肺年齢測定&医療従事者向け呼吸リハ講習会(1/27)
1月27日(日)に西淀川区役所にて肺年齢測定と医療従事者向け呼吸ケア・リハビリテーション講習会を行いました。
今回は、藤原 耕三氏(倉敷第一病院理学療法士、岡山県呼吸ケア研究会理事)
太田 信也氏(済生会吹田病院理学療法士)(お二人とも環境再生保全機構 呼吸ケア・リハビリテーション指導者養成研修修了生)に、協力してもらいました。また、日頃からあおぞら財団の環境保健事業に関わっていただいている西淀病院の理学療法士の廣野克俊さんにも、協力してもらいました。
肺年齢測定は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の早期発見、啓発のために実施しています。COPDは、死因別死亡数では10番目に多く、放っておくと呼吸がしづらくなり死につながる病気です。ですが、早期に発見することで病気を自己管理して、普通の生活を維持することができる病気でもあります。そこで、あおぞら財団では、区役所と協力して、がん健診などの際に肺年齢測定を同時に実施しています。
今回、測定した方は全部で40人です。測定した方のほとんどは現状では問題ないのですが、中にはCOPDの疑いがかなり高いという結果が出る方もいます。そういった方には、かかりつけ医や近くの呼吸器内科で精密な診断を受けることをおすすめしています。測定を行っている指導者養成研修修了生に、日頃の呼吸や家族の症状について相談される方もいました。
次は、2月23日(土)に、区役所のがん検診に合わせて行います。無料で測定できますので、ぜひ受けにきてください。(2018年度の肺年齢測定の予定はこちら)。
同じ日の午後からは、同じ西淀川区役所にて、医療従事者向け「呼吸ケア・リハビリテーション講習会」を行いました。講師は、午前中に引き続き、藤原先生と太田先生のお二人です。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった職種の方が全部で21人が参加されました。テーマは「これからはじめるCOPD患者さんへの呼吸ケア・リハビリテーション」です。
前半の講義では、COPDとはどんな病気なのか、COPDの自己管理について藤原先生にお話してもらいました。健康日本21(第二次)では、2022年度までに
COPDの認知度80%とすることを目標としていますが、まだまだ認知度が低く、500万人以上の潜在患者がいると言われています。
講義では、スライドを用いた説明だけでなく、スパイロメーター体験や薬の吸入体験も行いました。COPDの薬物療法は、気管支拡張薬などの吸入薬が中心となるのですが、製薬メーカーによって吸入器のタイプが異なっており、症状や患者さんの状況によってエアゾールやドライタイプといった薬の形態も様々です。藤原先生からは「セラピストは患者さんとじっくり向き合う時間があるので、正しく吸入ができているのかもみてあげてください」とのコメントがありました。今回の参加者は、20~40歳代の若い方が中心でしたが初めての吸入に咳き込む人もおり、「自分たちでこんなに難しいのであったら、高齢者にはもっと吸入が難しいのではないか」と話している人がいました。
後半の実技は太田先生が中心となって行われました。実技は身体所見と呼吸介助法に分かれています。検者と被験者をローテーションしながら2人1組で、実技を行います。実技の際には、2人の講師の先生がそれぞれのグループに行き、直接触ったりして丁寧に教えてもらいました。
身体所見では、呼吸様式、上部・下部胸郭運動の評価を行いました。先生から「呼吸は感情に左右されやすいので、呼吸を観察する際には患者さんには呼吸を意識させないように」というアドバイスもありました。呼吸介助では、仰臥位、側臥位、座位といったいろんな姿勢からの介助方法を行いました。
参加者のアンケートでは、講習会全体に対する感想は「参考になった」が100%、今後の仕事に活かしていきたいかに対しては「はい」が100%となっていました。また、座学に対して「吸入される患者さんが時々おられるので、体験できて指導の際の参考にもなりました」、「画像の見方から具体的なリハビリアプローチまで実際の臨床に役立つ内容だった」と、基本的なところから体験も入れた講習内容であったことがよかったとの感想がみられた。実技に対しては、「一人一人動きが違う為、何人ももの方で試すことが出来てよかった」、「実技の説明、デモも丁寧に教えていただけました」との感想がありました。
参加者のみなさんはそれぞれの医療の現場で、今回の講習会で学んだ知識や技能を生かしてもらえると期待できるのではないかと思います。
これまでの医療従事者向け呼吸ケアリハビリ講習会の様子はコチラをご覧ください→https://aozora.or.jp/katsudou/ikigai/medical-worker →https://aozora.or.jp/archives/category/kankyohoken
協力:西淀川区役所本事業は独立行政法人環境再生保全機構「地域におけるCOPD対策推進のための人材育成・情報発信事業(NPO法人等との協働事業)実施業務」の一環として実施しています。