楽らく呼吸会で栄養について学ぶ!(8/3)
7/20の楽らく呼吸会では、毎日新聞に取材を受けましたが、その時に撮影された写真が記事に使われました。内容は、公害病の未認定患者さんについてのお話です。楽らく呼吸会には、公害によって呼吸器の病気になられた患者さんも多数参加されています。
毎日新聞2018年7月31日「西淀川和解20年 -公害、過去の話じゃない 未認定患者-」
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さて、先日行われた楽らく呼吸会の報告です。
2018年8月3日(金)に、のざと診療所において「栄養について」をテーマに、西淀病院の管理栄養士の清水さんを講師としてお招きして開催しました。参加者は6人でした。
最初に、COPD(慢性閉塞性肺疾患)と栄養療法についてお話を聞きました。
標準体型を維持することが大事!
COPDは、息をするときに空気の通り道となる気管支や肺に障害が起きて、呼吸がしにくくなる病気ですが、栄養療法とも大きく関係があります。というのは、COPDの患者さんは栄養障害を起こしてしまう可能性が非常に高いこと、また痩せていても肥満になっていても呼吸がしづらくなるからです。そのため、太りすぎでもなく痩せすぎでもなく、ちょうどよい体型を維持する必要があります。
講義では、参加者が1人1人が自分のやせ・肥満度を確認するために、BMIを計測しました。
BMIの計算式は次のとおりです。
BMI = あなたの体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)
このBMIの数値が18.5~25未満であれば標準体型です。18.5未満だとやせ形、25~30が肥満、30以上が重度の肥満です。
今回参加されてた患者さんは標準体型の方ばかりでした。
食事のコツ!
COPDの患者さんの食事のコツは次の4つです。
- エネルギーをしっかりとる 2000~2300 kcalを目安に
- たんぱく質をしっかりとる。筋肉を作るのに欠かせない栄養素。
- 脂質をしっかりとる
- 数回に分けたり、間食を上手にとる
COPDの患者さんに脂質をとることが勧められているのは、脂質が他の栄養素に比べると二酸化炭素の排出量が少ないからです。ある時間いおいて、栄養素が分解されてエネルギーに変換するまでの酸素消費量に対する二酸化炭素排出量を「呼吸商」というそうです。呼吸商は、糖質が1なのに対して、たんぱく質は0.8、脂質は0.7と二酸化炭素排出量を減らすことができます。
そうはいっても、酷暑が続く中、家庭でバランスのよい食事を準備するのは大変です。こうした時に次のような工夫をするとよいと教えてもらいました。
- お買い物は、スーパーやコンビニの電話注文サービスを利用する
- 下ごしらえは電子レンジを上手に利用しましょう。
- よく使う調理器具・調味料・食器はまとめておきましょう
- たくさん作って冷凍
- 補助食品を購入しておく
栄養療法に関するQ&A
最後は質問タイムです。
食欲がない時はどうしたらいいのかという質問に対しては、肉や魚などカロリーの高いものから食べる、好きなものから食べる、食事を何度かに分け、回数を増やすといった工夫をするとよいでしょうと勧められました。
おなかが張るときには、食事の前に十分な休憩をとる、食事を分けて一度に食べる量を少なくする、空気を飲み込まないようによく噛んで食べる、さつまいもやビール、炭酸飲料のようなガスを出すような食物を避けることが大事とのことでした。
また、患者さんの中には、糖尿病を併発している方もおられ、便秘に悩まされているという相談もありました。その方へのアドバイスとしては、全体の食事の量を減らすのではなく、炭水化物を中心に減らすこと、食物繊維の摂取量を増やす、腸を活性化するたために朝食をしっかりとるといったことをおすすめしていました。
楽らく呼吸会は、少人数での勉強会ですので、一人一人の症状に合わせた内容について専門家の方に相談しやすいという利点があります。
食事は自己管理の大事な要素であるのと同時に、日々の大きな楽しみでもあります。患者さんみなさんが美味しくご飯を食べながら体の調子を保つのに、本日の楽らく呼吸会がお役に立てることができたのではないかと思います。
■次回予定~問い合わせはあおぞら財団まで~
楽らく呼吸会は、患者さん同士、日頃の病気の悩みを交流したり、時には勉強会なども開催しながら、病気と向き合っていこう、またお互いが支えあっていこうという会です。
少しでも興味があれば是非、各診療所に足を運んで、楽らく呼吸会にご参加ください!
2018年度の予定はこちらをご覧ください→2018年度の楽らく呼吸会の予定
今までの楽らく呼吸会の様子はこちらから→楽らく呼吸会
本事業は独立行政法人環境再生保全機構「地域におけるCOPD対策推進のための人材育成・情報発信事業(NPO法人等との協働事業)実施業務」の一環として実施しています。