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エコツーリズム体験ツアー視察:被災地訪問記「1日目遠野山・里・暮らしネットワーク編」

5月10日(木)

5月9日夜に西淀川を出発し、10日のお昼に岩手県遠野市に到着しました。天気は雨で、肌寒く、桜もまだ散りきっていない様子でした。

昼食で訪れた「道の駅遠野 風の丘」は地元や観光客で賑わっていました。そこから観光が復活してきているような印象を受けます。お昼に食べたそばは、地域のお母さん方がやっているおそば屋さんのもので、すごい繁盛していました。

お腹も満足したところで、遠野山・里・暮らしネットワークの事務所を訪れました。ここはあおぞら財団が震災直後に被災地を訪れ、ヒアリングをした際に「人を運ぶための車が必要」ということで車を寄贈した団体です。

菊池さん(左から2番目)と田村さん(1番左)から、1年経った被災地の状況についてお話を聞きました。

震災直後は沿岸部が壊滅的な被害を受け、沿岸の交通網も寸断されていたため、沿岸部から離れた遠野に多くのボランティアが訪れました。1年が経ち、沿岸部の交通網の整備や各ボランティア団体の拠点ができたこともあり、直接ボランティアに訪れる人も増えたということでした。

遠野山・里・暮らしネットワークでは現在、①仮設住宅に住む人のニーズの把握と物資支援、②仮設住宅に住む人に温泉に行ってもらい心身ともにリフレッシュしてもらう「ほっとひといき事業」③震災で仕事を失った人たちへの雇用を生み出す支援を行っています。

あおぞら財団の寄贈したBDFで走るあおぞら号は②のほっとひといき事業で仮設住宅に住む人たちの移動手段として活躍しています。

実際にあおぞら号にBDFを給油するところも見ました!

遠野をあとにして、沿岸部へ車を走らせると、いきなり津波の爪痕が見られました。津波がきていないところは本当に平穏で、津波が暮らしをまるごと飲み込んでいったことを直に見て感じました。

ツアーの宿泊先でもある宝来館にこの日は泊まりました。震災で2階部分まで被害を受けたとは思えません。しかし宿泊した2階の部屋も被害を受けたのだと思いを巡らせたら、背筋が凍りました。

海の幸の多い宝来館の夕食は、とてもおいしかったです!

2日目につづく!

被災地エコツーリズム体験ツアー参加者募集中です!詳しくはこちら

記:相澤

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,未分類,東日本大震災支援,環境フロンティア講座 — aozorafoundation 公開日 2012年5月15日4:48 PM

りべら2011年10月号 全ページカラーです♪

あおぞら財団15周年を記念して機関紙りべらをリニューアルしました。

りべら201110

ぜひ感想をお寄せ下さい。
配架協力してくれるところがあればお申し出ください。
そして会員になって下さるとうれしいです。

どうぞよろしくお願いいたします!(林)

_________________________________________

リベラはあおぞら財団の機関紙です。 A4版、12ページ、隔月1日発行、1部400円送料込

ご購読希望者はこちら(webmaster@aozora.or.jp)まで

2011年10月号 No.122 特集 地域交流スペース「あおぞらイコバ」貸出中・・・

あおそらイコバ利用者の声
第4期環境フロンティア講座:東日本大震災 原発事故とこれからのエネルギー問題
ぶらりとゆるりと西淀川めぐり-サンリバー柏里(柏里本通商店街)- イラスト:とりやまひろこ
西淀川記憶あつめ隊 和田美頭子さん
岩手県遠野からの便り 田村隆雅さん
カマタ商店の”大人の何でも相談室” カマタヤスヒコさん
忙中一筆 見島 英之さん
あおぞら財団のこれから 新理事紹介
あおぞら財団15周年間の道のり
あおぞら広場

:kuwasiku:

第4期環境フロンティア講座第4回を開催しました(7/29)

