な市民・企業・行政などが関わり、公害をなくし、繰り返さないために取り組んできた、わが国の公害経験を活かすべき。