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第54回 IATSSフォーラム研修 3日目(10/21)

3日目はあおぞら財団でグループワークを行いました。

まず、3グループに分かれると、「経済活動と環境保全を両立させた持続可能な地域づくりはどのような取り組みを行うべきか」と言う質問に対して、意見交換や提案作りを行います。

参加者の皆さんは思う事も多かったようでどこの班も、盛んに意見交換が行われていました。A4用紙やポストイットに色々なことを書きこんでいる姿がうかがえました。班内での発表の時間になると班の中で質疑応答があったりと、どの班も熱心に話し合いをしていました。

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ペンの音だけしか聞こえません。

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A4用紙も次々と文字で埋まっていきます。

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いろいろ感じたり考えたことがたくさんあったんだと思います。

一度昼食を挟むと、次は班ごとで午後に行う発表会についての準備が行われます。

発表は
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策をおこなうべきか。
②西淀川で学んだこと。
この2点についておこなうため、それを想定した話し合いが行われました。

IATSSフォーラムではカンボジア・インドネシア・ラオス・マレーシア・ミャンマー・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナムの9カ国から、各国2名ずつが参加しています。
国の情勢や体制から全く異なる国々の方が参加をしているため、各班いろいろな意見の出し合いでした。ですが、どの班からも自分の国や今回西淀川で思ったことを踏まえた上で、話し合いをしているのがとても感じられました。

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発表の準備に取りかかりだします。

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文字に起こす人、話し合いを進める人、意見を出す人と役割が分担されています。

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最後の発表の準備が行われています。張る所がなくてガラスにも。

発表の時には、西淀川公害患者会の会長森脇君雄さんやあおぞら財団の職員がいる中でおこなわれました。

1班目
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策を行うべきか。
国名『エバーグリーン』
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持続可能なコミュニティ作りとして、環境・社会・経済の主な政策をあげた。
環境政策の主としたものでは都市計画がある。住宅と産業地域を分けておくことや、公園の配置について。また交通管理、公害を防ぐ対策も出てきた。
社会政策の中心としては健康保険の促進や社会保障の提供。参加者の国ではまだまだ健康保険などが進んでいない部分があるのが理由だと思われる。
経済政策には企業に対しての社会的責任、また免税だけではなく、どのような生き方や生活の仕方をしていくかと言っていた。
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②西淀川から学んだこと。
西淀川の住工混在地域を見た上で都市計画の必要性と、また過去に起こったことをきちんと伝えていく必要性がある。また、過去の経験を伝えて予防的な措置を取る必要が一番大切ではないか。事前の予防が一番大切だ。

2班目
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策をおこなうべきか。
国名『Green Empire』
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大気汚染対策をするにあたっての政策について発表が行われた。大気汚染政策を行うに当たって政府・NPO・NGO・市民・企業の立場の協力が必要になる。また、ステークホルダーの存在と協力が必要となってくる。
政府としては政策と規制を行い、法律のモニタリングなどを行い、インフラの整備などに資金を出すなどがある。NGOは政府の行うことを国民に知らせ、NPOが利害関係者をつないで協力させることが出来る。民間企業では情報の開示を行いながら、対話をして協力をしていく必要がある。市民は地域の支援を行い、環境に優しくする気持ちを家庭内から持つ。また情報や経験などをフィードバックするなどがある。
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②西淀川で学んだこと。
コミュニティや企業との関係を築いていく大切さ。また裁判で証拠をどのようにして証明するかがとても難しいことが分かった。また公害患者さんが多くのものを失ってきた事を知った。

3班目
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策をおこなうべきか。
国名『VERDE』
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この班は「②西淀川で学んだこと。」を学んだ上で、政策の発表をしてくれた。
②西淀川で学んだこととしては、地域と政府をつなげ、意識を高めていく心が必要。また公害裁判の時のように負けない心を持ち続けることが大切である。それは教育の場でも必要となってくる。
政策には各自が見なければいけないような状態ではなく、みんなが見れるように大気汚染の情報を報告する。また、何時悪いのかが分かった時には、フィードバックフォームを作成し、そこに記入してもらうようにする。またイベントごとにみんなで何かおこなって団結をするようにカレンダーを作成する。年配の方とコミュニケーションをとる日を作成し、その年配の方々と昔について考える日をつくる。これらのことをすることによって、意識は上がり、皆で協力するようになると思う。また一つ一つの事柄の必要性を考えることで深い考え方が出来る。

最後に「何故教育に関心を持ったのか」と聞いている人から質問が出ました。その問いに対し、
「若い世代が環境に対してどう思っているのか知りたかった部分があるし、興味を持っていた。私たちの国々の場合は環境に対する意識が低い。それをあげるには教育が必要だと思う。」と答えていました。

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一緒に発表を聞いていた森脇さんからは質問がありました。

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最後に参加者の方から感謝の言葉を頂きました!

