あおぞら財団設立10周年記念「地域からすすめる参加型まちづくりシンポジウム(3/17)」
地域からすすめる参加型まちづくりシンポジウム企画会議
入江智恵子 記(大阪市立大学大学院経営学研究科)
2007年3月17日(土)、大阪府商工会館にて「地域からすすめる参加型まちづくりシンポジウム」が行われました。当日は、大阪市域だけではなく、徳島、鳥取、名古屋、東京など各地から154名の参加者が集まり、「参加型まちづくり」に対する関心の高さが伺われました。
まず第1部では、大久保昌一先生(大阪大学名誉教授)から「持続可能な都市のあり方−なぜ参加型まちづくりが必要か−」というテーマでの特別講演がなされました。
第2部では、まちづくりタウンミーティングと称して、「わたしのおおさか、こんなまちにしたい!大放談会」が行われました。
大放談会の名にふさわしく、大阪市内でまちづくりに取り組む5名の方々の発言(※)を皮切りに、實清隆さん(大阪市住之江区)をはじめとして、フロアからも次々と発言がなされました。
(※)
小田切聡氏(株式会社道頓堀スタジオジャパン、上町台地からまちを考える会)
阪本一恵氏(新京橋商店街新興組合)
栂紀久代氏(脳脊髄液減少症患者団体「サン・クラブ」、
LLP(有限責任事業組合)ユニバーサルデザイン会社、
大阪産業大学客員講師)
池田恭和氏(株式会社関西総合研究所)
藤江徹氏(財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団))
コメンテーターとして、大久保規子先生(大阪大学大学院法学研究科教授)、塩崎賢明先生(神戸大学大学院自然科学研究科教授)、新田保次先生(大阪大学大学院工学研究科教授)、コーディネーターとして植田和弘先生(京都大学大学院経済学研究科教授)が登壇され、発言者の提案や質問について、専門的な観点からの議論の整理もなされ、参加者が真剣にメモをとる姿も見られました。
最後に第3部では、まとめとして、まちづくりを“大きなまちづくり”と“身近なまちづくり”2つの視点から捉え、何よりもまず、まちづくりを参加型で行うためのシステム(ルール)を作ることの重要性が指摘されました。まず従来型の参加のシステムを市民がフルに活用していくこと、そして1人ではなくNPOなどの組織を活用するなどして、みんなで取り組むことが大切だということが確認されました。
今回の企画を通じて、何かを目指して既にまちづくりに取り組んでいる人、何かに困っていてまちづくりを始めたい人、取り組みの中で悩んでいる人など、それぞれが、“自分のまち”についての思いを伝え合い、共感し合うことができたのではないかと思います。
しかし、参加型まちづくりをどう実現していくのか、その具体的・現実的な手法や戦略(?!)は、まだ今後の課題として残っています。こうした“まちづくりタウンミーティング”を第2回、第3回へと継続していくことが、求められていると思います。
最後に塩崎先生のコメントから。
「どこかの“文化都市”ではなく、“自分のまち”の魅力に気づくこと」、「(自分のまちにも)本当は宝がたくさん詰まっている」。
そういうまちであって欲しいと同時に、身近なまちに愛着を持てる自分でありたいと思いました。