歌島橋交差点改良工事に関する研究発表をしました
2011年8月に堺市で行われた日本福祉のまちづくり学会第14回全国大会において、
歌島橋交差点改良工事のバリアフリー面からの評価に関する研究発表を行いました。
発表原稿はこちら
2009年に、国道2号の歌島橋交差点の改良工事・地下道整備の完了に伴い、
地上の横断歩道が撤去されました。
地下道にはスロープやエレベータが設置されていますが、
上下移動が必ず伴い、方角を失いやすいため、必ずしも使いやすいものとは
なっていません。
そこで、本研究では、
道路管理者が整備によってめざした効果と交差点利用者からの評価を比較し、
この両者のずれを小さくするためにはどうすればよいのかを考えました。
本研究で得られた知見は以下のとおりです。
- 安全性に関して、車両と歩行者・自転車との分離を行ったことで、「事故に対し安心して横断、通行できる」に対して81%の人が同意している。
- その一方で、自由記入では自転車とのすれ違いや防犯面に対して不安や危険を感じている意見が多く寄せられるなど、地下であることに由来する不安や危険を歩行者は感じている。
- 横断時間の短縮効果について、近畿地方整備局は短縮効果があったとするものの、「横断に時間がかかる」に同意している人が55%と半数以上の人が横断時間の短縮効果を感じていなかった。
- 61%の人が「地下歩道の入り口、出口がわかりにくい」に同意しており、自由記入でも「迷う」、「遠回り」との意見が多く見られた。
- これらの利用者の不満や要望は、地下歩道だけでなく地上にも横断歩道を再設置することによって、大きく改善すると予想される。
- 歌島橋交差点整備においては、道路連絡会などを含めて、道路管理者と住民とのコミュニケーションを続けてきたが、地上の横断歩道の設置に関する住民の意見は聞き入れられなかった。
- バリアフリー整備においては、ガイドラインに基づいた整備だけでは利用者にとって使いにくいものになる事例も多く、整備後の利用者の評価を整備にフィードバックすることが重要である。