関西大学大門ゼミ フィールドワークの受入れ(5/13)
2025年5月13日、関西大学社会学部・大門ゼミの3年生16名と大門信也先生が、西淀川の公害と地域再生を学ぶ研修を実施しました。
●「公害のまち」と呼ばれた西淀川の今は…
フィールドワークでは、かつて公害の影響を大きく受けた地域を90分かけて歩きました。大気汚染が人びとの命や暮らしをどう脅かしたのか、まち並みの中に残る痕跡から学ぶ時間となりました。
かつて公害道路と呼ばれた国道43号、公害の石碑があるデイサービスセンター あおぞら苑、公害病の治療の拠点であった千北診療所、ドブ川から市民の手に寄って緑の道に生まれ変わった大野川緑陰道路をめぐりました。
●公害の歴史と公害語り部のお話
あおぞら財団に到着後は、西淀川公害の経緯についての講義のほか、公害と環境資料館(エコミューズ)を見学。1970年代の裁判や住民のたたかいを通して、現在へと続く地域の再生の歩みを学びました。
次に、公害患者である岡崎久女さんから、当時の体験を語っていただきました。
岡崎さんは、23歳で高知県から西淀川に嫁ぎ、翌年に出産。その後すぐにぜん息を発症し、長年にわたり苦しんでこられました。次男も発作を繰り返し、精神的に追い詰められた日々を経て、「同じ苦しみを子や孫に味わわせたくない」との思いで、語り部活動を続けています。
●患者さんの思いを短い言葉で表現
最後に、KP法(紙芝居プレゼンテーション)を使って、岡崎さんのお話で印象に残った言葉をグループごとに1分ずつ発表しました。
「死にたくなるような苦しさ」「被害者運動はやめない!!」「息子に手渡したかった青い空」「今はこのような場を続けてもらって話せていることが幸せ」など、岡崎さんのお話から様々な言葉を受けとめているのが感じられる発表でした。
●参加者の声から
フィールドワーク終了後に学生さんからもらった感想を紹介します。
「実際に被害者の方にお話を聞けたことが印象に残りました。知らなかったことがほとんどだったので、まずは知ろうとする姿勢を大切にしたいと思います。」
「“息子をハサミで殺そうとしたけど、肩で必死に息をしているのを見てできなかった”という話がとても苦しく、でも忘れられませんでした。公害がそこまで人を追い詰めていたことを、実感しました。」
「岡崎さんが“私がいなくなっても話が伝わりますように”と語っていたのを聞いて、自分も語り継げる存在になりたいと思いました。」
「2004年生まれの私たちにとって、公害は学校の授業だけでは学びきれないテーマでした。今回のフィールドワークは貴重な学びの場でした。」
「今も発作が続いているという言葉を聞いて、公害は“過去の問題”ではなく、今も続く課題であると改めて感じました。」
「二度と同じような公害を繰り返さないために、自分にできることを探していきたいです。」
自分も公害を語り継げる存在になりたい、自分にできることを探していきたいとの感想から、公害を現場で学ぶことによって、未来への思いに繋げてもらえたと感じました。
関大の大門ゼミは環境社会学のゼミで、今後はゼミで他地域の環境問題に取り組んでいくそうです。西淀川での公害の学びが今後のゼミ活動に大きく活かされることを願っています。
(谷内)
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