中国/北京 訪問記(2016.3)その3 環境NGO 潘氏に聴く ~中国重金属汚染地図プロジェクトとは?~
今回の面談で三人目となる潘慶安氏からは「中国重金属汚染地図プロジェクト」について話を聞きました。これは、同プロジェクトは2年前からスタートし、重金属汚染についての公開情報、現地調査とその結果をインターネット上で公開しています。湖南省・広東省などの血鉛事件(鉛汚染事件)の情報が集約されています。
「中国重金属汚染地図」http://www.zhongjinshu.epmap.org/ngo
中国国内でも、都市部の子供への鉛汚染については調査があり、救済措置もある場合がありますが、農村部など田舎のほうでは放置され、情報すらない場合が多いそうです。このプロジェクトを通じて、まずは、情報を公開し、これを起点として、被害者の救済につなげていくことを考えています。
今後は、準備調査→血液調査→資金援助→入院費補助などを進め、医者との協力関係を深めていきたいと考えています。しかし、被害者への支援は、実際には多くの困難があります。例として、ある裁判では206万元の賠償請求が最終判決では2万6千元となりました。これは、法律が補償の基準を定めていないためです。そもそも、子どもの鉛中毒被害の損害程度を測る技術や規定がなく、これは司法鑑定にも影響しています。
この取り組みも、微博などのSNSを活用することで情報公開をすすめ、政府機関との連携を見据えながら、環境汚染の改善、被害者の救済につなげていくことを目指しています。調査や救済のための資金もクラウドファンディングなどを通じて集めています。
潘氏は、日本の重金属汚染対策の取り組みにも強く関心を持っており、自身の微信(We Chat)でも紹介してくれています。日中環境NGOで、互いに協力して、公害のない世界を目指しましょう。
北京市内の様子
・中国/石家荘 訪問記(2016.3)その1 環境弁護士 馬倍戦事務所を訪ねる
・中国/北京 訪問記(2016.3)その2 環境NGO 趙氏に聴く ~「好空気保衛侠」プロジェクトとは?~