7月1日からスタートした第4期環境フロンティア講座ですが、7月29日に第4回「実践例に学ぶ、再生可能エネルギーの普及」を和田武氏(自然エネルギー市民の会代表、元立命館大学教授)を講師としてお迎えし開催しました。(参加者26名)
再生可能エネルギーに関する海外の状況や日本での取組の紹介を交えながらお話していただきました。
講義の内容
◆再生可能エネルギーの特徴
・再生可能エネルギー、省エネルギーの施設、設備は小型のものが多く、市民や地域主導で取り組みやすく、市民、地域主導の方が反対運動が起きにくいので普及しやすい。そして人間関係の分断のような自体を起こしにくい。
・再生可能エネルギーの普及は、より民主的で環境保全を可能にする持続可能な社会へと導く。
◆再生可能エネルギー普及の現状
・世界における再生可能エネルギー比率は12.4%で、日本は3.2%である。
・近年の再生可能エネルギーの伸び率は非常に大きい。
・日本における再生可能エネルギー発電量では、ダムを利用した水力発電がずっと大きな割合を占めているが、ドイツ、デンマークでは風力発電の割合が大きく伸びている。
・RPS法(目標達成義務化制度)によって再生可能エネルギーの普及について電力会社に毎年度の全発電量における再生可能エネルギーによる発電量の割合の目標達成を義務づけている国が多い。
・カルフォルニア州は20%、中国、インド、イギリスなどでは10%が目標として与えられているが、日本は2%にも満たない。この目標は低すぎる。
◆再生可能エネルギー普及のための制度 「固定価格買取制度」
・発電設備所有者の総経費が売電収入で保障される制度で、買い取りのための財源は電気代を少し上げて社会全体で賄う仕組み。
・誰も損しないようにできている。
・法的に損失がでないようにすることで、設備投資に金融機関がお金を貸せる。
◆ドイツの再生可能エネルギー普及
・(ドイツの事例より)市民が共同で発電施設などを運営することで、雇用が生まれたり、若い人が入ってくるきっかけになっている。
・制度の整備をすることで、再生可能エネルギーの普及が大きく進んでおり、2030年には全体の45%を再生可能エネルギーにする計画を持っている。
・ドイツは熱エネルギーの利用についても力を入れており、地熱、太陽熱、バイオ廃棄物、バイオマスなどの普及に取り組んでいる。熱利用において日本はドイツの10分の1以下である。(日本は公表していない)
・ドイツでは再生可能エネルギーはポピュラーなものであり、原子力発電のオルタナティブとして進められている。
・再生可能エネルギーに関する大学院も多くある。
◆日本における事例
・日本でも市民共同発電所の取組は進んでおり、全国で71団体が市民共同発電所を設置している。
・行政も協働の関係を作って再生可能エネルギーの普及に努めるべきである。
・熱エネルギーの有効活用として、ゴミの焼却施設にはすべて発電施設を設けるべきである。
・再生可能エネルギー普及の社会的影響として、環境や資源の保全だけでなく、地域力の強化や教育効果、国際的に見れば資源紛争の緩和なども挙げられる。
◆Think of the future, act now
・原発を使うことは、その処理を将来世代に任せることを前提にしか成り立たない。今将来世代のことも考えて判断、行動することこそが、私たちに求められいることではないか。
《参加者からの質問》
・再生可能エネルギーは無限の可能性があるように言われているが、普及でかかるコスト面等を鑑みた時に、果たして本当にいいものなのか。
・フランスは今なお原発推進の立場をとっているようだが、実際のところどのような状況なのか。
・再生可能エネルギー普及のためには固定買取制度が不可欠だと思うが、その財源はどのように確保しているのか。
などの質問が出ました。
《参加者の感想》(一部)
・日本と海外の違い。民主主義の成熟度の違いとおっしゃっていたのがとても印象深かったです。
・社会を変えるには政治との関わりが重要ですが、選挙でも投票率が3、4割しかないことの原因を考えなければならないと思います。
・日本の国のあり方、日本人のものの考え方への疑問がますます大きくなりました。7月初め、長野県飯田市に行ってきましたが、日本の共同発電所の取組が広がりつつあることを知って嬉しく思いました。私たちももっと何か取り組みたい。
最後に第4期環境フロンティア講座で全回受講された方に、村松塾長から修了証が渡されました。
みなさんご参加ありがとうございました&お疲れさまでした。
次回第5期については、また改めてご案内させていただきます。
どうぞよろしくお願いします。
記:相澤

7月1日からスタートした第4期環境フロンティア講座ですが、7月29日に第4回「実践事例から学ぶ、再生可能エネルギーの普及」を和田武氏(自然エネルギー市民の会代表、元立命館大学教授)を講師としてお迎えし開催しました。(参加者26名)

