第19回道路連絡会が行われました
3月30日(水)に第19回西淀川地区道路沿道環境に関する連絡会が行われました。
道路連絡会は、大阪・西淀川公害裁判の和解条項に基づいて設置されたもので、西淀川地域の道路における環境施策の円滑かつ効率的な実施に資することを目的とし、国土交通省近畿地方整備局、大阪国道事務所、阪神高速道路(株)、原告団との間で年に1回開催されています。
公害被害者が,道路環境対策について道路政策決定者に直接意見を述べることができるという意味で,道路公害訴訟に集団で取り組んだ原告団と弁護団が勝ち取った特別な機会です。
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第19回西淀川地区道路沿道環境に関する連絡会
日 時:2016年3月30日(水) 午後2時~午後4時
場 所:グリーンルーム(あおぞらビル3F)
出席者:国土交通省近畿地方整備局、大阪国道事務所、阪神高速道路(株)、原告団、弁護団、あおぞら財団
参加者数:39人(国土交通省・阪神高速:13人、原告側:26人)
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1.原告団団長(西淀川公害患者と家族の会 森脇君雄会長)のあいさつ
はじめに、西淀川公害患者と家族の会会長の森脇さんからあいさつがありました。「この20年で大気汚染の状況はよくなってきた。西淀川は子どもも住みやすい地域になりつつある。長い苦労が実を結んできた。二酸化窒素は、0.04ppm以下を達成するというのが目標で、0.04ppmになればそれでいいということではない。子供達が病気、喘息が出ない健康的な環境を作っていきたい」とあいさつされました。
2.被害者の訴え
次に、西淀川区内の公害患者の平田和子さんと前田春彦さんから被害者の訴えがありました。平田さんは病気の苦労や辛い経験を語られた上で「大気は少しはよくなっているが、人が病気にならない程度にはよくなっていない。もっと綺麗な空気を吸いたい」という要望で話を終えられました。前田さんは、公害病に侵され「誰もが当たり前にできることができない。希望や夢を持つことも奪われた」半生について語りました。
3.国土交通省、阪神高速道路からの資料説明
続いて、国土交通省および阪神高速道路(株)から、西淀川区において実施されている道路環境対策について説明がありました。
- 西淀川の大気は改善傾向にある(NO2は観測場所8箇所のうち半分の4箇所が環境基準値の下限値0.04ppmを下回る・資料1)
- 環境ロードプライシングにより、国道43号の大型車は減少傾向にある(平成21年には約26,000台/日だったが、平成26・27年 は23,000台/日を下回る・資料2)
- 歌島橋交差点の交通量は減少傾向にある。地下歩道の案内板の改善などにより歩行者の通行状況も改善した(資料3)
- 環境ロードプライシング対象車両を有している事業者へのアンケートを行った結果、環境ロードプライシングを十分に認知していない事業者が多いことがわかった(資料4)
- 環境ロードプライシングについて、道路上に看板を増設するなど広報を拡大している(参考資料)
4.原告からの提案
次に、あおぞら財団の藤江から、原告からの提案を説明しました(原告側スライド・資料)。提案内容は下記のとおりです。
- 大型車交通量、自動車交通量総量の削減
- 歩行者・自転車にやさ しい沿道対策・交通環境対策を!
- PM2.5の環境基準の早期達成に向けた対策
- 歌島橋交差点の提案(横断歩道の再設置など歩車分離型信号の導入、「人が集う」交差点として整備)
- 国道43号沿道環境を考える 実務者ワーキングの継続
5.意見交換
その後、意見交換が行われました。
環境ロードプライシングについては、 国交省からは「企業へのアンケート調査から、国道43号から湾岸線に交通量が転換する余地があることがわかった。ドライバーや企業へのはたらきかけをもっとしていきたい」との発言がなされました。それに対し、原告側からは「 広報だけではインパクトとして弱い。もっと知恵をしぼって環境ロードプライシングを徹底させるべきではないか。経済的な面でプラスになるような、場合によってはもっと財政投入の問題を含めて、もっと思い切ったことをしないといけないのではないか」という提案がありました。
歌島橋交差点については、原告団から「歌島橋交差点に横断歩道をつけてほしい。歌島橋交差点の横断歩道整備については、患者会を説得できるような説明をしてほしい」との要望がありましたが、それに対して国交省側からは明確な回答はありませんでした。
また、2015年度から始めたワーキングは2月に1度程度のペースで実施されているが、「大気の状況と交通量の関係の詳細分析や環境ロードプライシングの進め方など、継続して取り組んでいきたい」ということで双方で合意が得られました。
■今までの取り組みについて