医療従事者向け呼吸ケア・リハビリテーション講習会を開催しました(1/28)
2018年1月28日(日)14:00~17:00、西淀川区役所にて、第2回医療従事者向け「呼吸ケア・リハビリテーション講習会」を開催し、26名の方が参加しました。この講座は11月の第1回目に引き続いて2回目で、COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者の治療に有効とされている呼吸ケア・リハビリテーションの技能を学ぶ講習会です。日ごろCOPD患者に接する機会のある理学療法士や作業療法士はじめ、保健師や看護師や介護職員といった職種の方々が参加しました。
1回目に引き続き、講師は藤原耕三氏(倉敷第一病院理学療法士、岡山県呼吸ケア研究会理事)、椿和人氏(東大阪病院理学療法士)のお二人です。お二人とも環境再生保全機構の呼吸ケア・リハビリテーション指導者養成研修の修了生です。
最初に、藤原耕三先生から、COPDに関する座学での講義がありました。
COPDは肺の生活習慣病で、早期に発見して治療すれば悪化を防ぐことができます。COPDに罹患していても気づかずに放置している人は、全国で500万人程度と推定されています(疫学調査研究NICEスタディ、2001年)。COPDは有害物質の吸入や大気汚染によっておこり、日本ではCOPDの原因の90%以上が喫煙によるものであるといわれています。
COPDの診断基準は呼吸機能検査を行ったり、問診を行って診断しますが、ここでスパイロメーターの体験を行いました。スパイロメーターでは、肺活量、肺気量を測定し、1秒間で吐き出せる空気の量やフローボリューム曲線などを計測し、呼吸機能検査を行うことができます。COPD患者さんは、気管支が細く、空気が通りにくいためゆっくりしか吐き出せません。そのため、1秒間でに吐き出せる空気の量が少なくなります。
また、簡易に肺年齢を測定できるハイチェッカーの体験も行いました。ハイチェッカーはあおぞら財団の肺年齢測定でも活用しています。ハイチェッカー体験は全員が行いました。実年齢よりも肺年齢が若くでて喜んでいる人もいましたが、実年齢よりも肺年齢がかなり高い結果が出てショックを受けている人もいました。
続いて、セルフマネジメント(自己管理)について学びました。
セルフマネジメントは①病気の理解、②禁煙、③薬物療法、④運動療法、⑤栄養療法、⑥在宅酸素療法、⑦増悪の予防の7項目からなります。
薬物療法では、毎日の吸入で呼吸困難を軽減しますが、きちんと薬が吸入できていないと効果がありません。この研修では吸入器の体験を全員が行いました。吸入練習用のカプセルを用いて練習したのですが、半数程度の人は1回では吸入できないという結果になりました。
講義に対して、参加者からは「COPDの病態や薬のことも知れてよかった」、「とても分かりやすかった。スパイロ・ハイチェッカー・吸入薬などの体験できたので理解が深まりました」、「基礎からわかりやすく説明していただけたので、臨床場面とも照らし合わせながら聞くことができた。COPDの患者様の生活全体について理解を深めることができた」といった感想がありました。
後半は、二人一組に分かれて実技プログラムを行いました。
今回は、胸部身体診察と呼吸介助法です。様々な方向から呼吸を介助する肺痰手技の実技を行いましたが、参加者は「今までやっていたのと違う!」「呼吸させられているというのがよくわかる!」と驚きの声をあげていました。
実技に対しては、「先生の実技を見て自分との違いが参考になりました」、「排痰の実技で検者・被検者になり、実際にかかる圧や介助時の体の使い方が学べた」「早速明日から実践してみようと思います」といった感想がありました。
また、今回は、1回目に受講した方にはフォローアップアンケート調査を行い、16名から回答がありました。15名のうち40%以上の人が講義内容を仕事でいかすことができた経験があったとの回答でした。この講習会が呼吸ケア・リハビリが地域内で広がっていく一助になっているのを実感しました。
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これまでの医療従事者向け呼吸ケアリハビリ講習会の様子はコチラをご覧ください
→これまでの取組 医療従事者向け呼吸ケアリハビリ講習会
→ブログ カテゴリー「環境保健」https://aozora.or.jp/archives/category/kankyohoken
協力:西淀川区役所
本事業は独立行政法人環境再生保全機構「地域におけるCOPD対策推進のための人材育成・情報発信事業(NPO法人等との協働事業)」の一環です。