再生可能エネルギーに関する海外の状況や日本での取組の紹介を交えながらお話していただきました。

講義の内容

◆再生可能エネルギーの特徴

・再生可能エネルギー、省エネルギーの施設、設備は小型のものが多く、市民や地域主導で取り組みやすく、市民、地域主導の方が反対運動が起きにくいので普及しやすい。そして人間関係の分断のような自体を起こしにくい。

・再生可能エネルギーの普及は、より民主的で環境保全を可能にする持続可能な社会へと導く。

◆再生可能エネルギー普及の現状

・世界における再生可能エネルギー比率は12.4%で、日本は3.2%である。

・近年の再生可能エネルギーの伸び率は非常に大きい。

・日本における再生可能エネルギー発電量では、ダムを利用した水力発電がずっと大きな割合を占めているが、ドイツ、デンマークでは風力発電の割合が大きく伸びている。

・RPS法(目標達成義務化制度)によって再生可能エネルギーの普及について電力会社に毎年度の全発電量における再生可能エネルギーによる発電量の割合の目標達成を義務づけている国が多い。

・カルフォルニア州は20%、中国、インド、イギリスなどでは10%が目標として与えられているが、日本は2%にも満たない。この目標は低すぎる。

◆再生可能エネルギー普及のための制度 「固定価格買取制度」

・発電設備所有者の総経費が売電収入で保障される制度で、買い取りのための財源は電気代を少し上げて社会全体で賄う仕組み。

・誰も損しないようにできている。

・法的に損失がでないようにすることで、設備投資に金融機関がお金を貸せる。

◆ドイツの再生可能エネルギー普及

・(ドイツの事例より)市民が共同で発電施設などを運営することで、雇用が生まれたり、若い人が入ってくるきっかけになっている。

・制度の整備をすることで、再生可能エネルギーの普及が大きく進んでおり、2030年には全体の45%を再生可能エネルギーにする計画を持っている。

・ドイツは熱エネルギーの利用についても力を入れており、地熱、太陽熱、バイオ廃棄物、バイオマスなどの普及に取り組んでいる。熱利用において日本はドイツの10分の1以下である。(日本は公表していない)

・ドイツでは再生可能エネルギーはポピュラーなものであり、原子力発電のオルタナティブとして進められている。

・再生可能エネルギーに関する大学院も多くある。

◆日本における事例

・日本でも市民共同発電所の取組は進んでおり、全国で71団体が市民共同発電所を設置している。

・行政も協働の関係を作って再生可能エネルギーの普及に努めるべきである。

・熱エネルギーの有効活用として、ゴミの焼却施設にはすべて発電施設を設けるべきである。

・再生可能エネルギー普及の社会的影響として、環境や資源の保全だけでなく、地域力の強化や教育効果、国際的に見れば資源紛争の緩和なども挙げられる。

◆Think of the future, act now

・原発を使うことは、その処理を将来世代に任せることを前提にしか成り立たない。今将来世代のことも考えて判断、行動することこそが、私たちに求められいることではないか。

※今回配布した資料について、文字化けが多く、ご参加いただいた方には大変ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。当日の資料を付けますので、ご確認ください。

環境フロンティア講座第4回資料→kankyo-frontier.4th (pdf)
※インターネットのブラウザは《Google Chrome》を推奨します。
※《Internet Explorer》の方はダウンロードをお試しください。

《参加者からの質問》

・再生可能エネルギーは無限の可能性があるように言われているが、普及でかかるコスト面等を鑑みた時に、果たして本当にいいものなのか。

・フランスは今なお原発推進の立場をとっているようだが、実際のところどのような状況なのか。

・再生可能エネルギー普及のためには固定買取制度が不可欠だと思うが、その財源はどのように確保しているのか。
などの質問が出ました。

《参加者の感想》(一部)

・日本と海外の違い。民主主義の成熟度の違いとおっしゃっていたのがとても印象深かったです。

・社会を変えるには政治との関わりが重要ですが、選挙でも投票率が3、4割しかないことの原因を考えなければならないと思います。

・日本の国のあり方、日本人のものの考え方への疑問がますます大きくなりました。7月初め、長野県飯田市に行ってきましたが、日本の共同発電所の取組が広がりつつあることを知って嬉しく思いました。私たちももっと何か取り組みたい。