最後には森脇さんを中心にみんなで記念撮影を行いました。

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みんなで記念撮影。とても勉強になった3日間でした。

とてもハードなスケジュールとなった3日間ですが、みなさんはとても真剣な様子で、またたくさんの質疑応答がありました。この3日間で考えたこと、見たことが少しでも心に残ってくれたら嬉しいなと思いました。また、こうした海外からの研修の方を受け入れる度にアジアの国の現状や、いろんな文化を持つ人と交流が出来、とても充実した3日間となりました。国外の問題にも目を向ける大切さを再確認しました。

3日間の予定です。そこからリンクで他の日も見に行けますので、ぜひ見てみてくださいね。
・1日目 裁判のお話や患者さんのお話を聞き、タンデム自転車で散策。
・2日目 43号線で説明を受け、あおぞら苑や大阪ガスへ。
・3日目 グループワークを行い、意見交換や提案作りをした上で発表へ。
(松ヶ平)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2016年3月29日5:52 PM

第54回 IATSSフォーラム研修 2日目(10/20)

IATSSフォーラム2日目は朝からフィールドワークを中心に行いました。

43号線から尼崎の方へ抜け、尼崎の工場地帯や湾岸線を見てもらいました。また、中島や西淀川にある、尼崎とは少し違う工場も見て回りました。この日も43号線は混雑しており、大気汚染の原因にもなるとあおぞら財団の林さんから説明がありました。参加者の方々は食い入るように外を眺め、他の参加者と話し合う姿も見られます。

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出来島小学校前で説明を聞いてる参加者の皆さん。

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真剣な様子で記録を取っている姿がうかがえます。

43号線の出来島小学校の近くへおろしてもらうと、国土交通省地方整備局大阪国道事務所の方から、国の行った対策について説明が行われました。参加者の皆さんは必死にメモを取って、質問をしている姿が目立ちました。また、43号線で行われている対策を説明されると写真に収めている人が多かったようです。

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大阪国道事務所の方から説明を受けています。

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質疑応答にも多くの質問が出ていました。

お昼には大和田にあるハラールレストランで昼食でした。ムスリムの方もいたので、とても喜んでいました。

午後からはあおぞら苑の見学を行いました。
あおぞら苑で説明を受けていると、利用者の方から「他の国では介護はどういう状態なのか教えて欲しい!知りたい!」と質問が出ました。参加者のみなさんも積極的な様子に驚きが隠せていませんでした。

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あおぞら苑の方はみなさんに興味津津でした!

バスの中ではあおぞら苑の辰巳致さんと質疑応答の時間をとりました。

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あおぞら苑の辰巳致さん。

Q:何故、あおぞら苑を作ったのか。
A:月に3回、公害患者さんが看取られずに亡くなっていたことがきっかけ。現在は、利用者が全員で100名おり、公害患者は5%ぐらい。また公害患者さんは若い人が多いから少ないが、これから増えるだろうと思う。

Q:辰巳さんは西淀川生まれか。
A:西淀川生まれ。住めば都だと思っているし、西淀川のことが大好き。お金のある人は空気が悪い時に引っ越している。

Q:あおぞら苑を今後、どのような方向へと持っていきたいのか。
A:新しい施設を作りたいと思っている。保育所をやっている所と連携をし、子どもとお年寄りが一緒に過ごせるような施設を作りたい。

介護についてはまだまだ政策が整っていないからこそ、参加者の皆さんは真剣な表情で質問をしていました。

2日目の最後は、大阪ガスのHU+Gミュージアムの見学と説明を行われました。
大阪ガスは西淀川公害裁判の時の被告企業の一つでもあり、大阪ガスが現在どのような対策を行っているかといった説明を受けました。

まずは、HU+Gミュージアムの中を案内してもらいました。キッチンやリビングなど体験コーナーが多く、皆さん楽しそうに実際に体験を行っていました。特に、今までのリビングと、大阪ガスのリフォームしたリビングではどう体感温度が違うか実体験できるコーナーはとても人気がありました。

