あおぞら財団 東京道路連絡会の概要

東京道路連絡会の概要

東京道路連絡会の発足

  • 東京地域の道路交通環境改善に関する連絡会(東京道路連絡会)は、東京大気汚染公害訴訟の和解条項に基づいて開催されています。東京大気汚染公害訴訟についてはこちら(環境再生保全機構「記録で見る大気汚染と裁判」)。和解条項はこちら
  • 東京道路連絡会は2008年度から2014年度までに6回の道路連絡会を開催し、道路緑化、PM2.5の計測、大型貨物車の走行規制、自転車道の整備等について協議しています。
  • 東京道路連絡会が対象とする道路は数多くあるが、原告団は地域ごとに東京都職員も参加して現地調査を行い、提案書を作成しています。
  • 道路連絡会ではPM2.5の計測、大型貨物車の走行規制等の総括的な問題を議論するとともに、各論として毎回十数区市・20箇所前後について、道路緑化・自転車道整備等の具体的で即知的な内容についても議論しています。
  • そのため、連絡会の開催時間が4時間と長く、1回の連絡会で議論が終わらない場合には続会を開催することもあります。

東京道路連絡会の達成したこと

PM2.5の環境基準設定

  • 東京大気汚染公害訴訟の和解条項には、国はPM2.5の環境基準設定を検討することが盛り込まれています。
  • PM2.5は他の大気汚染訴訟でも繰り返し問題とされており、尼崎では「調査解析手法の追加・拡充の検討を行う」(2000年)、名古屋では「健康影響調査を実施する」(2001年)と約束したのみでした。
  • 国(環境省)は、東京大気汚染訴訟の和解から2年後の2009年にPM2.5の環境基準を設定しました。これを受けて、東京都では全76測定局でPM2.5の常時観測体制を開始することを決定しました。
  • 環境省「微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報」
  • 東京都環境局「微小粒子状物質(PM2.5)対策」

道路緑化対策

  • 道路緑化対策について、原告団は、冬季も排ガス浄化作用のある常緑樹の植栽や高中低木による立体的な植栽等の提案を行っています。
  • 原告団からの積極的な要求を受けて国・東京都は積極的な対応をするようになりました。
  • 2013年には、原告団は東京都に23区および三多摩地域・7市の都道緑化対策要求書を提出しました。
  • 2015年に東京都は街路樹を100万本に倍増する「緑の東京10年プロジェクト」を終了し、原告団の提案を受けて常緑樹への樹種転換を検討すると回答しています。
  • 東京都環境局「緑の東京10年プロジェクト」

自転車道の整備

  • 自転車道の整備については、2020年の東京オリンピックを目指して東京都は2012年10月「東京都自転車走行空間整備推進計画」を発表しました。
  • 同計画では道路管理者相互に連携して自転車走行空間ネットワークを形成していくとするとともに、「必要性の高い区間を優先的に整備していく」として優先整備区間150kmを指定し、2020年までに109km(2014年に120kmに延長)を整備するとしました。
  • しかしながら、連絡会で各地域から出される自転車走行空間整備の要求に対して、東京都は「まずは優先整備区間を整備してから」とまったく検討しようとすらしない硬直的な姿勢を示していました。
  • その後、2015年度に東京都は約200kmの自転車推奨ルートを設定し、原告団は「本格的な自転車ネットワーク計画である」と評価しています。
  • 東京都建設局「東京都の自転車走行空間整備」

大型貨物車の通行規制

  • 東京都では環七通り(東京都道318号環状七号線)内側などで土曜22時から日曜7時まで大型貨物等の通行禁止を実施しています。
  • 原告はこの大型貨物車の都心部乗り入れ規制の拡大を求めており、それを受けて警視庁は2009年、2010年に環七通り、環八通り(東京都道311号環状八号線)の交通量調査を実施しました。
  • しかしながら2011年には警視庁から「規制の大気改善効果は明確ではない」ことを理由に規制の拡大は実施しないとの回答がありました。
  • 原告団はこの回答に納得をすることができず、独自に研究者(環境総合研究所の鷹取淳氏)に警視庁の交通量データの分析を依頼し、この分析結果からは大型貨物車の通行規制により大気改善効果があることが明らかになりました。
  • しかしながら、2013年に、警視庁からは「規制による迂回交通の渋滞等により、環境改善効果は認められない」との否定的な回答があり、議論が難航しています。
  • 警視庁「大型貨物等の都心部の通行禁止について」

原告団のページ

道路管理者の東京道路連絡会に関するページ