東アジア気候訴訟関係者訪日プログラム 訪問受け入れ(3/7)
2025年3月7日、気候ネットワークの主催により、韓国と台湾の気候訴訟の原告があおぞら財団を訪れました。この訪問の目的は、西淀川公害訴訟について学び、自国の訴訟運動との共通点や相違点を見出し、今後の活動に活かすことです。
韓国では、2020年に若者たちが気候訴訟を提起し、2024年には韓国憲法裁判所が「2031年以降の削減計画がないのは基本的人権の擁護に違反する」と判断し、法改正を命じています。台湾では、若者や農家、漁業従事者、先住民が原告となり、2024年に温室効果ガス排出削減の目標が定められていないことを違憲とする訴訟を起こしました。
訪問では、まず西淀川公害訴訟の背景や経過、そして、公害訴訟後の取組みとして道路連絡会で道路政策について意見交換が続いていること、あおぞら財団が設立され活動を続けていることを紹介しました。その後、公害訴訟の原告であった池永末子さんが自身の経験を語りました。池永さんのお子さんは公害認定患者であり、公害訴訟の原告の一人でした。後に池永さん自身もぜん息を発症し、公害の苦しみを身をもって経験しました。また、公害患者会事務局の上田さんも、公害患者たちの闘いについてお話されました。
池永さんのお話の後、意見交換が行われました。
参加者からは、「西淀川公害訴訟は20年もの長い期間がかかったが、どのような活動をしてきたのか」との質問がありました。これに対し、訴訟の原告たちは、証拠を集めることの困難さや、公害健康被害補償法の制度改善を求める運動にも取り組んできたことを説明しました。
また、「公害訴訟は地域のイメージを損ねたり、企業の経済活動を阻害するといった批判もあったのではないか。どのように支援を集めてきたのか」という質問も出ました。これに対し、公害患者たちは、自らの被害経験を赤裸々に語ることで多くの共感を得、それが百万人署名運動につながったと話しました。
最後には西淀川公害と環境資料館エコミューズを見学。訴訟関係資料や公害反対運動に関する資料等を見てもらい、資料アーカイブの重要性を実感してもらいました。
意見交換では、より多くの人々を巻き込むことの難しさが話題になりました。公害訴訟では、被害者自身が声を上げることで支援を得る努力が続けられましたが、当初は地域社会の反発や企業の圧力もあり、広く支持を集めるのは容易ではありませんでした。気候訴訟においても、気候変動の影響が目に見えにくいことや、社会全体の問題として捉えられにくいことが障壁となっています。
今回の訪問を通じて、西淀川公害の経験を気候訴訟にも活かせていただけたらと思っています。今後も共に学びながら持続可能な社会の実現を目指していきたいと考えています。
——–
原告のみなさんは、訪問の翌日の3/8に国際シンポジウム「気候訴訟で社会を変える—動き出した東アジアの若者たち—」に登壇されました。なぜ気候訴訟に参加したのか、それぞれの訴訟で何を求めているのか、課題は何か、今後の連携の可能性などついて議論が行われました。その中で、環境訴訟後の取組みとして、あおぞら財団や道路連絡会の取組みについて触れられていました。