7月1日からスタートした第4期環境フロンティア講座ですが、7月29日に第4回「実践例に学ぶ、再生可能エネルギーの普及」を和田武氏(自然エネルギー市民の会代表、元立命館大学教授)を講師としてお迎えし開催しました。(参加者26名)
再生可能エネルギーに関する海外の状況や日本での取組の紹介を交えながらお話していただきました。
講義の内容
◆再生可能エネルギーの特徴
・再生可能エネルギー、省エネルギーの施設、設備は小型のものが多く、市民や地域主導で取り組みやすく、市民、地域主導の方が反対運動が起きにくいので普及しやすい。そして人間関係の分断のような自体を起こしにくい。
・再生可能エネルギーの普及は、より民主的で環境保全を可能にする持続可能な社会へと導く。
◆再生可能エネルギー普及の現状
・世界における再生可能エネルギー比率は12.4%で、日本は3.2%である。
・近年の再生可能エネルギーの伸び率は非常に大きい。
・日本における再生可能エネルギー発電量では、ダムを利用した水力発電がずっと大きな割合を占めているが、ドイツ、デンマークでは風力発電の割合が大きく伸びている。
・RPS法(目標達成義務化制度)によって再生可能エネルギーの普及について電力会社に毎年度の全発電量における再生可能エネルギーによる発電量の割合の目標達成を義務づけている国が多い。
・カルフォルニア州は20%、中国、インド、イギリスなどでは10%が目標として与えられているが、日本は2%にも満たない。この目標は低すぎる。
◆再生可能エネルギー普及のための制度 「固定価格買取制度」
・発電設備所有者の総経費が売電収入で保障される制度で、買い取りのための財源は電気代を少し上げて社会全体で賄う仕組み。
・誰も損しないようにできている。
・法的に損失がでないようにすることで、設備投資に金融機関がお金を貸せる。
◆ドイツの再生可能エネルギー普及
・(ドイツの事例より)市民が共同で発電施設などを運営することで、雇用が生まれたり、若い人が入ってくるきっかけになっている。
・制度の整備をすることで、再生可能エネルギーの普及が大きく進んでおり、2030年には全体の45%を再生可能エネルギーにする計画を持っている。
・ドイツは熱エネルギーの利用についても力を入れており、地熱、太陽熱、バイオ廃棄物、バイオマスなどの普及に取り組んでいる。熱利用において日本はドイツの10分の1以下である。(日本は公表していない)
・ドイツでは再生可能エネルギーはポピュラーなものであり、原子力発電のオルタナティブとして進められている。
・再生可能エネルギーに関する大学院も多くある。
◆日本における事例
・日本でも市民共同発電所の取組は進んでおり、全国で71団体が市民共同発電所を設置している。
・行政も協働の関係を作って再生可能エネルギーの普及に努めるべきである。
・熱エネルギーの有効活用として、ゴミの焼却施設にはすべて発電施設を設けるべきである。
・再生可能エネルギー普及の社会的影響として、環境や資源の保全だけでなく、地域力の強化や教育効果、国際的に見れば資源紛争の緩和なども挙げられる。
◆Think of the future, act now
・原発を使うことは、その処理を将来世代に任せることを前提にしか成り立たない。今将来世代のことも考えて判断、行動することこそが、私たちに求められいることではないか。
《参加者からの質問》
・再生可能エネルギーは無限の可能性があるように言われているが、普及でかかるコスト面等を鑑みた時に、果たして本当にいいものなのか。
・フランスは今なお原発推進の立場をとっているようだが、実際のところどのような状況なのか。
・再生可能エネルギー普及のためには固定買取制度が不可欠だと思うが、その財源はどのように確保しているのか。
などの質問が出ました。
《参加者の感想》(一部)
・日本と海外の違い。民主主義の成熟度の違いとおっしゃっていたのがとても印象深かったです。
・社会を変えるには政治との関わりが重要ですが、選挙でも投票率が3、4割しかないことの原因を考えなければならないと思います。
・日本の国のあり方、日本人のものの考え方への疑問がますます大きくなりました。7月初め、長野県飯田市に行ってきましたが、日本の共同発電所の取組が広がりつつあることを知って嬉しく思いました。私たちももっと何か取り組みたい。
最後に第4期環境フロンティア講座で全回受講された方に、村松塾長から修了証が渡されました。
みなさんご参加ありがとうございました&お疲れさまでした。
次回第5期については、また改めてご案内させていただきます。
どうぞよろしくお願いします。
記:相澤
7月1日からスタートした第4期環境フロンティア講座ですが、7月29日に第4回「実践事例から学ぶ、再生可能エネルギーの普及」を和田武氏(自然エネルギー市民の会代表、元立命館大学教授)を講師としてお迎えし開催しました。(参加者26名)
再生可能エネルギーに関する海外の状況や日本での取組の紹介を交えながらお話していただきました。
