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ブログカテゴリー » エコミューズ館長日記

エコミューズ館長日記No.20

今日は桜の開花日が近いと言いながら、本当に寒い1日でした。この館長日記もなんと20回を数えることとなったんですねぇ。

はじめに前回(No.19)の続きをちょっとだけ。語るべきことが3つあると述べていたが、1だけ述べて、2・3を打切ってしまいました。今後の予定としては、2については、第5章の中で資料として具体的に入れます。3については、現在ウェブ版の構成について業者さんと打ち合わせ中なので、それが形を成した時点で改めてご報告します。以上、述べておきます。

今日はエコミューズの定例会議が開かれ、わたくしが最近に至って、まず基本的には掲載すべき資料のほとんどを選び終えたこと、そのうち翻刻がまだ済んでいないのが多少残っているが、これも時間の問題である。よって資料集の中心部分である資料本文の翻刻はほぼ完成が見通せるようになり、誠に感無量であると述べました。

続いて、書籍として出版するために出版社を選ぶべきこと、支援者を増やして寄付金を募ることについて話し合いました。こちらについては慣れないことなので、いろんな意見が出ましたが、いずれ出版社さんを決めて交渉に臨むことにしたい、ということでまとめました。

その後は資料の勉強会をやりました。ミナコさんが第一次訴訟の判決文をもとに、大気汚染のパターンが北西型・南西型の2つあること、裁判での論点である関連共同性がどのような条件のもとに認められたかを説明してくれました。話の途中で参加者から、今も福の方が合鉄が不当なことをしたことを忘れないと述べていたことを報告してくれました。それを聞いて、西淀川公害は本当に真剣勝負だったことを強く感じました。

それから、風向きの表現で南西とすべきところが、南東と表現されていることについて、書き間違えではないかとのするどい突っ込みもありました。上空写真から照合して、確かに南西の風でなければ福の人が合鉄の排気ガスなどから被害を受けることがないことを確認しました。(私のミスでしたByミナコ)

今日は以上で報告を終わらせていただきます。

 

2025.3.17小田康徳

 

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

【ご寄附のお願い】「西淀川公害がわかる資料集」のための寄附を募集しています。どうぞみなさまの寄附でこの活動を支えていただきますようお願いいたします。
■寄附の方法はこちら https://www.aozora.or.jp/ecomuse/contibution_doner

※資料集のウェブ版作成には、(独法)環境再生保全機構地球環境基金助成金を活用しています。

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エコミューズ館長日記No.19

今日は、3つの話をしておきたい。1つは、もくじを整理したこと。2番目は、今後の課題として3・18集会についての関連資料が見つかったこと。3つ目は、ウェブ版の見本を点検させてもらったことである。

まず1から。もくじ案が資料調査のガイドラインとして今まで大いに役立ってきた。章ごとの趣旨、章の中の分類など、調査の進展とともにしばしば移動することがあった。その移動の発生が、資料調査が進み、資料の語るものがより具体的な性格を見せるようになったときに、“この資料群はここではなくて、別の個所に配置した方が適切である”という認識の形成である。実例を一つ。例えば西淀川公害追放委員会の扱い。これは明確な位置づけが出来ていないものであるが、それができた1970年の頃には緑地化推進委員会・西淀川から公害をなくす市民の会・大阪から公害をなくす会などの組織が作られており、それぞれ独自の主張をしながら、共存していた。それらをどのように位置づけるか資料を読むたびに頭を悩ませてきた。とりあえずは第3章1と2に配列することにしたのであるが、このように収まるためには二転三転したことを思い出す。さらにもくじを整理した結果、最終選択に残した資料が244点。そのうち、最終掲載候補が140点余という数字も見えてきた。ページ数は未確定であるが、300ページ前後になることもわかってきた。資料本文だけで300ページというのは、ハンディな資料集という編集の趣旨からいって、ちょっと大きすぎる感が免れない。全体を眺めて更に何点かの割愛をしなければならないことを思う。

このあと2点については、文字数もないので次回を待ちたい。


↑館長日記を作成中の小田館長(手前)とミナコさん(奥)

2025.3.6小田康徳

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

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エコミューズ館長日記No.18

長い寒波がようやくおさまり始めるが、作業する部屋はやっぱり寒波が襲来のままだ。ストーブを付け、エアコンを付け、夕方になってやっと暖かくなってきた。

第5章の編集を考えなおした。裁判の開始を迎えた大勢の原告たちに焦点をあてて、その動きがわかる資料を中心に置くことにした。幸い今までに調査していた資料がすべて利用できる。ただ、「証拠保全事件」に関する資料については大いに悩まされた。原因は原資料の所在を確認するのに手間取ったからである。原資料を見れば事情はすぐにわかった。原告側のうち3人の症状の重いことを強調し、生きているうちに尋問を終わらせたいというので、裁判所に強く語りかけたもの。被告側から厳しい反駁の文章も綴られている。大変な努力を原告側はしたのだと改めて思った。

続いてウェブ版について、見本組が業者さんから提出されたので検討した。ミナコさんが画面に映して、2人でああだこうだとその形状について議論を重ねて対応を考えた。個別資料の表題をどうするか、資料の名称だけでは中身が十分に伝わらないことも明らかになった。中身が明瞭でない資料名だけだと、内容がわかりにくい。これをよく考えるべきかと思った。次にウェブ版を作った事情・その特質等を十数行で説明する文章を作った。元は40行ほどあったものであろう(ほんまかいな)。ウェブ版は検索がきくので、実に重宝であることも発見する。形が整うのが楽しみだ。

