2005年10月10日に、西淀川公害裁判企業和解とあおぞら財団設立10周年記念のつどいを、エルモ西淀川(西淀川区民会館)で開催しました。
当日は、地元西淀川や大阪、東京などから約250人が会場に集い、あらためて企業和解から10年の歩みを振り返り、今後の活動についての方向性を確認することができました。
記念講演の中で、豊田誠弁護士(全国公害弁護団連絡会議代表委員)は、「西淀川という地域に住んでいた」、それだけのことで、大気汚染により健康を害したこと、命を奪われた患者さんが苦しみを感じ、憤りを覚えているにもかかわらず、イタイイタイ病や水俣病、そして、現在のアスベスト問題においても、その過ちの教訓が生かされていない実情や、かつての公害被害激甚地域では、足尾での緑化活動など、地域再生に向けた取り組みが進んで来ているものの、未だに道半ばであることを、裁判経過や、運動の事例を通じて話されました。
特に、世界に例を見ない「日本の公害対策の転換点であり、公害に対する逃れられない企業の責任を明確化」させた公害健康被害補償法を制定させ、そして、企業和解に至ったのは、「単に個人の被害補償にとどまらず、地域環境の再生を願った患者の心からの叫び」であり、その成果が「公害で疲弊した地域の環境を再び再生する事業に対して拠出金を出させ、被害者の要求に直接応えた活動が行われるようになったこと」であると話されました。
アグネス・チャンさん(財団理事)の講演では、「空気は選べません、だから、空気を守ることは何よりも大事だと思うのです」というメッセージに始まり、日本ユニセフ協会大使として、ベトナム、カンボジア、ネパール、イラクで実際に目にされた、子どもの飢え、病気、貧困の体験を語り、そうした被害を受けている子どもを守りたいという意志を持った、良心を持った責任のある大人が、1人でも増えることを願っていると語りました。
最後に、美しいものを受け止める人間の心は無限で、「かわいい、助けてあげたい」と思うと、力が湧いて、その力が誰かの心に届くと、初めてその人の心の中に美しい花が咲くのだと「しあわせの花」という歌を歌って締めくくられました。
「長い間運動を続け、裁判を闘ってきて、私たちも年を取った。
車椅子を使わず、もう一度歩けるものなら歩きたい」、
「子や孫に青い空を手渡したい」との患者さんの声に応える
ため、これからも、様々な人と協力して活動を発展させていく
ことの重要性を認識しました。
「つどい」全体の詳細はリベラ11月号の特集で掲載する予定です。財団の活動や、新しく作成した環境学習ビデオなどの紹介も行います。ご期待下さい。
お忙しい中、ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。今後も、どうぞよろしくお願いいたします。