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ブログカテゴリー » エコミューズ館長日記

エコミューズ館長日記No.10

みなさんお久しぶりです。
今回はミナコさんに、編集作業をしていて気が付いたことを書いてもらいました。編集作業の意義がこんなに率直に語られることが大変うれしく思っております。

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最近定例会議や作業中の小田先生のお話を聞いていて感じたことは、研究することの大切さです。資料館は資料を持っているというのは前提事項ですが、ただ持っているだけではあまり意味がなく、それらを整理し、内容を確認し、そこからどういったことがわかるのかということを考えることが大事であり、必要だと思いました。
私は大学で学芸員資格取得のための授業を受けています。その際に博物館が「研究」する機関であることを教わりました。これらの活動を博物館や資料館が行うことの重要性を頭では理解していましたが、実際にエコミューズでアルバイトをし、その「整理」や「研究」の活動に参加してみると、その重要性を身に染みて感じるようになりました。
例えば、1970年代の初めに緑陰道路が作られる過程について。あおぞら財団はこれまでも当時のお話を聞いたり、資料を多く持っていましたが、改めてその資料を調査してみると新しく分かったことや、新たな疑問点が多く見つけられました。その1つが、運動の過程で力をのばしていった緑地化委員会がなぜか消えてしまったかということです。このように、単に資料から見るだけでなく、起こった事実と対比させて見ることで気が付く「歴史」や「今」が多くあるのです。
もちろん、整理するのにも研究するのにも、時間や知識・経験など多くのものが必要で、とても大変な作業が求められているように思います。しかしこの発見は本当に楽しく、刺激的な瞬間です。現在あおぞら財団では公害資料集をつくっています。この資料集では誰もが原史料を読んで、当時の状況を直接追体験し、想像することが出来るように考えられています。財団職員のみなさんや小田館長の仕事ぶりに遭遇し、資料集をつくるという瞬間に立ち会うことができています。このことは、とてもうれしく、貴重な経験だと思っています。
このような経験が出来ているからこそ、「整理」や「研究」の重要さをこの短期間で感じられているのかなとも思いました。

これからもあおぞら財団を(私のことも)よろしくお願いします。

ミナコ
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本日(11/25)午前には資料集編集委員会を開催しました。左端がミナコさん。

2024.11.25 小田康徳

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

【ご寄附のお願い】「西淀川公害がわかる資料集」のための寄附を募集しています。どうぞみなさまの寄附でこの活動を支えていただきますようお願いいたします。
■寄附の方法はこちら https://www.aozora.or.jp/ecomuse/contibution_doner

※資料集のウェブ版作成には、(独法)環境再生保全機構地球環境基金助成金を活用しています。

#おもろいわ西淀川
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#エコミューズ
#西淀川公害がわかる資料集

エコミューズ館長日記 No.9

10月7日月曜日。
2、3日前から家で取り組んでいた第1章「公害地域化する西淀川区」の内、「1.写真でふりかえる」を上下2段をやめて、1段で組み替えたものを職員の皆さんに見せて意見を聞いた。ちょっと注釈を入れると、最初のページにこの項編纂の考え方を1ページ内で書きおさめ、1934年及び、1950年発行の地形図を左右に並べ、御幣島・佃・野里・姫島地区の工場地帯化が一目瞭然となる地図を掲載した。他は一緒だが写真が大きくなり、見やすくなった。それから、もう1点、戦後初期区画整理後の上空写真を追加した。これをもって、西淀川工業地域の第2の特徴である、中堅工場の急速な立地状況及び、それを取り巻く住宅などの空間構造が一目瞭然になってきた。初めて見る写真資料で、驚いている。これで写真のページは当初の6ページから14ページへと大幅に増加した。どこかで数字上の埋め合わせをしなければならないので、頭が痛くなってきた。幸い職員の方の評判もよかったので、それでページ数が少なるわけではないが、ほっとしている。

本日の作業は、第3章の2の「1970年前後個別公害企業との対決」の編集である。これは筋書きもよくわかり、基本的には問題なく終了したが、手書きの文字が出てくると翻刻を担当してくれているミナコさんの手に負えない部分が所々出現して、その都度「こう読むのだよ」と言って文字を教えてあげた。一方、小さな文字でガリ版印刷されたところでは、文字を読み間違えるのは小生の方が多かったように思う。老眼で、文字の解読力が低下しているためだと自らを慰めた。

という訳でまずは順調な作業ぶりであった、と言っておこう。
2024.10.7 小田康徳

館長のインタビューが「広報 いけだ」2024年10月に掲載されました!館長が編纂に関わっていた『新修 池田市史』についてお話しています。是非ご覧ください(o^―^o) スタッフ:ミナコ

 

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エコミューズ館長日記 No.8

今日は9月の最後にあたる、30日。
明日からは10月というのに、本当に暑い日が続く。
皆さんお元気のことと思います。
9月24日には立憲民主党党首に野田さん、29日には自由民主党総裁に石破さんがそれぞれ激戦を制して選ばれました。
日本はしばらく総選挙モードに突入したようです。
西淀川公害資料集編纂事業が順調に進んでいくことを願っています。