清水万由子先生(龍谷大学政策学部教授)から『「公害地域再生」とは何か―大阪・西淀川「あおぞら財団」の軌跡と未来』(藤原書店)を財団理事長の手紙をつけて頂いた。A5版290ページ、初めての単著である。あおぞら財団を素材にした研究。ちょうど今編集している西淀川公害資料集の対象とする財団成立期以降を論じたもの。2冊合わせて財団のすべてがわかるとおもった。今日はうちに帰ったら目を通すつもりだ。

ようやく部屋が暖まってきたころにここを出ることができるようになった。

2025.2.25 小田康徳

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【藤原書店のサイト】清水万由子 著 「公害地域再生」とは何か―大阪・西淀川「あおぞら財団」の軌跡と未来
https://www.fujiwara-shoten-store.jp/SHOP/9784865784503.html

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エコミューズ館長日記No.17

今日は朝から賑やかに意見を交わした日であった。午前中はエコミューズの定例会議、引き続いて資料の勉強会があった。

定例会議では、今作っている資料集の出版費に対する寄付について様々な意見が出た。印刷部数・値段等、それから寄付の意味といったところである。改めて、方向性を決めようということになった。近々お願いの文章が出てくることになると思いますが、その時はよろしくお願いします。

続いて、資料の勉強会が行われた。いつも元気なミナコさんが「関連共同性」に関して、資料からわかることを、資料を4点あげて論じてくれた。①は1975年6月発行の大阪弁護士会公害対策委員会編の「大気汚染-大阪西淀川における実態調査報告第一号」、②は1978年4月の「訴状」、③は1979年8月の弁護団資料「関連共同性について―西淀川公害訴訟に於ける主張を素材にして」、④は1986年8月弁護団資料の「関連共同性班 合宿資料」であった。

そもそも関連共同性論というのは、西淀川公害訴訟の根幹に据えられた議論と位置付けられてきたものであるが、この4つの資料の中身を丹念に読んだ結果、これは大変大きな困惑を弁護団の間で生み出していたものであることが改めて明るみに出されたように思った。長い年月に渡って悪戦苦闘してきた共同関連性論に関する記録を並べてみたときに、その実情が眼前に浮かんでくるようであった。わずかな日数でそのことを語ってくれたミナコさんのまとめに関心した次第。

午後はこれまでの作業の進捗状況について確認を行った。1は作業資料について、資料の表題と資料名を小分けしながら整理をした。1章から4章まで終わらせた。またその時、資料の配置すべき場所について訂正すべきものを訂正した。所々で不思議な文章に遭遇して、原本との照合とを求められるものもあった。

さてこのようにして第4章までは本日をもってほぼ終了まで来たことが確認できた。残るところは第5章「裁判の展開」、第6章「判決と和解-公害地域の再生」である。そのうち第5章の翻刻すべき資料についても定めることができた。ようやく最終地点が近づいてきた感がする。もうひと踏ん張りだといつものように思う。

なお、資料の勉強会には龍谷大学の清水先生もお見えになった。清水先生には、今度の資料集には第5章で原告側となった患者さんとの暮らしぶりへの考え方が端的に示される資料も掲載されることになったことを語っておいた。公害反対闘争を支えた人たちの姿が少しでも見えてくればとの思いが強まった。

 

2025.2.17 小田康徳

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エコミューズ館長日記No.16

先週はずっと寒かった。大阪でも雪が降ったのかな…?

大阪市内でも雪が降ったと聞く。

第4章(都市型公害の深刻さを知り、裁判の意義と課題・可能性を知る)に取り掛かって、翻刻作業の成果をもとに本の形に原稿を整える作業に着手した。いつものように1から始めた。(当ったり前だろうが)

作業は順調にスラスラと、もっと言うならひょいひょいと進むと思った。だが思ったこととできたこととは違った。

1番最初に載せる資料、「峯田弁護士が1974年1月の西淀川の汚染実態調査に参加して被害の厳しさと取り組むべきことを主張する」は、文章だけだったのでほとんど手間がかからず、本の形が出来上がってきた。文章をこれは立派だと読んで、弁護士さんが裁判着手を躊躇っていたところが、被害者の苦しみが具体的に知られていなかったことにあったのだと気づいた。ぜん息の苦しさは、昼間あった時にはなかなかわからないもので、そのことを峯田氏は情熱をこめて訴えている。

それから、SO²濃度、NO²濃度が環境基準を大きく上回っているなかで、その基準に対する攻撃が強化される。結局それが経済との調和論であることの認識が弁護士さんたちの間で共有されていった。そのような地域に於いて「公害差止についての追及と合意が足りない」といった声も出されるようになった。またそれは、都市の在り方を問うことになる、との意見も出されている。

ということで順調に作業が進むかと思ったが、主要汚染源の排出量を推定する数字の羅列に遭遇してから、横書きの報告書を縦書きに変えることが大変厄介であることに悩まされることになる。なんだ横書きから縦書きにするだけかと思っている人は、ぜひ一度チャレンジしてみてください。

そして大阪弁護士会公害対策委員会が「大気汚染-大阪西淀川における実態調査報告第一号」を発行したのであるが、その翻刻に取り組んだ。この報告書は目配りのよく行き届いた文章で、その後論じられる点がほぼ満遍なく提起されていた。全部で170ページを超すもので、これで裁判に向けての方向性も定まったと言っていい。資料集の中に取り込むべきテーマを落とさず書き込むことに苦心しなければならなかった。

というような訳で、今週は内容的には充実した成果であったが、作業の進路はあまりはかばかしくはなかった。来週からはそれをどうすれば挽回できるか大きな課題だ。

 

2025.2.10 小田康徳

 

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Filed under: イベント報告・ホームページ更新,エコミューズ館長日記,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2025年2月16日10:44 AM
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