あおぞら財団 第6回アジア・太平洋NGO環境会議に参加して 中島 晃(弁護士)
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第6回アジア・太平洋NGO環境会議に参加して 中島 晃(弁護士)

2002年11月1日から4日にかけて、台湾の高雄市で開催された第6回アジア・太平洋NGO環境会議に参加したので、その概要を以下に報告する。
会議に参加するに先立って、事前に「環境と公害」32巻1号に載っている「台湾における環境問題の今日的課題」(邱文彦、陳禮俊)に目を通して、台湾で、いまどのようなことが問題になっているのかを予備知識として学んだ。
台湾では、有害産業廃棄物の不法投棄が深刻な問題となっていること、また原子力発電所の建設をめぐって、行政院と立法院の対立があり、論争が巻き起こったこと、反公害運動としての「自力救済」が増加していたこと、「公害紛争処理法」の制定によって、紛争処理の制度化が図られつつあること、また同法による公害紛争は、わが国の典型7公害よりもかなり広くとられていることなどが注目すべきものであった。

会議は高雄市内のホテル大信飯店で開催された。私は11月1日午前10時30分に、関西空港を出発し、台北空港で乗り継いで、高雄空港に午後2時30分に到着した。台北から高雄までの飛行機の中でたまたま大久保規子甲南大学教授と座席が隣り合わせになったのは奇遇であった。海外の見知らぬ土地を旅行するときに、一緒に行く人がいることは心強いことであった。おかげで高雄空港から会場の大信飯店まで、マイクロバスを利用できることを教えてもらい、早速これに乗り込んで、会場に向かった。

会議の全体の印象は、非常によく準備がされており、電話帳を思わせる分厚い報告書もきれいに印刷されているなど、準備を担当された事務局の熱意に感心した。会場の大信飯店は、参加者の宿舎にもなっており、感じのいいホテルで、ゆったりと過ごすことができた。

会議の期間中は、毎日ウエルカムパーティとフェアウエルパーティが開催され、昼食も含めてパーティによる歓迎ぜめにあった。台湾は砂糖の産地ということもあって、味付けが全体として甘みの強いものになっていたのには、少しばかり閉口した。

2日目の中山大学での歓迎夕食会は、野外で行われ、カラオケまで飛び出したのには驚いた。日本のカラオケ文化は、いまやアジアを席巻しつつあることを思わせた。会議には来賓として、高雄市長が参加して挨拶を述べたのをはじめ、陳水扁総統も出席して台湾の環境問題について熱弁をふるった。このことは、台湾で環境問題が大きな政治的感心を呼んでいることを示している。

日本からの参加者では、11月3日に、第4セッション-Aで、公害被害者として太田映知氏が「戦後日本における大気汚染公害被害者の救済制度と問題点」について、報告した。他の報告が大部分研究者によるものであったなかで、被害者が自ら救済制度のあり方について報告をしたことは、非常に大きな意義をもっている。それは日本の被害者運動の水準の高さを示すものといえよう。

11月4日はオプショナルで現地視察ツアーが行われ、私は台湾案文の国立海洋生物博物館と墾丁国立公園を視察するコースに参加した。

このツアーを通して、台湾が豊かな自然と海洋生物に恵まれていること、これからの自然や資源を保護するために台湾政府がかなりの力を注いでいることがわかった。台湾の最南端にまで行って戻って来というバスツアーは相当の強行軍であったが、台湾の自然を満喫することができた一日であった。