今日の編集委員会は、先月26日から都合で開催できなかったため、一か月遅れに開いたものです。
編集委員は大阪公立大学文学部長・文学研究科長の佐賀朝教授、岡山大学文学部准教授の松岡弘之准教授のお2人です。
小生が、前回6月17日以来の作業進捗状況を報告し、資料が、他の章や他の節にも関わっていることを見出したことを紹介する。例えば緑化推進委員会の運動が、第2章「学校の公害問題」に配列した別の資料の中にも書かれています。つまり、広い視野を持って資料を見ていかねばならないことです。
この問題提起をきっかけに、資料の解説を資料ごとにつける方が読者に親切だという主張も出るなど、会議はにわかに活発化した。
私としては、身を切る思いで掲載を諦める資料が沢山あり、その中でさらにページ数を削減しかねない「解説」は可能な限り減らしたいという思いがあり、色々とやりとりを行った。その後資料集全体のねらいについて思いつくままに語った。10分前後の時間を掛けたようである。いい発言だったように思うが、長いので内容は本が出来た時に解説の中で紹介したいと思う。

午後からは、前回までに事務方と私との間で進んでいた作業の進路の違いによって生じた若干のデータの不整備について、相互に確認し合った。
「あれ、今朝までちゃんと入っていたデータだったのだが、どこへいったのだろう」といったため、ミナコさんが探してくれたが、なかなか見つからない。
「どれどれ」と私がパソコンを操作してみた。やっぱり見つからない。
「おかしいなぁ、今朝はちゃんと入れていたんだけど」
と言っているうちに、ひょっこり問題の資料データが見つかる。
こうして見つかった時には、なんだかうれしくなった。
まだまだ先は長いなぁと思った。

 

2024.9.30 小田康徳

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エコミューズ館長日記 No.7

一昨日の晩は中秋の名月を見た。ただ、9月の月は少し小さく見えるように思った。
10月の方が大きく見えるのは気のせいだろうか。

今日は9月19日。立秋の少し手前、中秋の名月は15日、お彼岸は21日で、間もなくだ。なんだか変だなと一瞬思ったが、これは旧暦と新暦が混同していたことからきた勘違いだとすぐに気づいた。どうも最近は思考に混乱が生じるようで、気を付けないと、と自戒する。

ところで、あおぞら財団に朝着いたら、可愛らしい中学生が4人机について、パソコンを開いて、熱心に何事かをやっているのをみた。財団職員の谷内さんがすぐに「区内の西淀中学校の2年生の皆さんです。職業体験に来ています。」と紹介、そして1人1人から挨拶を受けた。谷内さんが「今、今度の資料集の原稿になる部分を翻刻してもらっています」とおっしゃる。そこで、「これは本当に本になるのですよ。ただし編集の都合で載らないのが出るかもしれませんが、それは辛抱してください」と言ったところ、嬉しそうに、また恥ずかしそうに互いに顔を見合わせていた。

 

 

その後、資料の勉強会があり、財団職員の鎗山さんが大野川緑陰道路のニュースペーパー(昭和46年7月)をコピーしたものを参加者に配り、説明された。私は「これは公害地域再生活動の最初の大きな1歩ではないか」と述べておいた。ただし、そこに出てくる「阪北運河」、「歌島運河」の流れていた地図上の位置を確認して、「こんな所に水路があったのか」「いや、その跡見たことある」といったようにそれぞれ、大きな声で喋り合った。

 

午後からは中学生がパソコンにデータ化してくれた翻刻文をミナコさんが受取り、その点検作業も行った。一部のミスはしていたが、まずは良く解読できていたという風に高い評価を与えた。ありがとう、みなさん。

 

2024.9.19 小田康徳

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エコミューズ館長日記 No.6

前回の日記から2週間近くがたった。この間、台風10号の暴走ぶりがあっていくつかの予定も消えてしまった。
それを利用して、第3章に採用する資料の選択・配置見直しを行った。
厄介な存在だと気づいたのは、西淀川公害追放委員会(すごい名前だ)の活動である。
これは、緑地化推進委員会の活動から生み出されたものか、西淀川から公害をなくす市民の会の流れからでてきたものか、どちらの運動にもこの会への期待が表明されている。
最大の課題は外島地区に公害企業を誘致する事実が分かったときに、両者ともにこの対応を西淀川公害追放委員会に訴えている。
ところが、その後の資料がないのである。どこへいったのか。ただ、謎は謎のまま置いておかないといけないなあと思う。

さて、今日は午前中に読売新聞富山支局の岸本健太郎記者がお見えになった。
その趣旨は、富山県立イタイイタイ病資料館の持っている行政文書の整理がなかなか進まないことに対するコメントを得ることと、合わせて我々エコミューズの抱える問題点についての聞き取りであった。
私は、お金の問題、人の問題、場所の問題、3つともに苦しいのだと述べておいた。
読者のみなさんには詳しい話は機会があったらいたします。しばらくの間は、内緒にしておきます。
ただ、資料は集めただけでは不十分であって、その活用をはかる状況を作っていかなければならないことそれには、当時の人が作成した心からなる叫びを表現している現物の資料についての知識と、その意味が理解できるようになる人材の育成が必要であることを述べておきます。また、いま進めている資料集の編集はそうした力をつける最も有効なやり方ではないかと考えています。

午後からは第3章の1大野川緑陰道路の創設に関わる資料の翻刻作業に取り組んだ。
例によってミナコさんにその作業の実務がかぶさっていった。
前回と同じように翻刻中わからない文字が出てきたとき、ミナコさんの要請に応じてちょっと頭を捻ることになった。資料は「亜硫酸(SO₂)について」。
「細」という漢字に続いて、草冠に「口」と読めそうな漢字を見て、「ウーーン」とちょっと悩んでいる隙に、「細菌じゃないですか?」と答えを言われてしまった。
「1本取られたなあ」と思わず言った。
ミナコさんは嬉しそうに笑いを返した。

2024.9.13 小田康徳

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