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大阪ガスのガスミュージアムの展示を見学中。

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説明に対し、みなさんすごく関心があるようです。

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展示の一部にあるこたつに大喜びでピースしてくれました。

案内が終わると、大阪ガスのCSR・環境部の宮里潤さんから説明が行われました。大阪ガスのガス事業の開始から近年の都市ガスにいたるまでの歴史や、現在大阪で行われているESDやCSRについて話してもらいました。また、バイオガスや風力発電といった取り組みも行っており、みなさんからは多くの質問が出て、とても盛り上がった時間となりました。

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大阪ガスにて説明をしてくださった宮里潤さん。

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大阪ガスミュージアムの一室にて説明を受ける参加者の皆さん。

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最後にみんなで記念撮影をしました。

朝の早い時間帯からフィールドワークでしたが、皆さん最後まですごく真剣な様子でメモを取ったり、写真を撮ったりしていました。疲れたかな、と思いきや、また夜に大阪城を見に行きたいと言っている姿を見て、本当にすごく元気でとても驚きました。

いろいろ思ったり感じたことを、最終日である21日に聞けたらなと思いました。

3日間の予定です。そこからリンクで他の日も見に行けますので、ぜひ見てみてくださいね。
・1日目 裁判のお話や患者さんのお話を聞き、タンデム自転車で散策。
・2日目 43号線で説明を受け、あおぞら苑や大阪ガスへ。
・3日目 グループワークを行い、意見交換や提案作りをした上で発表へ。

(松ヶ平)

第54回 IATSSフォーラム研修 1日目(10/19)

IATSSフォーラムの研修で、ASEAN9ヶ国から18名の研修生を受け入れました。

1日目のプログラムの最初は「西淀川公害・地域再生の概要」であおぞら財団の林さんが講義を担当しました。
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あおぞら財団が設立された経過の紹介と現在取り組んでいる活動が報告されました。
住民と行政との関係性を大切にしながら、
1.環境の観点から自転車に着目した街づくりを推進しタンデム自転車の活動推進の事業
2.大気汚染公害の事実を伝える資料館の事業
3.学校教育との連携の事業
4.フィールドワークの積極的な推進で韓国や中国のNPOとの協力関係の紹介
5.患者さんの呼吸リハビリ促進の事業などに力を注いでいることが話されました。

次の講義は村松昭夫弁護士(あおぞら財団理事長)による「日本の公害訴訟―大気汚染公害訴訟を中心に」の講義で、
1.日本の公害・環境破壊の発生とその歴史
2.公害被害者が裁判を起こした理由
3.公害環境訴訟と賠償理論の前進
4.21世紀に向けた解決すべき公害・環境の課題等が話されました。

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講義の冒頭で、直近のNHKが放送したアンコールワットとミャンマーのバカン地域の発掘の活動を通じ、多様な文化や宗教の違いを乗り越えて発展させた東南アジアの歴史的な偉業は現代のEUの活動に匹敵する大きな活動であるとの感想が印象的でした。
今日の研修生の母国である方もいる放送の話だからです。

講義のあと「訴訟の最中に身の危険はありませんでしたか」や「裁判の後、大阪の経済はどのような変化がありましたか」などの質問がありましたが、「日本の法律と環境の中では身の危険はありません」「投資が他の地域に流れるようなことはありませんでした。むしろ、きちんと公害対策を行い、新しい技術を開発したところは日本の自動車産業が示しているように世界でも抜きん出た企業として発展しています」との回答がありました。

公害患者からのお話では、西淀川公害患者会の永野千代子さんから、
ご自身のお子さんが重度の喘息を発症し、西淀川公害裁判の一次原告となったことや、交通事故で死亡してしまったこと。永野さん自信も公害患者と認定され、原告を引き継いで闘いを続けた報告がされました。現在も週に5日も病院通いが欠かせない話もありました。
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昼食をはさんで、緑陰道路の観察歩行とタンデム自転車の緑道走行とがありました。
観察歩行では、「緑陰道路サロン」の天野さんから
1.緑陰道路がどのように活用されているか
2.四百年以上前、農民が自分達で資金と労働を提供して開削した歴史が紹介され
3.公害の酷い時代に空港までの高速道路の計画を住民が立ち上がって変更させ緑道にしていった経過や
4.緑道の下には大放水路が完成し集中豪雨にも対応できる現状が紹介されました。
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タンデム自転車は、あおぞら財団の鎗山さんが先導し福漁港の近くまで走行を経験しました。