最後に第4期環境フロンティア講座で全回受講された方に、村松塾長から修了証が渡されました。

IMG_6249

みなさんご参加ありがとうございました&お疲れさまでした。

次回第5期については、また改めてご案内させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

*第4期環境フロンティア講座について→ https://aozora.or.jp/archives/category/frontier

記:相澤

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境フロンティア講座 — aozorafoundation 公開日 2011年8月1日11:29 AM

第4期環境フロンティア講座第3回を開催しました(7/22)

7月1日からスタートした第4期環境フロンティア講座ですが、7月22日に第3回「エネルギー政策はこれからどうなるのか、その選択肢は?」を大島堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)を講師としてお迎えし開催しました。(参加者31名)
講座の内容
◆福島原発事故が投げかけているもの
・原発は1回の事故によって、その地域一帯に放射性汚染をもたらし、甚大な被害を与えるものであり、今回の福島原発事故は世界最大規模の被害をもたらしている。このような原発に頼らないエネルギー政策を進めるべきである。
◆原発政策の「神話」による推進
・原発による深刻な事故は日本では決して起きないという安全神話や、原子力は優れたエネルギーであるという神話によって、これまで原発は推進されてきた。
・実際は「原子炉の安全性」にのみ着目し、立地などについて考慮すべきところが欠如している安全神話である。ウラン燃料も他の枯渇性資源と同じ様に消費されれば数十年で枯渇してしまうので、使用済核燃料再処理の技術開発を進めないとうまく運用できないものであり、優れたエネルギーであるという神話も、もはや神話ではない。
◆原子力発電のコストについて
・原子力発電は低いコストで発電できる利点が推進の理由として挙げられているが、実際には常に冷却が必要であり、その冷却のための揚水コストを加えると火力発電よりもコストが大きくなる。
・国の財政の一般会計の中で「エネルギー対策費」として計上されているもののほとんどが、使用済核燃料再処理技術や原発建設などのために費やされている。
・私たちが普段徴収されている電気代の中に、原発開発のための項目もある。
・東京電力の、今回の事故の処理に必要な費用はこれまで原発によって得られた事業報酬を超える可能性があり、東京電力にとって割の合わない電源であったと言えそうである。
◆エネルギー政策の課題
・老朽化、危険な立地などの条件を抱える原発の廃棄が急がれる。
・これまでは原発推進当局と、その規制当局が同じ側にある体制で進められてきたが、これらの完全分離が必要。
・送電網を全国で一体的に管理できるような体制にし、各電力会社が電力を融通できる様にすることで、原発に頼らない電力供給を可能にするべき。
◆再生可能エネルギーへの移行
・再生可能エネルギーは無尽蔵かつ膨大な資源量を元に生み出されるものである。
・ドイツでは、再生可能エネルギーへの移行を再生可能エネルギー法(2000年成立、2009年に最新の改正)を軸に政策として取り組んできた。日本でも政策として本気で取り組めば、15年くらいで原発から再生可能エネルギーへの移行ができるのではないか。
◆世界の現状
・現在世界では風力発電が爆発的に拡大している。風力発電施設の累積設置数で先頭を行くのが中国(23%)である。日本は上位10位に入っていない(1%)
・この10年で風力発電の発電量は12倍(約197000MW)にまでなっている。
・EUでは再生可能エネルギー普及の際に、最初は電力会社の反対もあったが、政策として進めていくと、電力会社が積極的に再生可能エネルギーの発電に参入してくるようになった。
◆今求められているもの
日本はこれまでどおり原子力発電の推進をするのか、それとも新しい再生可能エネルギーの道を拓くのか。市民の責任ある関与が求められている。
《参加者からの質問》
・なぜ経済的にもいいものではないとわかっていながら、国は原子力発電を進めたのか。
・日本で原子力導入にあたってアメリカの反対などもあったという指摘があるが、原発をやめていくにあたってアメリカの圧力等について何か関係するものがあるのか。
などの質問が出ました。
《参加者の感想》(一部)
・今後はそれぞれ市民の責任ある関与が必要との言葉に自分自身を新たな方向をさがしたい。
・今まで見えなかった原子力政策の裏側を少し見た様な気がしました。本当に知らなかった事ばかりでおどろいています。ありがとうございました。

