日中公害・環境問題に関する研修プログラム【5日目】
【5日目 12月5日】
説明:国土交通省大阪国道事務所
阪神なんば線「出来島」駅に集合して、西淀川フィールドワークに出発しました。国道43号沿いにある出来島小学校から沿道を歩きながら、国土交通省による道路環境対策の説明を受けました。光触媒やプランター等による汚染の浄化や斜線削減、測定局等を見てまわりました。国道43号に近づくにつれて、自動車排ガスの臭いがしてきました。参加者の中には鼻を押さえる人もいました。
■質問「西淀川公害裁判での和解の前と後では、対策の内容に違いがあるのかどうか?もともと、対策していく素地はあったのか?」
■回答「判決前は苦情があったら対策するというやり方だった。これだけ大きく対策をはじめたのは和解以降。ただし、騒音に関しては和解前から対策をしていた」
■質問「施設の建設の前には住民の意見を聞くのか?」
■回答「周辺住民の意見を聞いている。連合町会長を通して、説明会を開いて説明する」
↓当日の様子は国土交通省近畿地方整備局大阪国道事務所HPにも報告されています。
http://www.kkr.mlit.go.jp/osaka/katsudou/pdf/111214.pdf
②デイサービスセンター「あおぞら苑」訪問
場所:大阪市西淀川区大和田
時間:11:45~13:00
説明:辰巳施設長
デイサービスセンター「あおぞら苑」は、あおぞら財団と同じく、西淀川公害裁判の企業との和解金をもとに設立された施設です。今や、1号館につづき、2号館がオープンしました。一日約20人の方々が利用されています。
到着したとき、ちょうど、利用者の方々がリクリエーションでゲームをしていたので、しばらく、見学し、その後、辰巳施設長に施設の概要等を聞きました。昼食前までの短時間でしたが、日本の介護保険制度の話から、最後は、中国の一人っ子政策や、男尊女卑の話まで、会話が幅広く展開していきました。
昼食は、あおぞら苑名物のカレーをいただきました!
■質問「利用者の費用負担はどうなっているのか?」
■回答「介護保険を利用している」
■質問「利用者は日によって、どのように割振られているのか?」
■回答「曜日で決まっている」
■質問「何人が利用できるのか?」
■回答「1号館は17人/日。2号館は20人/日」
■質問「こういう施設は区内でどれぐらいあるのか?」
■回答「30ある」
③ポッポ第2保育園にて太陽光発電等見学
場所:大阪府東大阪市東鴻池
時間:14:30~16:00
説明:勝田園長、宮村事務長
案内:藤永のぶよ氏
ポッポ第2保育園の屋根には、ソーラーパネルが設置されています。これは市民による共同発電で、「おひさま発電所」といいます。発電容量は10kw、発電量は10,000kwh/年です。屋根の上に設置されているソーラーパネルやそれによってうまれる電力は目には見えません。同園では、それを「見える」ようにして、園児たちに環境のことや、自然エネルギーのことをわかってもらう工夫をしています。デンマークからグリーンサンタさんが来たり、自転車発電やソーラークッカーを使った実験、エコ工作、廃油キャンドルづくりなど、さまざまな企画を実施しています。園児たちは5才で卒園するときに「おひさま発電」をイメージした絵を共同制作します。
同園では、太陽光発電だけではなく、雨水をためるタンクを設置したり、ミミズによる堆肥づくり、子ども達による野菜栽培等にも取り組んでいます。
■質問「保育園では、環境教育だけではなく、他にも教えなければいけないことがあると思うが、他の教育との関係はどうなっているのか?中国では幼稚園での教育にも教育目標があるが、日本ではどうなのか?」
■回答「ここでは、文字や数字を書くことを直接教えることはしていない。体をつくることを大事にしている。勉強はしない。毎日の生活から学ぶことを大事にしている」「いっぱいお話して、いっぱい絵本を読んで、いっぱい食べることから学ぶ」「大人になると大変なことがいっぱいある。だから、がんばって生きてもらうことが大切」「保育園は厚労省の所管で文科省ではないので、教育目標のようなものを定められているわけではない」
この日は、日中公害・環境問題に関する研修プログラムの最終日でした。きっと、お疲れもある中、中国の環境NGOのみなさんは、常にエネルギッシュでした。今回の研修の感想や意見をみなさんから聞きながら、今後もこうしたプログラムを発展させていければと思います。
鎗山善理子(あおぞら財団スタッフ)