今年も淀川勤労者厚生協会新人研修を行いました(4/4)
4月4日(水)にのざと診療所にて今年度最初の研修を行いました。
淀川勤労者厚生協会の新入社員25名の方に、西淀川公害の歴史と住み続けられるまちづくりについて、ロールプレイを含めた研修をしました。
冒頭、講師の栗本が簡単にあおぞら財団と西淀川公害について説明をしました。
その後、5人で1つのグループになって、「ロールプレイ:あなたのまちで公害が起きたら」を行いました。
各グループで、「役割カード」の役になって合意形成をするというロールプレイです。
203X年に、大気汚染が原因と思われる呼吸器の病気が新たに発生したという設定で、その地域の住民や工場の経営者、医者、市役所などの役になりきって、どう対応するかを話し合いました。
話し合いでは、全員が納得するまで話し合い、安易な妥協や多数決をしないで合意形成を取るように栗本から指示があると、みなさん少し戸惑っておられたようです。
合意形成をするのは難しく、結局どのグループも話し合いの途中でタイムアップになりました。
話し合いの結論は各グループでかなり違いました。
Aグループ「市役所に補助金を出してもらうべきではないかという意見が出た。ただ、それに対する市役所の返答は、『上と相談します』だった」
Bグループ「命にかかわることなのだから、命を守るためには工場を止めるのもありえるのではないかという話になった。原因が分かるまで住民はどこかに避難したらどうか、町がなくなるわけではないのだから、という話も出た。市役所の補助金の話も出たが、こちらも上と相談しますという結果になった」
Cグループ「工場で働く人のことを考えると止めるのは無理だという意見と、工場をどうにかしなければいけないという意見が言い合う形で終わった」
Dグループ「工場で働いている住民と、工場の経営者が完全に対立をした。病気になっている人は全体からみると少ないので、少数の意見で町を変えられても…。妥協点を探していた」
Eグループ「大学病院などに行って治療を受けたらいいのではないか。治療費は補助金などで」
ロールプレイの後、栗本から実際の西淀川公害ではどんなことが起きたかを解説し、ロールプレイで話し合った内容と現実の接点などについても話しました。大気汚染と公害病の因果関係の立証は難しかったことや、今、実際に福島から避難している人たちがいるけれど、人が住まなくなった地域は数年のうちに荒れてしまい、戻るといっても簡単ではないことなどにも触れました。
それから、公害患者さんのお話を伺いました。「西淀川公害患者と家族の会」から平田和子さんと事務局長の上田さんです。
平田さんからは小さい頃の病状、発作が出た時の様子や、ぜん息患者ということで麻酔を伴う手術を拒否された経験などのお話がありました。特に医療関係者のみなさんが相手ということで「頼りにしてます」とエールも送られました。
この日会場には、平田さんが以前、西淀川病院に通院しているときにお世話になったという、淀協の河野人事・総務部長がおられたので、久しぶりの再会にお二人とも驚いていました。
平田さんのぜん息の症状が一番酷かった当時のことをご存じで、
河野さんは「昔はとてもひどい症状でしたね。平田さんが病院に来てぜーぜーと肩で息をされていたのを覚えています。当時はぜん息がひどい患者さんがたくさん病院に来られていた」と昔の話をしてくださいました。
今回の研修では、河野人事・総務部長と平田さんとのつながりが垣間見えて、これから淀協で働くみなさんに、実際の先輩と患者さんとの信頼関係も感じてもらえたことも良かったと思います。
研修で学んだこと、感じたことや思ったことを、現場で働き始めてからも、時々、思い出してもらえたらなと思います。
(松ケ平)