講義の内容
◆再生可能エネルギーの特徴
・再生可能エネルギー、省エネルギーの施設、設備は小型のものが多く、市民や地域主導で取り組みやすく、市民、地域主導の方が反対運動が起きにくいので普及しやすい。そして人間関係の分断のような自体を起こしにくい。
・再生可能エネルギーの普及は、より民主的で環境保全を可能にする持続可能な社会へと導く。
◆再生可能エネルギー普及の現状
・世界における再生可能エネルギー比率は12.4%で、日本は3.2%である。
・近年の再生可能エネルギーの伸び率は非常に大きい。
・日本における再生可能エネルギー発電量では、ダムを利用した水力発電がずっと大きな割合を占めているが、ドイツ、デンマークでは風力発電の割合が大きく伸びている。
・RPS法(目標達成義務化制度)によって再生可能エネルギーの普及について電力会社に毎年度の全発電量における再生可能エネルギーによる発電量の割合の目標達成を義務づけている国が多い。
・カルフォルニア州は20%、中国、インド、イギリスなどでは10%が目標として与えられているが、日本は2%にも満たない。この目標は低すぎる。
◆再生可能エネルギー普及のための制度 「固定価格買取制度」
・発電設備所有者の総経費が売電収入で保障される制度で、買い取りのための財源は電気代を少し上げて社会全体で賄う仕組み。
・誰も損しないようにできている。
・法的に損失がでないようにすることで、設備投資に金融機関がお金を貸せる。
◆ドイツの再生可能エネルギー普及
・(ドイツの事例より)市民が共同で発電施設などを運営することで、雇用が生まれたり、若い人が入ってくるきっかけになっている。
・制度の整備をすることで、再生可能エネルギーの普及が大きく進んでおり、2030年には全体の45%を再生可能エネルギーにする計画を持っている。
・ドイツは熱エネルギーの利用についても力を入れており、地熱、太陽熱、バイオ廃棄物、バイオマスなどの普及に取り組んでいる。熱利用において日本はドイツの10分の1以下である。(日本は公表していない)
・ドイツでは再生可能エネルギーはポピュラーなものであり、原子力発電のオルタナティブとして進められている。
・再生可能エネルギーに関する大学院も多くある。
◆日本における事例
・日本でも市民共同発電所の取組は進んでおり、全国で71団体が市民共同発電所を設置している。
・行政も協働の関係を作って再生可能エネルギーの普及に努めるべきである。
・熱エネルギーの有効活用として、ゴミの焼却施設にはすべて発電施設を設けるべきである。
・再生可能エネルギー普及の社会的影響として、環境や資源の保全だけでなく、地域力の強化や教育効果、国際的に見れば資源紛争の緩和なども挙げられる。
◆Think of the future, act now
・原発を使うことは、その処理を将来世代に任せることを前提にしか成り立たない。今将来世代のことも考えて判断、行動することこそが、私たちに求められいることではないか。
※今回配布した資料について、文字化けが多く、ご参加いただいた方には大変ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。当日の資料を付けますので、ご確認ください。
環境フロンティア講座第4回資料→kankyo-frontier.4th (pdf)
※インターネットのブラウザは《Google Chrome》を推奨します。
※《Internet Explorer》の方はダウンロードをお試しください。
《参加者からの質問》
・再生可能エネルギーは無限の可能性があるように言われているが、普及でかかるコスト面等を鑑みた時に、果たして本当にいいものなのか。
・フランスは今なお原発推進の立場をとっているようだが、実際のところどのような状況なのか。
・再生可能エネルギー普及のためには固定買取制度が不可欠だと思うが、その財源はどのように確保しているのか。
などの質問が出ました。
《参加者の感想》(一部)
・日本と海外の違い。民主主義の成熟度の違いとおっしゃっていたのがとても印象深かったです。
・社会を変えるには政治との関わりが重要ですが、選挙でも投票率が3、4割しかないことの原因を考えなければならないと思います。
・日本の国のあり方、日本人のものの考え方への疑問がますます大きくなりました。7月初め、長野県飯田市に行ってきましたが、日本の共同発電所の取組が広がりつつあることを知って嬉しく思いました。私たちももっと何か取り組みたい。
最後に第4期環境フロンティア講座で全回受講された方に、村松塾長から修了証が渡されました。
みなさんご参加ありがとうございました&お疲れさまでした。
次回第5期については、また改めてご案内させていただきます。どうぞよろしくお願いします。
*第4期環境フロンティア講座について→ https://aozora.or.jp/archives/category/frontier
記:相澤