7月1日からスタートした第4期環境フロンティア講座ですが、7月22日に第3回「エネルギー政策はこれからどうなるのか、その選択肢は?」を大島堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)を講師としてお迎えし開催しました。(参加者31名)

原子力発電のコストの実態や、再生可能エネルギーの可能性などについて、経済的なデータや知見に基づいたお話をしていただきました。

講座の内容

◆福島原発事故が投げかけているもの

・原発は1回の事故によって、その地域一帯に放射性汚染をもたらし、甚大な被害を与えるものであり、今回の福島原発事故は世界最大規模の被害をもたらしている。このような原発に頼らないエネルギー政策を進めるべきである。

◆原発政策の「神話」による推進

・原発による深刻な事故は日本では決して起きないという安全神話や、原子力は優れたエネルギーであるという神話によって、これまで原発は推進されてきた。

・実際は「原子炉の安全性」にのみ着目し、立地などについて考慮すべきところが欠如している安全神話である。ウラン燃料も他の枯渇性資源と同じ様に消費されれば数十年で枯渇してしまうので、使用済核燃料再処理の技術開発を進めないとうまく運用できないものであり、優れたエネルギーであるという神話も、もはや神話ではない。

◆原子力発電のコストについて

・原子力発電は低いコストで発電できる利点が推進の理由として挙げられているが、実際には常に冷却が必要であり、その冷却のための揚水コストを加えると火力発電よりもコストが大きくなる。

・国の財政の一般会計の中で「エネルギー対策費」として計上されているもののほとんどが、使用済核燃料再処理技術や原発建設などのために費やされている。

・私たちが普段徴収されている電気代の中に、原発開発のための項目もある。

・東京電力の、今回の事故の処理に必要な費用はこれまで原発によって得られた事業報酬を超える可能性があり、東京電力にとって割の合わない電源であったと言えそうである。

◆エネルギー政策の課題

・老朽化、危険な立地などの条件を抱える原発の廃棄が急がれる。

・これまでは原発推進当局と、その規制当局が同じ側にある体制で進められてきたが、これらの完全分離が必要。

・送電網を全国で一体的に管理できるような体制にし、各電力会社が電力を融通できる様にすることで、原発に頼らない電力供給を可能にするべき。

◆再生可能エネルギーへの移行

・再生可能エネルギーは無尽蔵かつ膨大な資源量を元に生み出されるものである。

・ドイツでは、再生可能エネルギーへの移行を再生可能エネルギー法(2000年成立、2009年に最新の改正)を軸に政策として取り組んできた。日本でも政策として本気で取り組めば、15年くらいで原発から再生可能エネルギーへの移行ができるのではないか。

◆世界の現状

・現在世界では風力発電が爆発的に拡大している。風力発電施設の累積設置数で先頭を行くのが中国(23%)である。日本は上位10位に入っていない(1%)

・この10年で風力発電の発電量は12倍(約197000MW)にまでなっている。

・EUでは再生可能エネルギー普及の際に、最初は電力会社の反対もあったが、政策として進めていくと、電力会社が積極的に再生可能エネルギーの発電に参入してくるようになった。

◆今求められているもの

・日本はこれまでどおり原子力発電の推進をするのか、それとも新しい再生可能エネルギーの道を拓くのか。市民の責任ある関与が求められている。

《参加者からの質問》

・なぜ経済的にもいいものではないとわかっていながら、国は原子力発電を進めたのか。
・日本で原子力導入にあたってアメリカの反対などもあったという指摘があるが、原発をやめていくにあたってアメリカの圧力等について何か関係するものがあるのか。

などの質問が出ました。

《参加者の感想》(一部)
・今後はそれぞれ市民の責任ある関与が必要との言葉に自分自身を新たな方向をさがしたい。
・今まで見えなかった原子力政策の裏側を少し見た様な気がしました。本当に知らなかった事ばかりでおどろいています。ありがとうございました。

記:相澤

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境フロンティア講座 — aozorafoundation 公開日 11:18 AM

