環境省職員研修受入【2日目午後】
■2日目午後のプログラム
・森脇君雄理事(西淀川公害患者と家族の会会長)からの公害反対運動のお話
・研修まとめ
・研修発表、感想わかちあい
まずは、西淀川区のみならず全国の公害被害者の運動をけん引してきた森脇君雄理事からのお話です。
森脇さんからは、7m先がスモッグで見えなかったり、汚れた大野川の様子など、公害がひどかったといった当時の西淀川の話、千北診療所をつくった当時の苦労話、この運動に生涯をかけることを決心するきっかけになった公害病で亡くなった子ども(若者)たちの話などがありました。
参加者からは次のような質問がでました。
(参加者)どうして西淀川は他地域と比べ原告になった数が多いのか。
(森脇)公害病認定の受付を担当しており、来た人に原告になることをすすめた。
(参加者)活動の中心メンバーはどれくらいいたのか。
(森脇)全国では、6-7人のメンバーがいた。公害健康被害補償法をつくるときに当時の環境庁に各地の被害者のリーダーが呼ばれた。そこではじめて全国各地の活動を知り、つながることができた。
(参加者)仕事は何をしていたのか。
(森脇)この運動の事務局。その前は、タクシー運転手、教習所の教官、パン屋などいろいろしていた。
(参加者)リオの地球サミットでは、日本の首相スピーチの前に、被害のアピールをしたことを読んだ。どんな状況だったのか。
(森脇)首相が公害を乗り越えたという話をする予定だったので、被害者の代表として公害は終わっていないということを世界にアピールした。
(小平)
最後は、研修で学んだ事を話し合い、西淀川への提案を考えてもらいます。
①研修の感想
②西淀川への提案
③自分の仕事に生かせそうな事はなんですか?
とこの2つを考えて、グループごとに共有してもらいました。
最後に患者さんとあおぞら財団の職員を招いた発表会を行いました。
感想として「人に圧倒された」という言葉が出てきました。
熱く語る人が多く、周りの人を巻き込んでいく様子に圧倒されたようです。
また、西淀川高校での環境教育に触れて、「環境の仕事を引き継いでくれる人が育っている」と感じたり、
歌島橋交差点を通って「ノドがゴロゴロする」と、現地を見る大切さを知ったとのこと。
また、和解後の国交省が行った環境対策を見て、「ハードよりソフトの対策の大切さ」を知ったと語ってくれました。
もっと、西淀川でやっている事を知ってもらった方がいい!マスコミへのアピールをもっと!という提案も頂きました。
また、他のチームでは「環境の仕事の原点を確認できた」という言葉が出てきました。
「誰の為の仕事かを意識しながら仕事をしていきたい」とのこと。
「一番のインパクトは患者の声を聞く事が出来た事。インターネットで見ていた事が実感できた。資料だけではわからない。現地に来て心に入っていった」と嬉しい一言も。
事前に、環境再生保全機構の「記録で見る大気汚染と裁判」を読んで予習をしてくれていたけれど、現地に来ないとわからない事が多い事を実感してくれたようです。
あおぞら苑での塚口さんに「環境省の職員に言いたいことは?」と尋ねたところ、「青空がほしい」と即答された事が心を打ったとのこと。
「公害問題が過去の出来事ではない」と知ってもらえたようです。
この研修が、参加者の皆さんのお仕事をされている中で、困難な場面に立った時にふっと戻っていけるようなモノになっていればいいなぁと思います。(林)