もりもとまきのアーキビストの目 No.20
弁護団、一丸となるために
-西淀川公害訴訟弁護団事務局ニュース-
(資料館だより37号、2011/07)
紹介資料:『西淀川公害訴訟弁護団事務局ニュース 第1号』(1985/09/20、眞鍋正一弁護士資料No.1361)
今回は、『西淀川公害訴訟弁護団事務局ニュース 第1号』(1985/09/20、眞鍋正一弁護士資料No.1361)を紹介します。
西淀川公害訴訟は、6つの争点(気象・疫学・関連共同性・被害・道路・歴史)について議論が進められました。弁護団は争点別に6つの班を組織して、20年間の裁判に取り組みました。6つの班が一丸となるためには、各班相互の連絡体制が欠かせません。その中心的な役割を担ったのが弁護団事務局でした。
第1号では、各班の状況をすべての弁護団員が把握できるよう、三役(団長・副団長・事務局長)と事務局が持ち回りで各班の会議にオブザーバーとして参加すること、各班に事務局との連絡係を置くこと、各班からの連絡事項や進行状況を伝えるため事務局ニュースを発行することなどが記載されています。
ニュースは時に連日発行され、現在までに約260点の現物が確認されています(1985~2001、眞鍋正一弁護士資料内)。事務局はまた、会計、裁判所との交渉、書類の管理、他団体との連絡など、多くの事務的実務も担い、その状況も伝えられています。弁護団がどんな体制で長い裁判に挑んだのかを伝える資料です。
☆資料館だより37号はこちら
(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)
むらかみかずこさんのコメント — 2012年4月7日 @ 4:12 PM
亡父・正一の足跡・事績を探して、今日やっとこのページに辿りつきました。
「事務局ニュース」ですか。あの人の事だから、きっと几帳面に(しかし雑然と)保管してあったのだろうと想像しています。資料の類を捨てるのは大嫌いだった人ですから。
「公害」というか、加害者(≒被害の原因を作った人)が個人一人に特定できない事故や災害・被害(それゆえに「お前の責任だ!」と一気に断定できない損害・被害)に、興味を持ち、憤りを感じた人のようだ、というのが、「仕事」は一切家に持ち帰らなかった故に、彼が何をしていたのか知らなかった家族の、現在のところの感想です。
昨年の地震での原発被害の有様を父が見ていたら、どのような感想を述べたろうか、と気にもかかるところです。
資料整理は地道で大変な作業であると思いますが、よろしくお願いいたします。
エコミューズ資料整理スタッフ 森本さんのコメント — 2012年4月9日 @ 1:12 PM
むらかみかずこ様
コメントいただき、ありがとうございます。
お父さまの足跡を探されてこちらの記事をお読みいただけたとのこと、
たいへん感激しております。
エコミューズで所蔵しております膨大な資料のひとつひとつが、西淀川公害や、西淀川の地域の歴史をめぐるひとびとの営みを、つぶさに物語っております。
すこしでも多く、その記録と記憶を次世代に伝えるべく、頂戴した言葉を励みに、これからも資料整理に取り組んで参りたいと思います。
今後も資料紹介を掲載いたしますので、また是非ご覧になってください。
(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)