中国調査視察 環境NGO、公害被害者・支援団体と交流「大気汚染経験情報発信事業」
平成22年度大気汚染経験情報発信事業として
2010年8月28日から9月2日までの間、中国環境NGOとの交流、中国における公害被害地域の視察のため中国に訪問しました。
この事業は我が国における公害経験やそれに関連する資料を中国側と共有するため、情報発信・人的交流を行なうものです。
8月28日
上海市宝山区月浦鎮鋼集団公司(以下、宝鋼公司)による汚染の被害者
許太生氏
昨年からの変化の内容について伺いました。
汚染の状況は変化していないこと、
汚染と被害の因果関係の証明が難しいために、
国の環境保護局が工場の運転をきちんと管理しているかどうかという視点で
裁判を起こすことにしたということを聞きました。
昨年の聞き取りの様子
http://aozorabsw.exblog.jp/11145923/
8月29日
上海根与芽青少年活動中心
http://www.jgi-shanghai.org/
鐘朕璽氏
国際的なNGO団体であるRoot&Shootの上海支部です。
内モンゴルでの植林や、
ボランティアを育成して、学校で環境教育の授業をしてもらっているそうです。
規模がすごくて、年間600人のボランティアを育成して
200校で環境教育の授業を実施しているとのこと。
1学期の間(中国は2学期制なので半年になります)週1回45分の授業を14回程度行うそうです。
他にも緑色評価といって、学生が企業に行って、紙の資源、空調、割り箸、ストローの無駄つかいなどを見て、評価をして報告書を書く活動もあります。
これらのプログラムはスタッフが独自に考えたそうです。
8月30日
ハルピンの現地調査
中国の黒竜江省にあるハルピン市の大気汚染の現場を見るために
セメント工場と化学工場を見学しました。
セメント工場まで行く道がドロドロでがたがた。
大型車も多く、何台かのタクシーに乗車拒否されたのですが
納得しました。
工場の周りに住宅が密集し、工場から粉じん被害があるだろうと推察されました。
また、何人かの住民にも聞き取りすることができました。
化学工場は近くまで寄ることができず、
被害の実態が見えませんでした。
ハルピンを横切る松花江の汚染も見てきました。
透明度が3センチ程度しかないように見えました。
それでも、水着を着て泳ぐ人たちもいました。
8月31日
北京に移動しました。
馬軍さん
公衆と環境研究中心
中国水汚染地図
http://www.ipe.org.cn/
中国大気汚染地図
http://air.ipe.org.cn/en/qyInfoEn.do
について伺いました。
各地方自治体のホームページで発表された汚染工場の情報を集めて
マップに落としているそうです。
中国はとても広いので、一つ一つ情報を集めるのはとても大変だと思いますし、
一つにまとまっていることでわかりやすくなっています。
また、サプライチェーンのネットワークを使って、
大企業に汚染企業との取引をやめるように呼びかけて汚染を改善させたりしています。
ぜひ皆さんもホームページをご覧ください。
中国政法大学公害被害者法律援助センター(CLAPV)
王燦発先生
戴仁輝先生
http://clapv.org/
中国でのアスベスト被害について質問したところ、
じん肺裁判として、炭鉱近くの住民の裁判を行ったという話を聞きました。
9月1日
環境科学技術研究中心
(環境友好公益協会から改名しました)
http://www.envirofriends.ngo.cn/
楊緯和氏
環境教育の漫才やプラスティック袋の軽減について活動をしている話を聞きました。
緑色龍江
http://www.greenlj.ngo.cn/
張亜東氏
環境教育の取り組みについて説明を受けました。
この写真はハルピンで使っているテキストです。
あおぞら財団で行っているフードマイレージと菜の花プロジェクトのことを説明し
中国でも取り組みませんかと呼びかけました。
日中友好環境保全センター
http://www.zhb.gov.cn/japan/
立場正夫氏
岡田美和氏
JICA中国事務所
http://www.jica.go.jp/china/office/index.html
坂元芳匡氏
日中友好環境保全センターとJICA中国で行っている「日中環境技術情報プラザ」設立の事業についてヒアリングしました。
また、あおぞら財団でこれまで翻訳した中国語資料を使ってもらえないかとお願いをしました。
中国に行って個人的(林)に感じたことです。
中国のNGOはアイデア豊富で、活動している内容がとても面白かったです。
日本と中国で活動交流をすることで、両国の環境活動が活発になるのではないかと思います。
馬軍さんが「中国には資金も技術もある」とおっしゃっていたのが印象的です。
日本でも公害はなぜ起こったのかというと、技術がなかったわけではなくて
使わなかっただけの話です。
市民が環境を監視することで、公害を防止することが求められているのだと思います。
交流する中で市民力をお互いが高めていけるといいなと感じています。
上海でとった写真です。
2時間しかなかったのですが、上海万博にも行ってきました。
目の前にある中国館がかすんでいます。
頭上は青空ですが、下のほうがスモッグがかっているのはわかりますか?
地下鉄は乗車マナーを徹底していました。
片側は止まって、片側は歩くのが「文明的乗り方」なのだそうです。
北京のレンタサイクルと駐輪場です
最後に、北京にいた馬車です。
昔と今が混じっていますね。
(林美帆)