第4期環境フロンティア講座第2回を開催しました

7月1日からスタートした第4期環境フロンティア講座ですが、7月15日に第2回「原発事故からみた技術利用の安全問題」を西川榮一氏を講師としてお迎えし開催しました。(参加者34名)
「自分で道具を作りそれで何かを手に入れたり、または危険な作業を安全に行うことができるということが人間の秀でたところであるというところからスタートし、最初に写真を見ながら福島原発事故の解説をしていただきました。
◆地震の多い日本に原発を建てるということ
・発達してきた技術にとって地震、それに伴う津波は非常に警戒すべきハザードであり、日本でもその点についてはさまざまな場所で指摘されている。
・1900年以降死者1000人以上の地震が多い国上位10カ国の中で、原発保有数について日本は群を抜いている。
・過去100年に日本列島で起こった地震の中で、犠牲者1000人規模以上の地震は10回以上にものぼり、しかも1948年から1995年の間はそれだけの規模の地震は起こっていない空白期であった。この空白期の間に日本の原発は増えていった。
・空白期を終え、阪神淡路大震災、東日本大震災と震災が短期間に起こっていることから、これから先日本にあるすべての原発が地震のリスクにさらされていると言っていいのではないか。
◆原発が推し進められた背景と問題点
・国と東電が一体になって、反対意見を封じ込め、第3者検査機関ゼロの原発推進体制を作った。
・これからは第3者が技術の安全について考える社会の仕組みが原発分野にとどまらず必要である。
・国は教育でも原発は必要だという教え方をし、安全神話を作り上げてきた。
・原子力発電の技術はすべて輸入したものであり、自主的な技術開発がなされないままに原発ができていった。そのためいざという時に十分に対応できない体制になってしまった。
◆福井県にある原発と大阪の関係
・現在、地震のみならず気候変動に伴う災害リスクが増大している。
・福井県にある原発は、大阪の水瓶である琵琶湖と非常に距離が近い。また原発の周辺ではいくつもの活断層が見つかっており、活断層が原因で生じる直下型地震は予知できない。
◆原発の素顔
・原発は決して安全な技術ではなく、過酷な事故が起こったときには手に負えない事態に陥る可能性が高い。
・また廃炉にしてもその解体などに30~40年はかかる。福島原発も廃炉になった原子炉を解体するのには同じくらいの時間が必要。
・今ある残りの原発では2度と過酷事故を起こしてはならない。(手に負えない事態は確率生起的には評価できない)
◆技術の自然性、社会性
・技術とは自然の法則に基づいて生み出されている(自然性)
・また技術を使う人の存在を見逃してはならず、技術の使い方などを決める人間の意思が存在することを忘れてはならない(社会性)
・技術の安全問題については自然性だけでなく、社会性についての分析も必要である。
◆第3者が検査する体制の必要性
・日本では第3者検査について、先進国の中で最も遅れている。これは何十年も昔から指摘されている国家的課題である。
◆安全と環境保全の両課題に応えるエネルギー体系
・再生可能エネルギー使用の重要点は、人が何もしなくても熱に変化すること、つまり人為的エネルギーフローを持ち込まないという点である。
・省エネルギーは不断に目指される目標である。
という内容でお話いただきました。
《参加者からの質問》
・フランスでは原子炉を冷やす仕組みが水冷ではなく、空冷のものがあるようだが、日本では使えないか。
・再生可能エネルギー導入のために必要な仕組みやハード面について、どのようなものを考えているか。
などの質問が出ました。
《参加者の感想》(一部)
・技術利用の安全問題の解説はよく理解できた。1番の問題はヒューマンテクノシステムを監視する第3者検査原則が今の社会で弱い=経済優先社会であり、これが問題である。
・独立した第3者検査原則の重要性を再認識させられた。是非現状の保安院をつぶし、新しい検査機関の設立を要求したい。
◆第3回のご案内
第3回は7月22日(金)19:00~21:00に開講します。「エネルギー政策はこれからどうなるのか、その選択肢は」をテーマに大島堅一氏氏(立命館大学国際関係学部教授)を迎え、福島原発事故を受け、日本及び関西におけるこれからのエネルギー政策の展望について伺います。(会場:ドーンセンター)
第3回からの受講も可能ですので、是非ご参加ください。
第4期の案内・お申し込みはこちら→ https://aozora.or.jp/archives/4274
記:相澤

7月1日からスタートした第4期環境フロンティア講座ですが、7月15日に第2回「原発事故からみた技術利用の安全問題」を西川榮一氏(神戸商船大学名誉教授)を講師としてお迎えし開催しました。(参加者34名)