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参加者は晴天の下で自転車を大いに楽しみ、公害発生源の合同製鉄所の話や、淀川の水面よりかなり下になっている住宅を見ることができ、防災の重要さの説明を受けました。

財団へ帰ってから三つのグループに別れ、今日のまとめを行いました。今日の経験を踏まえ、参加者の各国での公害や環境問題の現状と市民の関わり方が発表されました。
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Aグループ
・環境の問題はきちんとしたプランと市民との合意が重要
・人々の意識を高めることが大切で、署名運動などは大切であり、市民が自ら立ち上がっての裁判は重要
・予算も支援も大切である
自国の問題として
・廃棄物の処理や天然資源の減少に直面している
・シンガポールではマレーシアなど外国からの大気汚染がある
・環境に対する法律や基準が必要である
・ベトナムでは「環境警察」のシステムがある
・教育カリキュラムが重要、職場でも環境問題の共有を図っていきたい

Bグループ
・環境とコミュニティと社会のバランスが大切
・子ども達の将来を考えるとき環境問題はとても重要
・市民は政府の対策を待つのではなく、時には自ら立ち上がることも重要だ
自国の問題として
・自国には土壌汚染としてカドミウムの汚染問題がある
・ミャンマーやタイでは騒音の公害がある
・不法な森林伐採がある
・モリタリング評価を第三者機関でやりたい

Cグループ
・今日は協力、弾力性、都市の開発と青空、環境の活動とESDの大切さを学んだ
自国の問題として
・騒音、廃棄物の汚染、紫外線の照射、大気の汚染などがある
・人間の健康だけでなく、農産物に関しても影響が出ている
・人々の意識を変え、規則を作る
・自然災害に対する対策が急がれる

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最後にあおぞら財団の藤江事務局長は「今日参加の皆さんが、各国の大統領になれば公害は無くなると思う。西淀川はいろんな人々との共同に苦労しました。この地域は公害のデパートだったが、被害者の声を大切にして困難と向き合い、これが財団の活動の原点だった。この3日間の経験で深めてください。」とまとめられました。

3日間の予定です。そこからリンクで他の日も見に行けますので、ぜひ見てみてくださいね。
・1日目 裁判のお話や患者さんのお話を聞き、タンデム自転車で散策。
・2日目 43号線で説明を受け、あおぞら苑や大阪ガスへ。
・3日目 グループワークを行い、意見交換や提案作りをした上で発表へ。

(天野)

3/10 中国環境NGO研修受入 2日目

3月10日(木)は中国から来た11人の人達とともに環境問題への取り組みを肌で体感するべく、西淀川一帯をサイクリングでフィールドワークしました。
みなさん好きな自転車にまたがり歌島橋交差点近くの大野川緑陰道路からスタート。
緑陰道路→淀川堤防→大野せせらぎの里→国道43号線→あおぞら苑→あおぞら財団といったルートを自転車で駆け抜けました。

栗さんは自転車に乗たことがないそうで、タンデム自転車の操縦席に同財団職員が乗り、栗さんは後ろに乗ってサイクリングを満喫しました。

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緑陰道路
「昔は川だったと聞いて驚いた」「人と自然のつながりを感じた」など中国の方々は非常に興味を持たれていました。とくに実際に川が流れていた部分を青色にペイントして自転車専用道路にするという発想がすごいという意見がありました。

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淀川堤防
見晴らしの良い堤防で、かつて公害問題のあった工場の話にみなさん耳を傾けています。実際の場所に行くことで写真や説明ではわからないことを実感してもらいました。

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大野せせらぎの里
下水処理した水をさらにきれいにする場所だと説明すると「ほんとに?」という反応をしている方がたくさんいました。

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国道43号線
自動車の排気ガスなどによる汚染を測定したり、大気汚染を除去する設備を間近で見て学びました。

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あおぞら苑
そして最後はデイサービスセンターのあおぞら苑を訪問。中国で福祉の仕事に就いているという李明叶さんは日本の福祉について興味がありたくさん質問をしていました。見学以外にもお年寄りの方々と一緒に卓球をして楽しみました。

