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日中環境問題サロン2017:「中国の環境問題を考えるー日中環境交流の現場からー」(2017/06/26)を開催しました

2017年度第一回目の日中環境問題サロンは、中国環境問題の現状やあおぞら財団と中国の環境NGOの活動をより多くの学生に知ってもらいたいと言う思いから、初めて神戸市外国語大学にて開催しました。

今回のサロンでは、学生向けに、環境問題の概要やこれまでの日中環境NGO交流、交流を続けていく意義について報告が有りました。

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■日 時:2017年6月26日(月)16:05~17:40
■場 所:神戸市外国語大学 図書館 ラーニングコモンズ
■主 催:あおぞら財団(公益財団法人公害地域再生センター)、神戸市外国語大学 櫻井ゼミ
■講演者:
櫻井次郎(公立大学法人神戸市外国語大学中国学科准教授)
藤江徹(あおぞら財団)
■参加者数:大学生・大学院生14名、学外1名
■プログラム:
①「これまでの日中環境NGO交流」(藤江徹)
②「日中の環境問題と民間交流」(櫻井次郎)
③質疑応答・意見交換

 

 

【講演者・内容】
①「これまでの日中環境NGO交流」(藤江徹)
初めに藤江氏からは、あおぞら財団の成り立ちや、これまであおぞら財団が行ってきた交流事業、中国環境NGOの活動等について報告が有りました。

初めに大気汚染の写真を見せ撮影地を学生に問いかけると、声を揃えて「北京」と答えていましたが、西淀川の様子を写したものだと知ると、学生たちは驚きを隠せないようすでした。

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学生が特に関心を寄せていたのが、これまであおぞら財団が行ってきた国際交流事業についてでした。そもそも中国に活動している環境NGOがいる事、そして、日本の団体が中国の環境問題解決のために協力している事を初めて知った人が多く、メモを取りながら聞く学生の姿が目立ちました。

最後に公害地域の再生方法と今後の日中交流の展望を報告し、「日中関係は度々難しい局面を迎えているが、政府間だけでなく、民間レベルでの協力を今後も続けていきたい」という言葉で講演が締めくくられました。

 

②「日中の環境問題と民間交流」(櫻井次郎)

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まず初めに、中国の環境問題の現状について、大気汚染と水質・土壌汚染の2種類の問題について説明が有りました。
大気汚染については、2011年に北京の米国大使館が報告した大気汚染のレベルと政府が発表した者との数値が明らかに異なった事から、大気汚染問題改善に向けた取り組みが進んだと、大気汚染改善のきっかけを説明されました。
水質・土壌汚染については、広東省や湖北省の実例を交えながら、政府レベルの取り組みにも言及しました。

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次に、社会的背景から見る日中の相違点、中国の環境NGOを取り巻く問題点や新しい取り組みについて紹介しました。
中国では裁判は社会の安定を目的としているため、例え環境汚染で被害者が出ても救済が難しい事、また制約のある状況下でも、最近ではNGOが汚染企業のモニタリングという新たな活動を行う団体があることを説明されました。
最後に櫻井氏は、
「環境問題から多角的に中国の問題について考える事ができる。また、中国のNGOとの交流を通して、日本や留学だけでは見えてこない中国の実情が見えてくる。皆さんにも是非そういう体験をして欲しい。」と学生に対してメッセージを送られていました。

 

③意見交換

意見交換では公立鳥取大学准教授 相川氏、神戸市外国語大学の櫻井ゼミの学生からコメントを頂きました。

相川氏:中国のNGOは最近になってやっと出てきたわけでなく、四半世紀前から活動しているNGOもおり、日中交流も行われてきた。

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学生:ゼミ合宿でインタビューした環境問題に関わる中国人学生と、留学で出会った中国の方とでは大気汚染等、環境問題に対する意識の差を感じた。市民の環境意識をより高めるのが重要だと思った。

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④アンケート
また、サロン後のアンケートでは以下のような感想をいただきました。一部抜粋して紹介します。

1.本日のサロンの感想をお聞かせ下さい

1) どのお話もとても面白かったのですが、その中でも印象に残っているのはNGOの役割についてです。環境問題についてのサロンなのに、そこかいっ!って思われるかもしれませんが、環境問題を解決するためには、行政、企業、住民が連携して取り組む必要があって、諸機関をつなげるのがNGOの重要な役割の1つなんだな、と実感しました。私自身NGOで働いたことも、ボランティア経験が豊富でないので、えらそうなことはいえないのですが、いかにたくさんの人を巻き込んで、環境問題に対するawarenessを高められるのはNGOしかないのかなと思いました。

2) まず日本でも昔、あそこまで大気汚染がひどかったということを認識していませんでした。中国の環境問題を学習する前に自国の問題について勉強するべきということが印象的でした。

3) 環境NGOについて、環境問題について中国が動き始めたのはかなり最近のことだと思っていましたが、行政レベルやNGO自体の動きは20年以上前からあったという事を知って驚いた。

 

2.聞きたかったけれど聞けなかったことはありますか?

わかりやすい「公害」が発生すれば、訴えることもできますが、その可能性や明らかな環境破壊が行われようとしている段階で、何かしようとする活動についてはどうでしょうか?
「問題」の認識や回復も重要ですが、予防はもっと重要になってくるのではないでしょうか?
保存資料などをかつようして、そういう方向の議論も深められたらと思います。

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今回、初めて神戸市外国語大学で日中環境問題サロンを開催しましたが、環境問題や日中交流に関心を持っている学生が多くいる事を実感できました。
今後も学生や専門家に限らず、日中環境問題サロンの開催を通して多くの人が交流し、議論できる場を提供できたらと思います。

記・當間美波(神戸市外国語大学 中国学科4年)

 

■日中環境問題サロン
あおぞら財団の国際交流事業の一環として、中国の公害・環境問題に関する研究者、中国で活躍する専門家・環境NGOメンバー等を講師に迎え、中国の公害・環境問題についての報告や参加者との意見交換を行う日中環境問題サロンを2009年から開催しています。
本年度(2017年度)は、様々なテーマで4回程度の開催を予定しており、興味を持って頂ける方々に、ご参加いただければと思います。
•よびかけ人:櫻井次郎(公立大学法人神戸市外国語大学中国学科准教授)、知足章宏(フェリス女学院大学国際交流学部准教授)

 

次回は、8月末頃の開催を予定しています。

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