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» 2006 » 2月

西淀川・公害と環境資料館を利用して論文を書こう!!


そろそろ、卒業論文・修士論文・博士論文などの審査の季節がやってきましたね。
卒業できるかどうか!?ハラハラドキドキしている方もおられることでしょう。

資料館だよりNo.4でも書きましたが
西淀川地域資料室の訪問者が増加しております。
多くは、卒業論文や修士論文を抱えた学生さんたちです。

西淀川地域資料室の開架図書は、環境・公害関係の書籍はもちろん、
公害行政にかかわる資料や、公害反対住民運動の資料など、
図書館では手に入らない貴重な資料が整理されて書架にならんでいます。

一次資料といわれる生の資料は資料庫の中に保存されていますが、
本当は、秩序だっていない生の資料と格闘して論文を書いてほしいのですが、
開架図書にも生の資料があるので、
それらを利用して論文を書くだけでも十分おもしろいものが書けます。

しかも、公害反対運動の当事者が近くにいて
聞き取りまでできるなんて、なんて恵まれた環境!!!

今年度、資料室を利用して書いた論文を
持ってきてくれた第一号は大阪市大修士課程の入江智恵子さん
「市民運動の発展と環境NGO」という壮大なテーマの中で西淀川公害裁判の運動から
どのようにして環境NGOが育っていったかを書いています。

今年度、利用した方々、ぜひぜひ成果を見せてくださいね。
まっています。

論文に悩んでいる人達は、ぜひ西淀川地域資料室(3月18日からは西淀川・公害と環境資料館)へ来てくださいね。

★西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)のホームページはこちら





Filed under: 資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2006/02/27(月) 06:13

地域安全マップづくり



あおぞら財団の蓄積のひとつに「地域しらべマップづくり」というのがあります。
まちを歩いて、情報を書き込んで、共有するというワークショップの手法です。

最近、子供の安全を守るためどうすればいいか?と
防犯が取りざたされていますが、
その取り組みとして有効だとされているのが「地域防犯安全マップ」づくりです

あおぞら財団の地域しらべマップづくりは
環境学習のためだけに有効なのではありません。
この安全マップづくりにも活躍します。
また、4年生の学習である地域しらべにも活躍します。

子供向けの「かぶりとえころ爺のまち調べとマップづくり」という
かわいいイラスト満載の教材を
一冊500円で販売してますので、ぜひぜひご利用ください。




Filed under: 事務局 | 事務局より — aozorafoundation 公開日 2006/02/27(月) 06:08

大阪府立西淀川高等学校2年生 校外学習


2月10日(金)に西淀川高校2年生と一緒に矢倉海岸に行きました。
西淀川高校2年生と一緒にフィールドワークに取り組んで今年で6回目になります。
高校からスタートして国道43号線、大野川緑陰道路、福漁港、矢倉海岸、五社神社というコースです。

<国道43号線>
大和田西交差点で騒音測定を行いました。
結果は90デシベル。
道路沿道の環境基準は70デシベルですから大幅オーバーですね。

<大野川緑陰道路>
大野川緑陰道路は歩行者と自転車専用道路。
昔はどぶ川だったこと、
高速道路となる計画を住民の力でくつがえして緑道としたこと
などを説明しました。

<福漁港>
え!大阪市内に漁港があるの??
という驚きの声。
あるんです。工場のそばですが・・・
公害のひどかった頃はシジミも取れなくなっていましたが、
最近はハゼやスズキもつれるし、うなぎの稚魚やシジミもとれるようになりました。
淀川で取れるなんて〜〜〜と言われがちですが、大阪市民の飲み水なんですよ。
神崎川はまだ汚いですけれど・・・
また、昔は西淀川公害のシンボルだった合同製鐵の高炉が福漁港の近くにありました。
阪神大震災で高炉内部の耐火煉瓦が崩れたということで取り壊されたのですが、
産業遺産として残してほしかったなぁといまだに思います。

<矢倉海岸>
大阪市唯一の自然海岸です。
干潟には貴重な生物がいっぱい。渡り鳥の休憩場所にもなっています。
今は冬鳥が沢山飛来していますよ。
西淀自然文化協会が渡り鳥の観察や、矢倉海岸の丁寧な説明をしてくださいました。
今回のメインは「ゴミ拾い」
矢倉海岸には多数のゴミが漂着しています。
高校生たちも必死にゴミを拾います。それでもなかなか減りません。
なんでこんなにゴミが・・・と考えるきっかけになったかな?