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財団に戻り今日のフィールドワークの意見交換をして日中公害・環境問題に関する研修プログラムは閉幕しました。ここからはフィールドワークの感想や意見をご紹介します。

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邓妍 Deng Yan氏(天津緑領・プロジェクト職員)
昨日は様々な資料を見ることができて訴訟についての勉強ができた。

董剑 Dong Jian氏(天津緑領・主任)
あおぞら財団の仕事の大変さがわかった。日本で学んだことを中国でも伝えていきたい。今日のイベントは色々な人と交流できて素晴らしい環境教育だと思う。

廖帆 Liao Fan氏(北京市京瑞世纪教育科技中心・教師)
初めて日本に来た。素晴らしい活動に参加できて嬉しい。自転車で人と自然のつながりを感じることができた。父が中国で約20年も自然保護の活動に精力を出していて、同じような境遇にあった患者会の方々を尊敬した。またあおぞら財団を見学して、父に対する理解度がさらに深まった。

李明叶 Li Mingye氏(済南市基愛社会活動サービスセンター・主任)
福祉関係の仕事をしているが、今日の活動を通じて自分の仕事にアイディアが生まれるような気がした。人と自然のお互いの尊重は環境にも福祉にも同じことが言える。
<質問>日本人はよく自転車に乗りますか?
<回答>大阪は平地なので自転車を使う人は多いが、まだまだ自動車を使っている人が多いので財団は自転車を使うことを促している。

李 力(Li Li)氏(北京市朝阳区環友科学技術研究センター・主任)
私は財団に何度も足を運んでいるから、今回連れてきた若者たちには事前に財団についてインターネットやビデオを使って紹介をしていたが、実際来て体験してもらうことが一番だと感じた。国情は違えど、何回も財団に足を運び、細かなところまで学び、実際に中国でやっている。(廃油石鹸、フードマイレージ等)もっと様々な事を中国に持って帰り、広めていきたいと考えている。

肖嘉凤 Xiao Jiafeng氏(北京市京瑞世纪教育科技中心・教師)
このような活動ができて非常に有意義だった。あおぞら苑の見学と工場の煙についての訴訟がとくに印象に残った。

张国兵 Zhang Guobing氏(天津緑領・プロジェクト職員)
去年に今働いている会社に入社したばかりで今回日本に来て大変勉強になった。日本に来る前よりもたくさんのことを知ることができた。昨日と今日で西淀川の問題が理解できた。そして緑陰道路が昔は川だったということにとても驚いた。実際に川が流れていた部分を水色に塗装し、自転車専用道路にするアイディアがとても面白いと思った。

郭永启 Guo Yongqi氏(済南市緑行斉魯環境保護公益サービスセンター・主任)
初めて日本に来ました。そして日本の生活や文化について興味深く観察していました。昨日は学者や弁護士から学び、今日は実際の場所から学びました。歴史だけではなく、今の患者さんの様子を見たり社会全体のつながりを見ることが出来て良かった。

栗梅 Li Mei氏(北京市朝阳区環友科学技術研究センター・教師)
日本に来て私の意識はすごく変わった。これからも周りから様々な事を学び、自分にできることがあればやっていきたい。初来日、初海外、初自転車だった。

丘美玲 Qiu Meiling氏(天津緑領・プロジェクト職員)
緑陰道路は歴史的にも観光的にも非常に良い場所である。ひとつひとつの花に名前の看板が掲示されているのが素敵だった。私は財団が有意義な活動をしていると信じている。

张頔 Zhang Di氏(北京市朝阳区環友科学技術研究センター・副秘书长)
2013年以来ここに来てはたくさんのことを学んだ。今の中国はここ2,3年で環境NGOが評価されてきているので嬉しい。私は中国の環境に対するイメージの悪さを変えるため力を入れている。西淀川のように良いイメージにできるように頑張りたい。

意見交換は30分で終わる予定だったのですが、みなさんそれぞれ環境問題に対する想いが大きく、なんと1時間も延長して議論を続けました。とても有意義な時間でした。

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(記・中島)

本事業は環境省委託平成27年度大気汚染経験等情報発信事業の一環です。

 

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2016年3月28日3:06 PM

3/9 中国環境NGO研修受入 1日目

3/9 中国環境NGO研修受入 1日目

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あおぞら財団では、中国の環境NGOメンバーを日本に招き、研修プログラムを実施しています。
今年度は3月9日(水)~10日(木)の2日間に、中国から11人が西淀川区をおとずれました。

