あおぞら財団 財団ブログ
公害の歴史Q&A あおぞらイコバ
公害を伝えるための資料整理寄附募集
屋上広告募集
りべら広告募集
Don't go back to the 石炭

全ての記事を表示

    キーワード検索

    アーカイブ

    カテゴリー

    最近の投稿

    最近のコメント

日中環境問題サロン2016(第三回)「重金属汚染とその被害―現地視察報告を中心に」を開催しました(10/7)

日中環境問題サロン2016
第三回「重金属汚染とその被害―現地視察報告を中心に」

今年度第三回目となる、日中環境問題サロンでは、中国環境問題の専門に研究されている知足氏と櫻井氏からそれぞれ、中国湖南省と広東省及び湖北省の視察調査報告をしていただきました。

p1200296

■日 時:2016年10月7日(金)18:30~20:30

■場 所::公益財団法人 公害地域再生センター(通称:あおぞら財団)3F
■主 催:あおぞら財団(公益財団法人公害地域再生センター)
■講演者:知足章宏(京都大学学際融合教育研究推進センター・アジア研究教育ユニット  研究員、あおぞら財団特別研究員)
櫻井次郎(公立大学法人神戸市外国語大学中国学科准教授)
■参加者数:9人

■プログラム
①湖南省の視察調査報告
担当:知足章宏
②広東省及び湖北省の視察調査報告
担当:櫻井次郎
③質疑応答・意見交換

 

p1200299

 

①湖南省の視察調査報告

知足氏は湖南省の長沙市で重金属汚染を扱うNGOを訪問し、NGOのメンバーと共に、重金属汚染が深刻である地域を視察されました。

(汚染地域の背景・現状)
汚染地域ではかつてヒ素を含む鉱物が採掘され、採掘のために工場や業者が集まったという背景があります。その結果、鉱山や工場から垂れ流しされた汚染物が川や土壌に蓄積され、健康被害を生むようになりました。現在では、鉱山は閉鎖されていますが、住民が記録によると、ヒ素中毒者や死亡者がたくさんおられます。今回鑑賞したNGO制作のビデオの中では、苦しみながらも救済を受けられない被害者の痛々しい様子が映し出され、会場は衝撃を隠せませんでした。
報告によると、土壌回復事業も行われていますが、いずれも初期段階であり、汚染土壌の回復には時間がかかるだろう、と話されました。

(今後の課題)
最後に、知足氏は以下の2点を今後の課題として挙げています。

1. 湖南省の「開発と環境の歴史と現在」について研究が必要
2. 汚染地域の被害者への救済はどうなるのか
未だ課題が残る湖南省の重金属汚染地域ですが、政府と被害者の間に立ち、被害者への救済に取り組むNGOの活動は非常に評価できるという意見が会場で上がりました。

 

p1200306

 

②広東省及び湖北省の視察調査報告

櫻井氏は今回の報告で、広東省にある癌の村を紹介されていました。

(汚染地域の現状)
中国には閉鎖されたものも含め、大規模鉱山が各地にあります。その周辺地域には、町なかにまで泥水が流れ、人が川を渡れるほどの重金属が蓄積している地域があります。

(鉱害現場が共通して抱える問題)
櫻井氏は鉱害現場の共通の特徴として以下の三点を指摘しました。
1. 被害・被害者の潜在化
2. 社会的認識の遅れ
3. 政策効果があがらない
メディアに取り上げられるのは、被害者及び被害全体のほんの一部に限られ、救済が進んでいない一方、多くの被害者は見舞金の支給程度で諦めています。
その結果、社会的にこの問題が広まらず、政策効果も上がらないという悪循環に陥っているそうです。

(今後の課題)
1. 裁判による解決の可能性、妥当性(裁判が、被害者を救うことができるのだろうか)
2. 環境改善の見込み、考え得るプロセス
3. 日本のNGOの関わり方は?

櫻井氏は、中国の重金属汚染問題は解決の糸口が見えないほど深刻であると懸念されていました。

その背景には環境改善対策が不十分である上に、被害者が救済を求めて声を挙げにくい、という点、そして裁判が実際に被害者救済につながるのか?という疑問が残るという点です。こうした現状を共有しながら、今後も議論を継続していく必要がありそうです。

 

p1200308

 

③質疑応答・意見交換

「どの程度国内で汚染地域のことが共有されているのか」という参加者からの質問に対し、「メディア規制の影響もあり、問題が広く社会に認識されていない状況ではないか」との認識が示されました。

また意見交換の中では、「日本の経験を海外へと発信していくために、国内の環境問題を若い世代に継承していくことが大事である」と、日中が環境問題解決に向けて協力していく上で、日本が抱える課題についても言及されました。

記・當間美波(神戸市外国語大学中国学科3年)

 

<日中環境問題サロン>
あおぞら財団の国際交流事業の一環として、中国の公害・環境問題に関する研究者、中国で活躍する専門家・環境NGOメンバー等を講師に迎え、中国の公害・環境問題についての報告や参加者との意見交換を行う日中環境問題サロンを2009年から開催しています。本年度(2016年度)は、様々なテーマで4回程度の開催を予定しています。
【第一回】どうなる?中国の大気汚染(6月10日(水)) 終了
【第二回】「中国における環境訴訟の現状と今後の展望」(8月5日(金))終了
【第三回】「重金属汚染とその被害―現地視察報告を中心に」(10月7日(金)) 終了

■今後の予定
【第四回】(仮)中国の公害・環境問題と環境NGOの取り組み(12月21日(水))
・中国で活躍する専門家、または、環境NGOメンバーを講師に迎え、中国の公害・環境問題の現状について
会場:グランフロント大阪北館2F ナレッジキャピタル アクティブスタジオ

https://aozora.or.jp/archives/27174
■申込:氏名、電話番号、所属をあおぞら財団までお知らせください。当日参加も可です。(定員30名)
※いただいた個人情報は本事業の目的以外には使用しません。
■問い合わせ・申込先
公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)
〒555-0033 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階 TEL 06-6475-8885 FAX 06-6478-5885
webmaster@aozora.or.jp http://www.aozora.or.jp/
よびかけ人代表:櫻井次郎(公立大学法人神戸市外国語大学中国学科准教授)
担当スタッフ:知足章宏(京都大学学際融合教育研究推進センター・アジア研究教育ユニット研究員、あおぞら財団特別研究員)
あおぞら財団の国際交流活動についてはコチラ
https://aozora.or.jp/katsudou/tsunagaru

コメントはまだありません »

No comments yet.

RSS feed for comments on this post.

Leave a comment