日中環境問題サロン2009、『農村へ拡がる中国の環境問題と被害者救済の試み』
日中環境問題サロン2009(兼中国環境問題研究会2009年第2回研究会)が行われました。(11月21日18時30分〜21時 場所:龍谷大学セミナーハウスともいき荘)
今回は、『農村へ拡がる中国の環境問題と被害者救済の試み』がテーマです。
第9回アジア・太平洋NGO環境会議(APNEC9京都会議)の終了後だったこともあり、APNEC9に参加した研究者やNGO関係者など43名が集まりました。
近年、中国国内では、都市で操業できなくなった汚染産業の農村移転が加速し、以前からある小規模企業や鉱山・製錬業による汚染とともに住民の健康被害や農地汚染等が深刻化しています。
日本の「農村」のイメージとは異なり、中国の農村は人口規模も大きく面積も大きく、中国の社会問題になっています。また人口の多い中国の環境問題は地球規模の環境問題とも直結してきます。
まずは、「中国農村の環境問題の現状とその背景」と題して、農村に広がる環境問題の現状を、南京大学社会学院教授の張玉林氏にご報告頂きました。
張教授は、京都大学で博士号を取得しており丁寧な日本語でお話し頂きました。
次に、「中国農村における環境被害者救済の現状と課題」と題して、中国政法大学公害被害者法律援助センター訴訟部長の弁護士、劉湘氏にご報告いただきました。
同センターは、深刻化しつつある農村環境問題の被害者の救済に尽力し、中国の公害被害者の支援し続け今年で10周年を迎えます。
2つの報告を受けて東京経済大学現代法学部教授の片岡直樹氏のコメントがあり、龍谷大学法学部教授の北川秀樹氏の司会の下、総合討論が行われました。中国の訴訟制度や日本のできる国際交流についてなど、会場からはたくさんの質問や意見が寄せられました。
また、今回通訳として金玲氏(関西大学非常勤講師、関西マイノリティ研究センターPD研究員)と、櫻井次郎氏(名古屋大学大学院国際開発研究科助教)にご協力頂きました。
今後も、日中環境問題サロンは継続していく予定です。
小平 記