今回の「日中公害・環境問題に関する研修プログラム」では、西淀川地域をフィールドに研修をおこなうことで、日本での大気汚染公害の経験を中国の環境NGOメンバーに知ってもらい、環境問題の解決に資することを目的としています。

訪問メンバー:
1.李 力(Li Li)氏(北京市朝阳区環友科学技術研究センター・主任)
2.张頔 Zhang Di氏(北京市朝阳区環友科学技術研究センター・副秘书长)
3.栗梅 Li Mei氏(北京市朝阳区環友科学技術研究センター・教師)
4.廖帆 Liao Fan氏(北京市京瑞世纪教育科技中心・教師)
5.肖嘉凤 Xiao Jiafeng氏(北京市京瑞世纪教育科技中心・教師)
6.郭永启 Guo Yongqi氏(済南市緑行斉魯環境保護公益サービスセンター・主任)
7.李明叶 Li Mingye氏(済南市基愛社会活動サービスセンター・主任)
8.董剑 Dong Jian氏(天津緑領・主任)
9.丘美玲 Qiu Meiling氏(天津緑領・プロジェクト職員)
10.邓妍 Deng Yan氏(天津緑領・プロジェクト職員)
11.张国兵 Zhang Guobing氏(天津緑領・プロジェクト職員)

プログラムのようす:
3/9(水)午前
あおぞら財団にて、オリエンテーションをおこないました。研修の目的、スケジュールを説明した後、西淀川公害やあおぞら財団の活動について
DVDやスライドにて紹介しました。
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そして、あおぞら財団付属「西淀川・公害と環境資料館」(エコミューズ)や書庫の見学をおこないました。
「公害 みんなで力を合わせて―大阪・西淀川地域の記録と証言―」のパネル、裁判資料、患者の証言DVDなどを見ました。

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昼食をはさんで、午後からは、自転車・歩行者専用道路「大野川緑陰道路」と「歌島橋交差点」の見学、説明がありました。
大野川緑陰道路は、農業用水路が、ドブ川となり、汚染がひどい時期がありましたが、住民の力で緑の道となり、今では、区民の貴重な宝です。

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歌島橋交差点は五差路の大きな交差点で、大型車の交通量が多く、大気汚染も問題になっています。

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次に、西淀川公害患者と家族の会の山下明さん、晴美さんご夫婦による、大気汚染と被害の実体験のお話を聞きました。

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さらに、同会会長の森脇君雄さんや事務局長の上田敏幸さん、神戸市外国語大学の櫻井次郎先生、あおぞら財団の藤江徹を交えての意見交換会をおこないました。

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中国のメンバーからは次のような質問がありました。
・公害患者への保障は十分だと思うかどうか?
・ぜん息は、子どもや孫への遺伝性はあるのかどうか?
・妊娠している場合、胎児への影響はあるのか?
・患者会とあおぞら財団の関係はどういったものなのか
・他の地域との連携はどうなっているのか?
・環境訴訟にかかわる弁護士はどれぐらいの割合がいるのか?
・長く闘ってきて、一番難しかったことは何か?

それぞれの質問に答えながら、最後に森脇さんから、
「どの国にも大気汚染による被害者がいる。
被害者を探し、科学的分析、医者の協力、専門家の協力を得ながら、進めることが大事。
経済よりも生命を大切にし、みんなが自由に発言できる社会であること、
一歩でも、二歩でも進めていこう」という言葉がありました。

さらに、村松昭夫弁護士により、西淀川公害裁判やアスベスト裁判の話がありました。
村松弁護士はこの日、大津地裁が高浜原発運転差し止めの仮処分を出したことにふれ
「3.11の福島原発事故前には日本の司法はこのような決定は出さなかっただろう。
公害はどれもそうだが、起こってしまったら取り戻せない。環境についてもそうだし、
人間への被害も健康だけでなく仕事や学校へ通えなくなるなど生活全般に影響する。
そうした被害を想像する力をこの研修で養って、中国に持って帰ってほしい」
と語りました。

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この後、「日中環境問題サロン2016―日中の理解と協働に向けて:中国環境NGOの活動を聴く」が
開催されました。

(記・鎗山)

つづく

本事業は環境省委託平成27年度大気汚染経験等情報発信事業の一環です。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2:59 PM
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