司法修習生の研修受け入れ
近い将来、弁護士、検察官、裁判官になろうと研修中の
司法修習生12名が、10月26日(火)に西淀川地域の
フィールドワークに訪れました。(引率弁護士2名)
「西淀川公害の”被害の現場”を体感する」というのが
視察のテーマです。
午前中は、村松昭夫弁護士(あおぞら財団理事長)の
講義「大気汚染公害訴訟の経過と内容〜西淀川から東京まで〜」、
「西淀川大気汚染公害裁判から考える」がありました。
(大阪弁護士会館)
そして、次は西淀川へ。
午後1時に阪神「出来島」駅で集まって、さあ、出発です。
●出来島駅にて
【本日のプログラム】
13:00〜14:30<フィールドワーク>
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国道43号沿道(大型車多い)
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出来島小学校(43号沿い。かつては教室に空気清浄機が)
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千北診療所(公害患者さんの組織化の原点)
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あおぞら苑(西淀患者会が作ったデイサービスセンター)
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大和田街道(旧街道)
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大野川緑陰道路(かつてドブ川、今は緑生い茂る歩行車自転車専用道路)
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あおぞら財団・エコミューズ見学
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14:30〜15:00<公害患者のお話:中川洋子さん>
15:10〜15:30<ビデオ>
15:30〜15:45<あおぞら財団の紹介:林美帆>
15:45〜17:30<森脇君雄さんのお話>
●裁判資料を見る修習生たち
じつは、上記で17:30となってる終了時刻、当初は16:15のはずで、
その後、さらに、まとめ作業と発表をしようと考えておりました。
しかし、森脇さん(西淀川公害患者と家族の会会長、あおぞら財団理事)
のお話のところで、修習生のみなさんとのやりとりが波に乗り、
時間延長とあいなりました。
それだけ、みなさん、熱心で、それに応える形で話がどんどん展開
していきました。
●話をする森脇君雄さん
大阪湾臨海部に立地する大企業相手に、大気汚染の裁判をおこそうと
いうとき、どうやって、弁護士たちの協力を得ていったのか、
どうやって被害者をまとめ、世論を動かしていったのか・・・。
最初は、なかなか裁判を引き受けてくれる弁護士がいなかったこと、
弁護士になる前の司法修習生のときから、西淀川公害のことを
知ってもらい、若手弁護士を運動にまきこんでいったこと、
裁判の年数が長くなればなるほど、若手が中核になって、勝ちパターン
ができていったこと、
判決前は、負けたときの責任をどうとろうかと、思い悩んでいたこと、
企業の中でも、裁判で決着をつけたい法務部と、企業利益を優先する
総務部で、違いがあること、
そんな、いろんな体験談や逸話が語られました。
●真剣に話を聞く修習生たち
「本当に向き合えば、お互い話し合いができる」
原告と被告、相対する者どうしでも、しっかり向き合うことで、
解決の道を見出してきた森脇さんの言葉には重みがありました。
「相手を追い詰めても、逃げ道はつくっておく。
できたら、自分のところに逃げてくるように」
なんて、言葉は、まるで兵法を聞くようでした。
最後に司法修習生からの感想を、要約ですがご紹介します。
「たとえ自分が企業弁護士になったとしても、相手の
ことも考えた解決方法を会社に説得できるような弁護士に
なりたい」
「難しい裁判を被害者から持ちかけられて、弁護士がすぐに
引き受けられなかったという話は耳が痛かった。
やはり理論だけじゃなく、現実でおきていることをしっかり
見ていきたい。結果はあとからついてくる」
「患者さんの話で、”この空気を吸って、公害病になるなんて、
思ってもみなかった”、という言葉が印象的。今なら、病気に
なるのは、当り前に思うかもしれない。でも、現在進行形の
問題こそ、そのときにはわからないのかもしれない」
「どうしても、頭だけで法律論的なことを考えてしまうが、
まず、感情的な部分でものごとをとらえたい。そして、いかに
解決するかというところで、”理論”をどう使うかが腕の
みせどころなんだと思う」
「こちらが真剣に聞けば、人は真剣に語ってくれるのだと、
患者さんの話を聞いて思った。弁護士として、当事者の方
からどうやって話が聞けるだろうかと思うこともあるが、
やはり真剣に向き合うことが大切だと思った」
あおぞら財団・鎗山善理子