<旧川北小学校校舎>

西淀川区内で一番古い学校です。中山鉱業の敷地内に建っています。
見所は、水面より下にある校舎。
西淀川のほとんどは0メートル以下です。
それは河口部という地理的条件もあるのですが、
工業用水としての地下水のくみ上げによる地盤沈下も大きな原因です。
そのため、西淀川区は水害に弱く、度重なる台風で水没が繰り返されました。
昔は、すぐ水辺におりることができた土手も、
護岸工事のために水と親しむ生活から切り離されてしまいました。

高校に到着後、おいしい豚汁をよばれ、冷えた体があったまりました。

自分が生活する場所、通学する学校がどんなところにあるか
案外知らないものです。
知らないと、無関心になり愛着がわきません。
愛着がわくと、見えていなかったいろんなことが見えてくる。
見えてくるとつながりが発生する。
それがまちづくり・地域再生に必要なことだと思います。
今回は紙の上の知識だけでなく、実際に歩いて体験して、
言葉にならない空気をいっぱい体験してもらいました。
この体験が、ずっと後になってからフッと思い出してくれるといいなと思います。




Filed under: にしよどnote — aozorafoundation 公開日 2006/02/17(金) 03:20

フードマイレージの授業


あおぞら財団では「西淀川公害にかかわる学習プログラム作成研究会」を開催し、
公害・環境学習教材を企画作成を行ってきました。

今年度取り組んでいるのは、
 ○ 環境教育ビデオ「手渡したいのは青い空〜未来からのメッセージ〜」
 ○ 大野川緑陰道路の教材づくり
 ○ フードマイレージの教材化
の3種類の教材です。

フードマイルズは英国の消費運動家Tim Langが1995年に提唱した概念で、
食料が生産地から消費者に届くまでの距離をさします。
遠くから運ばれてくると、フードマイルズの値が大きくなります。
つまり、輸送距離が長いほどCO2およびNO2の排出量が多くなる=環境負荷が大きくなるのです。

買い物という日常の行為の選択によって環境負荷が変わります。
大阪大学大学院工学研究科の松村暢彦先生のチームで、ゲームで違いを知ってもらう
学習プログラムを現在思考中です。


学校で実践をしようということで、
大阪府立三島高等学校3年生の選択科目「時事問題」(公民科、学校設定科目)の授業(松井克行先生)で実践しました。
(2006年1月16日、18日)

【1日目】1月16日(50分間)
 1.1970年チームと2004年チームに分かれます。
   買い物に行く交通手段と場所を選択します。
   (徒歩・自転車or車、近所の店or郊外の大型店)
 
 2.食材カードを使って夕食を作ります。
   1970年チームと2004年チームは予算と食材カードが違います。
   たとえば、1970年チームにはトマトはありません。
   理由は旬じゃないから。
   食材カードには値段と産地が書いてあります。

 3.夕食の絵を模造紙に描きます。
   産地シールを日本地図にはります。
 

【2日目】1月18日(50分間)
 4.70年代がどんな時代だったかを理解するため、
   ビデオ「日本の食生活の変化—魚から肉への転換を推し進めた米国の世界戦略—」
   (NHKスペシャル世紀を越えて第1集「一頭の牛が食卓を変えた」1999年1月24日放送より10分)
   を見る。

 5.食材カードの裏面には封筒が張ってあります。
   その中にフードマイレージをあらわす★印のカードが入ってます。
   ★印を計算して、夕食にかかったフードマイレージを計算します。
(★1つ 20g-CO2)

 6.お互いのフードマイレージ(星の数)を発表
  <1970年チーム> 
     11コ(焼肉)
     14コ(お好み焼き)
     22コ(さばの味噌煮、から揚げ)
  <2004年チーム>
     32コ(さばの味噌煮)
     57コ(お好み焼き)
     50コ(アジの塩焼き)

