フードマイレージ買い物ゲーム(いずみ市民生協)
*実施日 2008年7月14日
*実施場所 大阪いずみ市民生活協同組合(大阪府堺市)
*対象 生協組合員
フードマイレージ買い物ゲームは食材の写真を用いて買い物を疑似体験し、食材が生産地から消費地に運ばれるまでに排出する二酸化炭素や二酸化窒素が環境にどのような影響を与えているかという事を、1970年代と現代の食生活を比較しながら実感し、学習するゲームです。 大阪いずみ市民生協で実施されたイベントにアシスタントとして参加させていただきました。
当日は7〜8名のグループが8テーブルもあり、1970年代と現代の春夏秋冬、すべてのグループができました。 参加者が60名も集まったという事は生協が地域にいかに密接に結びついているかという事や、組合員の食に対する関心の高さを示していると思います。 参加者は殆どが知らない人同志で、始まる前は会話もあまりありませんでしたが、林さんの「今日はこのグループが家族になってもらいます。1970年代は現代と比べて品数は少ないですが、鯨など現代にはないものもあるし、旬のものは旬に食べたりして、時代を楽しんでくださいね!」という一言で一気に和やかな雰囲気になり、自己紹介の間、各テーブルから笑いがおこり、とても楽しくゲームが始まりました。
私自身は昨年JICAの研修で、このゲームを体験しましたが、その時は殆どの参加者が学校教員だったので
今回のゲームでは主婦ならではのアイデアを聞くことができ、とても興味深かったです。 特に献立の豊富さや栄養面での配慮には見習うべきところが多くありました。「卵が少し余ったのでかきたま汁を作りました。」「大根が多すぎたので柿とナマスにしてみました。」「さばは安くて栄養があり、大家族で分け合うにはちょうど良い食材です。」「唐揚げが脂っぽいので、さっぱりとたこの酢の物を添えました。」「青みが足りないのでホウレンソウを足しました。」「調味料で食材にバラエティを付けました。」など家族の健康を預かる主婦の、家族への深い愛情を感じました。また「こんなにいらないから葱の本数を減らして。」とか「鶏肉を半分だけ買いたい。」とかいう質問もあり、
家庭の経済を預かる主婦ならではと思いました。
ゲーム前のアンケートでは、このゲームを経験したことがある人は2人だけでしたが、「フードマイレージだから
近所で買い物するほうがいいよ。」という発言が出たり、全グループが交通手段に自転車を選んだりしたところを見ると、フードマイレージが昨今メディアに取り上げられ、研究者や学校関係者だけではなく、一般の方にも浸透しているのを感じました。
一般的に1970年代より現代、旬より季節外れの食材がCO2排出量を表す星印が多くなるが、グループ数が
多くなると、献立の立て方によって、1970代の方が星印が多くなる可能性もあるということも新発見でした。
当日の星印は10〜40個でしたが、小学生が食べたい物を優先させた献立では星の数が80個にもなると聞き
驚きました。
もう一つ再確認したことはカードの威力です。 星の数を見て各テーブルから「すごい!」や「こわい!」という歓声が上がり、食材の写真、CO2の星印、道路網など視覚に訴える効果が絶大であると感じました。
最後に林さんが「このゲームの目的は、豊かな生活をあきらめ、こうしたらダメ、ああしたらダメというのではなく、まず自分たちの食生活を考え直してみようということです。」と言うと、多くの人が深くうなずき、共感されていたのが印象的でした。
経済学者のランデスは「体重を増やさないことに多額の金を費やす国」「生きるために食べる国」「次の食事がどこで手に入るかもわからない国」という示唆に富む表現で、経済発展の勝者と敗者の存在を示しました。 フードマイレージ買い物ゲームは、経済発展の勝者である飽食の国日本で、人々がその食生活やライフスタイルが環境や健康に及ぼす影響を見直す事を、わかりやすく提示してくれる素晴らしいゲームだと感じました。
(安田 万里)