「自分で道具を作り、それで何かを手に入れたり、または危険な作業を安全に行うことができるということが人間の秀でたところであるというところからスタートし、最初に写真を見ながら福島原発事故の解説をしていただきました。

◆地震の多い日本に原発を建てるということ

・発達してきた技術にとって地震、それに伴う津波は非常に警戒すべきハザードであり、日本でもその点についてはさまざまな場所で指摘されている。

・1900年以降死者1000人以上の地震が多い国上位10カ国の中で、原発保有数について日本は群を抜いている。

・過去100年に日本列島で起こった地震の中で、犠牲者1000人規模以上の地震は10回以上にものぼり、しかも1948年から1995年の間はそれだけの規模の地震は起こっていない空白期であった。この空白期の間に日本の原発は増えていった。

・空白期を終え、阪神淡路大震災、東日本大震災と震災が短期間に起こっていることから、これから先日本にあるすべての原発が地震のリスクにさらされていると言っていいのではないか。

◆原発が推し進められた背景と問題点

・国と東電が一体になって、反対意見を封じ込め、第3者検査機関ゼロの原発推進体制を作った。

・これからは第3者が技術の安全について考える社会の仕組みが原発分野にとどまらず必要である。

・国は教育でも原発は必要だという教え方をし、安全神話を作り上げてきた。

・原子力発電の技術はすべて輸入したものであり、自主的な技術開発がなされないままに原発ができていった。そのためいざという時に十分に対応できない体制になってしまった。

◆福井県にある原発と大阪の関係

・現在、地震のみならず気候変動に伴う災害リスクが増大している。

・福井県にある原発は、大阪の水瓶である琵琶湖と非常に距離が近い。また原発の周辺ではいくつもの活断層が見つかっており、活断層が原因で生じる直下型地震は予知できない。

◆原発の素顔

・原発は決して安全な技術ではなく、過酷な事故が起こったときには手に負えない事態に陥る可能性が高い。

・また廃炉にしてもその解体などに30~40年はかかる。福島原発も廃炉になった原子炉を解体するのには同じくらいの時間が必要。

・今ある残りの原発では2度と過酷事故を起こしてはならない。(手に負えない事態は確率生起的には評価できない)

◆技術の自然性、社会性

・技術とは自然の法則に基づいて生み出されている(自然性)

・また技術を使う人の存在を見逃してはならず、技術の使い方などを決める人間の意思が存在することを忘れてはならない(社会性)

・技術の安全問題については自然性だけでなく、社会性についての分析も必要である。

◆第3者が検査する体制の必要性

・日本では第3者検査について、先進国の中で最も遅れている。これは何十年も昔から指摘されている国家的課題である。

◆安全と環境保全の両課題に応えるエネルギー体系

・再生可能エネルギー使用の重要点は、人が何もしなくても熱に変化すること、つまり人為的エネルギーフローを持ち込まないという点である。

・省エネルギーは不断に目指される目標である。

という内容でお話いただきました。

P1120484

《参加者からの質問》

・フランスでは原子炉を冷やす仕組みが水冷ではなく、空冷のものがあるようだが、日本では使えないか。

・再生可能エネルギー導入のために必要な仕組みやハード面について、どのようなものを考えているか。

などの質問が出ました。

《参加者の感想》(一部)

・技術利用の安全問題の解説はよく理解できた。1番の問題はヒューマンテクノシステムを監視する第3者検査原則が今の社会で弱い=経済優先社会であり、これが問題である。

・独立した第3者検査原則の重要性を再認識させられた。是非現状の保安院をつぶし、新しい検査機関の設立を要求したい。

第3回のご案内

第3回は7月22日(金)19:00~21:00に開講します。「エネルギー政策はこれからどうなるのか、その選択肢は」をテーマに大島堅一氏氏(立命館大学国際関係学部教授)を迎え、福島原発事故を受け、日本及び関西におけるこれからのエネルギー政策の展望について伺います。(会場:ドーンセンター)

第3回からの受講も可能ですので、是非ご参加ください。

第4期の案内・お申し込みはこちら→ https://aozora.or.jp/archives/4274

記:相澤

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境フロンティア講座 — aozorafoundation 公開日 2011年7月19日7:12 PM
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