道路環境市民塾「道路特定財源緊急勉強会」開催報告
道路特定財源暫定税率の延長問題で、道路特定財源の見直し等が国会・報道等で話題になっていますが、今一度道路特定財源について認識を深めるため、勉強会を実施しました。
実施日 2008年4月12日 14時〜17時
当日参加者 17名
前半は、西村先生・兒山先生にお話を頂き、後半は全体で討議を行うという流れで実施しました。
○西村先生のお話
1.道路特定財源の歴史的経過について
イ.戦後道路政策の確立過程について、説明が有りました。
・道路特定財源は1954年、当時一議員だった田中角栄氏による議員立法から始まった。
・最初は、揮発油税のみであったが、徐々に拡充、今では国税・地方税8種類、約5兆円。実質的に道路以外に使えない目的税。国税のほぼ一割が道路特定財源
・特定財源の問題点として、
予算総計主義を逸脱。予算の硬直化。国会の予算審議権をも束縛している。
租税徴収の応能主義原則に応益主義原則を導入している。
ロ.道路整備政策の展開とその批判について
・道路整備の充実と整備目標が、変化し道路五カ年計画が当初の2600億円が第12次迄に78兆円になっている。
・渋滞は容量拡大政策だけでは解消しない!にもかかわらず、巨額の投資
・高速道路整備の矛盾
先進国へのキャッチアップほぼ達成、同等水準へ しかし、有料道路のため利用割合低い
経済発展と道路整備政策との整合性崩れつつある しかし、整備の制度は残る
・道路整備政策の問題点と帰結
①自動車交通需要追従、地域生活後回しに 多面的道路機能の自動車通行への特化
②経済効率性を重視して、迅速、大量、安価に作られてきた道路の欠陥性
③道路政策の垂直的(中央−地方)性格、あるいは非民主的性格
2.道路特定財源の実態・使われ方
・交通運輸政策研究会発行「会報 交運研 第23号」を配布して頂き、
①なぜ道路特定財源が問題とされているのか
②道路特定財源諸税の概要
③平成19年度予算案における、財源(総道路投資)構成
④道路財源をめぐる論点
等について、説明が有りました。
3.質疑応答
・本当は何に使われているのか
70%が新設 30%が維持管理
・今、話題にされている論点は
道路整備を「自動的」に進める制度を残すのか、「民主的」議論によって進める制度にするか
○兒山先生のお話
「兵庫県の道路整備と財源に関する国会議員等公開アンケート」の内容説明及び、当日までに回収された内容について、説明が有った。
アンケートの集計結果については、あおぞら財団HPに掲載されています。
◎「兵庫県の道路整備と財源に関する国会議員等公開アンケート」
○全体討議
1. 西村先生、兒山先生からも問題提起されましたが、今まで道路をつくることを主に
考えていたが、今後維持管理をしていくための財源確保が必要ではないか。
2.その他多くの意見が出、議論を深めました。
(文責 浅井)