   明らかに、1970年代のほうがフードマイレージ(環境負荷)が少ないです。

 7.お店までの交通手段による違いをフードマイレージで換算します。
   <1970年チーム> 
     11(焼肉)    +15 (近くのスーパーに車)      =26コ
     14(お好み焼き) +0 (近くのスーパーに徒歩・自転車) =14コ
     22(さばの味噌煮)+0 (近くのスーパーに徒歩・自転車) =22コ
   <2004年チーム>
     32(さばの味噌煮)+15 (近くのスーパーに車)      =47コ
     57(お好み焼き) +0 (近くのスーパーに徒歩・自転車) =57コ
     50(アジの塩焼き)+105(郊外のショッピングセンターに車)=155コ

   実は、お店までの交通手段も環境に大きく負荷をかけています。

 8.ふり返り
   ワークシートに感想を記入します。

環境問題というと、ゴミ問題とか緑化問題など、
自然と結びついた形で認識されますが、
実は、買い物とか交通とか、日常の行動が環境と結びついているんです。
生徒の感想にも
「自分達が何気なく食べている食材がどうやって今、目の前にあるか・・・と考えると環境問題につながっていた」
「食べ物の流通などから環境問題につながることは盲点だった」
という感想がのべられていました。
また、生活と車の関係について事前にアンケートをとっていたのですが
「環境問題で車をいざ使うな!といわれるのは正直ムリやろ、という雰囲気がにじみ出てた」
など、「車=×」とはいかないなぁという現状のモヤモヤ感を生徒たちに残したようです。
私たちは、車がない社会がいいと押し付けているわけではありません。
車と上手に付き合っていくには、どうすればいいのかな?と
考えるきっかけにしてほしいのです。
だから、モヤモヤ大歓迎なわけです。

小学校や中学校に合わせたプログラムの改良など、
これから取り組むべき課題は沢山ありますが、
実践を通じて、よりよいプログラムにしていきたいと考えています。
もし、実践のご希望や、
フードマイレージ教材化研究会(次回3月28日)への参加希望があれば
ぜひともあおぞら財団にご連絡ください。





Filed under: 事務局 | 事務局より — aozorafoundation 公開日 2006/02/17(金) 03:11

衛生学と西淀川公害



第27回西淀川地域研究会

1月27日にあおぞら財団にて
藤森弘医師から「西淀川における公害と子どもの健康被害」と題して
お話ししていただきました。

衛生学の立場に立たれて公害に立ち向かわれた藤森医師。
「治療よりも予防が大切」とおっしゃいます。
大阪大学の公衆衛生学教室の丸山博先生のお弟子さんです。
丸山博先生は森永ヒ素ミルク事件の子ども達を調査された方で、
公害問題に幅広くかかわっておられます。
丸山博先生から広がる環が
公害問題解決に幅広く広がっているのでは?と感じさせられました。

藤森医師は柏里で診療を続けていましたが、
1965年ごろ新医協の「青空を取り戻そう」運動に参加。
1970年の公害特別措置法にともない、柏花公害患者会を結成します。
また、1975年から開始された「ぜん息児サマーキャンプ」に積極的にかかわります。
ぜん息児サマーキャンプは医師と教師の協同の取り組みで、
ぜん息の子どもをキャンプに連れて行き、体操や水泳をしたり
共同生活を行うことで自立心を喚起させ、
ぜん息との付き合い方を指導します。
これは、西淀川の自主的で独特な取り組みでした。
また、藤森医師は西淀川公害訴訟で証人になりました。

これらの活動の資料の一部はあおぞら財団に所蔵されており、
今回の報告にあわせて用意しました。
資料があったことで、報告の内容が深まりました。

藤森医師は柏里小学校で校医を長くつとめられておられて、
子ども達をみてきました。
西淀川の子ども達は今も昔も「ハリソン溝」が多く見られるそうです。
ハリソン溝は胸の異常です。
これは大気汚染で太陽光線がさえぎられているのが原因ではないか
というのが藤森医師の見解です。
今も多いということが問題ですね。

藤森医師が提案する地域再生は「保養・養生」ができる場になること。
転地療養しなくてもいい地域になれるようにという願いです。
まさしく、衛生学からみた公害地域再生ですね。

こつこつとした地道な活動ですが、
お話しを伺うことで西淀川の歴史が明らかになるのはうれしいです。
次回は3月31日(金)18:00〜
昭和52年の工業専用地域指定反対運動について
あおぞら財団所蔵資料から林が話します。
ぜひご参加ください。

★西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)のホームページはこちら




Filed under: 資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2006/02/10(金) 06:16
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