学者公害発生の仕組みを証明
弱者の立場で公害のない社会にするための理論づくり
●公害裁判は、原告側(被害者)が加害と被害の因果関係や加害者の責任を証明しなければなりません。しかし、被害者側には、排出量などの資料もなく、因果関係や国や企業の責任を証明することは極めて困難でした。その被害者を支えたのは良心的な学者達でした。
●西淀川公害裁判で難しかったのは、因果関係の証明でした。広域にまたがって立地している多数の工場が排出している汚染物質が、どのようなメカニズムで、どの程度、西淀川の空気を汚染しているのか。学者たちは行政資料や当時の大気汚染の写真を探し、スーパーコンピューターを使っての汚染メカニズム解析などをして「被告各工場の排煙が入りまじって西淀川区を汚染してきた」ことを立証し、被害者を勝利に導きました。
●その他にも、日本の道路政策の問題点や地域全体にわたる被害の歴史的な解明や、個々の原告が公害病にかかった事実などを明らかにするなど、工・経済・法・気象・都市計画・歴史・医など様々な分野の30名を超える学者が被害者を支えたのです。西淀川公害裁判で原告側の証言にたった学者や医者は11人になります。