ぜん息患者のための「水中リラックス教室」~運営の手引き~
ぜん息患者のための「水中リラックス教室」~運営の手引き~
はじめに
慢性気管支炎や気管支ぜん息など大気汚染による公害病認定患者(以下「公害病患者」とします)、特に高齢者の場合は、呼吸機能のみならず、様々な身体機能が低下し、その結果、心理面及び社会生活面で渉外が生じやすいため、総合的な支援が必要とされています。また、病気の悪化を防ぎ、克服を目指すためには、十分に体を鍛えることが重要とされています。その活動の一つとして、水中での運動は、単に、身体機能の維持・回復という面だけではなく、積極的な活動ができるよう心身に解放感や達成感を与え、人とのコミュニケーションを育むなどの効果により、療養生活の質を高めることが期待されています。
本冊子では、おもに高齢の公害病患者を対象として水の浮力によって身体が水圧と重力から解放され、楽しんでおこなえるような水中での運動を「水中リラックス運動」としてとらえ、取組みの意義やその方法、水中リラックス運動をおこなうために開催する「教室」の活用方法などについて紹介します。今後、効果的に「教室」が実施され、公害病患者にとって、よりよい療養生活をおくるきっかけとなれば幸いです。
なお、本冊子は平成14年度環境省請負「公害病認定患者に対する環境保健活動の効果測定に関する調査研究」業務報告書として作られたものです。
目次
1.「水中リラックス教室」とは
2.「水中リラックス運動」の効果
(1)身体的効果
(2)精神的効果
(3)社会的効果
★水の4つの特性と身体的効果
★水中リラックス運動に期待される効果
3.「教室」の留意点
(1)寒さ、冷えへの対策
(2)姿勢とバランスのとり方
(3)水深と水温の選び方
(4)呼吸が苦しくなった場合
4.「教室」の運営
(1)参加を募る
☆参加者を広げる
☆補助者(サポート役)との連携
☆医療機関等との連携
(2)広報・宣伝活動
(3)運営の準備
☆用意するもの
(4)適正なプールと水質の管理
(5)指導スタッフの依頼
☆健康運動指導士派遣の相談先の例
☆民間のフィットネスクラブでの取り組みの例
5.「教室」のプログラム
☆プログラム例
★参考:セミナーカリキュラムの例
6.プログラムのすすめ方
★スタッフと役割分担
(1)教室がはじまる前に
(2)コミュニケーション
(3)水になれる
(4)エクササイズ
(5)リラックス体操
(6)リラクゼーション
(7)教室が終了したあとに
※各エクササイズごとにわかりやすいイラストを掲載しています
7.「教室」の活用
(1)地方自治体における活用
(2)医療機関との連携
(3)施設・人材の拡充
☆効果的なプール利用の促進
☆指導員の拡充
★ピークフローとは・ピークフローの平均標準値表
8.効果測定票の活用
(1)「教室」実施前後におこなう健康チェック
(2)「教室」実施後におこなう参加者アンケート
(3)日常生活動作(ADL)チェック
(4)運動評価テスト
参考
★大気汚染による公害病(旧第一種地域における指定疾病)
★ぜん息症状の管理